ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【5】
ー大江戸学園:路地ー
詠美「……なにか?」
よし、ちょっと頑張ってみるか。
悠「徳河さん、もしこの後時間があるなら、一緒に道草でもしませんか?」
詠美「道草……私と?」
悠「いつも自室や城の執務室へ直行だと、気晴らしをする暇もないんじゃないですか?大通りの屋台なんて入れ替わりが激しくて、なかなか面白いですよ」
詠美「そんな、買い食いなんてはしたないことできないわ」
悠「そりゃ、まぁ確かに徳河さんには似合わないかもしれないですが……でも他にはないようなものが売ってたりして、それを見るだけでも楽しいんですよ?たいがいそういうのはすぐ消えるので、機を逃すと見ることもできませんし」
詠美「そうなの……」
悠「たまにはいいじゃないですか。なんなら見にいくだけでも、稽古で一緒になっても、その後はただ挨拶してバイバイってだけじゃちょっと味気ないですし……ってはっ!?おれ……もしかしてウザいですか?」
調子に乗って強引に誘いすぎたかな……。
詠美「ふふ、こんなに熱心な人は久しぶりね。いいわ。ご一緒させていただくわ。」
悠「あの……すみません。お時間があればでいいんですよ……?おヒマであれば……」
詠美「構わないわ。市井の視察というのも、とても意味があることだと思うし。その面白いところへ、案内してもらえるかしら?」
悠「は、はい!こっちです!」
ああまた気を使わせてしまってるかな……。
ー大江戸学園:大通りー
大通りには、今に限らず常に屋台が軒を並べている。未認可が多かったり場所取りの争いが起こったりする美兎もあるけれど、それは御愛嬌ということで。雑多な感じは否めないし、徳河さんのような人だと足を向けにくいだろう。だからこそここへ誘ってみたっていうのもある。
詠美「……確かに見たことのない物が多いわね。これは食べ物……なの?」
悠「ああ、最近洋風の食べ物が氾濫し過ぎ、なんて話もありましたね。まぁ外国のものだからってだけで嫌いになるなんて損ですよ。おれの軍パンだって外国産だし。」
クレープやカレーライス、串焼き系はデフォルトに、ハンバーガーやケバブなんてのも多くある。どれも少しずつ日本風にアレンジはされている者の、原色の派手なイメージは変わらない。
詠美「ぐんぱん?」
悠「あ、試しにそこのケバブでも買ってみましょうか」
詠美「毛羽部……?手羽先のようなものかしら……」
悠「ちぇきーっす!えーと……ドネル・ピタもらえるか?」
男子生徒A「へーいまいど!」
紙袋に包まれた、ピタパン入りのケバブを受け取る。肉汁が浮いていて、ニンニクと胡椒が芳ばしい香りを放っている。
悠「はい、どうぞ」
おれが食べたくなるほどけど、それをそのまま徳河さんへと手渡した。
詠美「これが……ケバブ?特に毛は生えていないみたいだけど……」
悠「牛肉ですよ。ほら串に刺して回しながら焼いているあれですああ、焼いてすぐだし衛生面は大丈夫ですよ。……多分他にもみんな食べてますし」
詠美「それならそうなのでしょうけれど……うぅん……」
徳河さんは難しい顔でケバブを睨んでいる。やっぱり気が進まないんだろうか?無理もない、かもしれないけど。
悠「食べてみれば美味いですから。だまされたと思ってそと口だけでも」
詠美「……これは、どうやって食べればいいの?」
悠「あー?どうって、そのままかぶりつけばいいだけですけど」
詠美「そのまま……」
悠「…………」
詠美「…………」
悠「……あの、箸もらってきますね」
にらめっこをしたまま動かない徳河さんに、近くの屋台にお願いして箸をもらってきた。それを手渡すと、ようやく徳河さんは肉のひとつをつまんで口に入れてくれた。
詠美「……なにか?」
よし、ちょっと頑張ってみるか。
悠「徳河さん、もしこの後時間があるなら、一緒に道草でもしませんか?」
詠美「道草……私と?」
悠「いつも自室や城の執務室へ直行だと、気晴らしをする暇もないんじゃないですか?大通りの屋台なんて入れ替わりが激しくて、なかなか面白いですよ」
詠美「そんな、買い食いなんてはしたないことできないわ」
悠「そりゃ、まぁ確かに徳河さんには似合わないかもしれないですが……でも他にはないようなものが売ってたりして、それを見るだけでも楽しいんですよ?たいがいそういうのはすぐ消えるので、機を逃すと見ることもできませんし」
詠美「そうなの……」
悠「たまにはいいじゃないですか。なんなら見にいくだけでも、稽古で一緒になっても、その後はただ挨拶してバイバイってだけじゃちょっと味気ないですし……ってはっ!?おれ……もしかしてウザいですか?」
調子に乗って強引に誘いすぎたかな……。
詠美「ふふ、こんなに熱心な人は久しぶりね。いいわ。ご一緒させていただくわ。」
悠「あの……すみません。お時間があればでいいんですよ……?おヒマであれば……」
詠美「構わないわ。市井の視察というのも、とても意味があることだと思うし。その面白いところへ、案内してもらえるかしら?」
悠「は、はい!こっちです!」
ああまた気を使わせてしまってるかな……。
ー大江戸学園:大通りー
大通りには、今に限らず常に屋台が軒を並べている。未認可が多かったり場所取りの争いが起こったりする美兎もあるけれど、それは御愛嬌ということで。雑多な感じは否めないし、徳河さんのような人だと足を向けにくいだろう。だからこそここへ誘ってみたっていうのもある。
詠美「……確かに見たことのない物が多いわね。これは食べ物……なの?」
悠「ああ、最近洋風の食べ物が氾濫し過ぎ、なんて話もありましたね。まぁ外国のものだからってだけで嫌いになるなんて損ですよ。おれの軍パンだって外国産だし。」
クレープやカレーライス、串焼き系はデフォルトに、ハンバーガーやケバブなんてのも多くある。どれも少しずつ日本風にアレンジはされている者の、原色の派手なイメージは変わらない。
詠美「ぐんぱん?」
悠「あ、試しにそこのケバブでも買ってみましょうか」
詠美「毛羽部……?手羽先のようなものかしら……」
悠「ちぇきーっす!えーと……ドネル・ピタもらえるか?」
男子生徒A「へーいまいど!」
紙袋に包まれた、ピタパン入りのケバブを受け取る。肉汁が浮いていて、ニンニクと胡椒が芳ばしい香りを放っている。
悠「はい、どうぞ」
おれが食べたくなるほどけど、それをそのまま徳河さんへと手渡した。
詠美「これが……ケバブ?特に毛は生えていないみたいだけど……」
悠「牛肉ですよ。ほら串に刺して回しながら焼いているあれですああ、焼いてすぐだし衛生面は大丈夫ですよ。……多分他にもみんな食べてますし」
詠美「それならそうなのでしょうけれど……うぅん……」
徳河さんは難しい顔でケバブを睨んでいる。やっぱり気が進まないんだろうか?無理もない、かもしれないけど。
悠「食べてみれば美味いですから。だまされたと思ってそと口だけでも」
詠美「……これは、どうやって食べればいいの?」
悠「あー?どうって、そのままかぶりつけばいいだけですけど」
詠美「そのまま……」
悠「…………」
詠美「…………」
悠「……あの、箸もらってきますね」
にらめっこをしたまま動かない徳河さんに、近くの屋台にお願いして箸をもらってきた。それを手渡すと、ようやく徳河さんは肉のひとつをつまんで口に入れてくれた。