ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【5】
ー大江戸学園:大通りー
詠美「……それで、申し訳ないのだけど、そろそろ私は……あっ!?」
不良生徒A「おう、道の真ん中でくっちゃべってんじゃねーぞ、邪魔だ」
徳河さんと、大柄な男子生徒が接触した。しまったな、ちょっと周囲が見えていなかった。
詠美「あ……ごめんなさい、不注意だったわ」
不良生徒B「なんだその偉そうないい方は。どっちが悪いか本当に分かってんのか?」
詠美「だから謝罪をしたわ。不注意でごめんなさい」
不良生徒A「そんなもんじゃ全然伝わらねぇな。しっかりと態度で見せてもらわねぇとよ」
詠美「何……」
うーん、これはまずい雰囲気だ。
悠「おい、そのへんにしておけよ。この人が誰か知らないのか?」
不良生徒B「誰でもかまわねぇさ。ここはやんごとないお嬢様が来るようなところじゃねぇんだよ」
不良生徒A「おう。ここにはここの流儀があるってことを叩きこんでやらねぇとな」
詠美「……やれやれ、まだこんな輩が街を闊歩しているのね」
悠「……」
あー……徳河さんの機嫌が悪くなってきた。知らないぞ。身分も剣の腕も、この人はハンパじゃないんだからな。ってまるでおれが太鼓持ちみたいになってるけど。
詠美「こういった輩を掃除し切らない限り、学園の秩序回復は夢のまた夢ね」
不良生徒A「ああ!?そりゃどういう意味だよ!」
不良生徒B「こいつぁ温情をかけてやる余地はねぇな」
悠「悪いことはいわない、そこまでにして退いてくれ。頼むから……」
詠美「構わないわ。悠。……あなたたちも、私が付き合ってあげていることに感謝することね」
不良生徒A「なっ……えっ?」
不良生徒B「い、いくぞっ!」
詠美「手加減は、してあげるわ」
不良生徒A「ぐぁあっ!」
不良生徒B「うぐっ……」
悠「だからいったのに……」
瞬きする程度の間に、絡んできた男たちはそろって斬り伏せられた。身分なんかを抜きにしても、徳河さんに太刀打ちなんて出来やしないのに。
詠美「あなたたち、火盗でしょう?顔を覚えているわよ」
不良生徒A「わ、わかっていたの、ですか……」
詠美「こんなことを仕組んでくるのは酉居くらいのものよ。くだらないことに気をまわしている暇があるなら、自身の鍛錬を怠らないようにすべき、と伝えなさい」
不良生徒B「くぅ……し、失礼します」
詠美「本当、つまらないことをするものね」
悠「あの、どういうことだったんですか?酉居って?」
詠美「酉居は私が街を歩くことを快く思っていないのよ。円滑な統治のためには、身分差をハッキリさせておく必要がある……と主張しているわ」
なめほど、酉居らしい。それを徳河さんにまで要求する筋金入りだ。
悠「……」
詠美「まぁ、今回は私もサボっていたから、悪く言うばかりはできないのだけどね。これ以上彼を怒らせないよう、執行部室へ急ぐことにするわ」
悠「わかりました。えぇと……が、頑張ってください」
詠美「今日は面倒なことになったけれど……懲りずにまたお願いするわ」
悠「はい、こちらこそ」
そういって去っていく徳河さんの背は、凛として謹厳な空気をまとっている。でもほんの少しだけバツが悪そうに笑った徳河さんは、やっぱり普通の女の子のように見えた。
詠美「……それで、申し訳ないのだけど、そろそろ私は……あっ!?」
不良生徒A「おう、道の真ん中でくっちゃべってんじゃねーぞ、邪魔だ」
徳河さんと、大柄な男子生徒が接触した。しまったな、ちょっと周囲が見えていなかった。
詠美「あ……ごめんなさい、不注意だったわ」
不良生徒B「なんだその偉そうないい方は。どっちが悪いか本当に分かってんのか?」
詠美「だから謝罪をしたわ。不注意でごめんなさい」
不良生徒A「そんなもんじゃ全然伝わらねぇな。しっかりと態度で見せてもらわねぇとよ」
詠美「何……」
うーん、これはまずい雰囲気だ。
悠「おい、そのへんにしておけよ。この人が誰か知らないのか?」
不良生徒B「誰でもかまわねぇさ。ここはやんごとないお嬢様が来るようなところじゃねぇんだよ」
不良生徒A「おう。ここにはここの流儀があるってことを叩きこんでやらねぇとな」
詠美「……やれやれ、まだこんな輩が街を闊歩しているのね」
悠「……」
あー……徳河さんの機嫌が悪くなってきた。知らないぞ。身分も剣の腕も、この人はハンパじゃないんだからな。ってまるでおれが太鼓持ちみたいになってるけど。
詠美「こういった輩を掃除し切らない限り、学園の秩序回復は夢のまた夢ね」
不良生徒A「ああ!?そりゃどういう意味だよ!」
不良生徒B「こいつぁ温情をかけてやる余地はねぇな」
悠「悪いことはいわない、そこまでにして退いてくれ。頼むから……」
詠美「構わないわ。悠。……あなたたちも、私が付き合ってあげていることに感謝することね」
不良生徒A「なっ……えっ?」
不良生徒B「い、いくぞっ!」
詠美「手加減は、してあげるわ」
不良生徒A「ぐぁあっ!」
不良生徒B「うぐっ……」
悠「だからいったのに……」
瞬きする程度の間に、絡んできた男たちはそろって斬り伏せられた。身分なんかを抜きにしても、徳河さんに太刀打ちなんて出来やしないのに。
詠美「あなたたち、火盗でしょう?顔を覚えているわよ」
不良生徒A「わ、わかっていたの、ですか……」
詠美「こんなことを仕組んでくるのは酉居くらいのものよ。くだらないことに気をまわしている暇があるなら、自身の鍛錬を怠らないようにすべき、と伝えなさい」
不良生徒B「くぅ……し、失礼します」
詠美「本当、つまらないことをするものね」
悠「あの、どういうことだったんですか?酉居って?」
詠美「酉居は私が街を歩くことを快く思っていないのよ。円滑な統治のためには、身分差をハッキリさせておく必要がある……と主張しているわ」
なめほど、酉居らしい。それを徳河さんにまで要求する筋金入りだ。
悠「……」
詠美「まぁ、今回は私もサボっていたから、悪く言うばかりはできないのだけどね。これ以上彼を怒らせないよう、執行部室へ急ぐことにするわ」
悠「わかりました。えぇと……が、頑張ってください」
詠美「今日は面倒なことになったけれど……懲りずにまたお願いするわ」
悠「はい、こちらこそ」
そういって去っていく徳河さんの背は、凛として謹厳な空気をまとっている。でもほんの少しだけバツが悪そうに笑った徳河さんは、やっぱり普通の女の子のように見えた。