ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【5】
ー大江戸学園:野球ドームー
美波「タッちゃん」
辰也「美波……?」
呼びかける浅丘さんの声に、並々ならぬ気迫を感じたのか、辰也さんは近づく浅丘さんを怪訝に見つめる。
美波「私は……私はずっと前からっ!タッちゃんがっ!タッちゃんのことが好きだった!」
辰也「なっ!?」
長い間押えていた想いを解き放つような激しい告白に、辰也さんは息を飲んで固まってしまう。
一也「ほら、返事してあげなよ、兄さん」
辰也「あ……ああっ!美波……」
美波「タッちゃん……」
躊躇いがちに口を開く辰也さんを、美波さんはどこまでもまっすぐな瞳で見つめる。
辰也「美波、俺も……俺もお前が好きだっ!ずっとずっとお前のことがすきだったんだ!」
美波「タッちゃん……嬉しい……」
半ば叫ぶような勢いの辰也さんの告白に、浅丘さんは感極まったように瞳を潤ませ、そっと口元を押える。
吉音「はぁ~っ、良かったねぇ~♪」
悠「ああ、そうだな」
息をつめて成り行きを見守っていたおれ達も、喜ばしい結果にホッと表情を緩ませた。
一也「……それでいいんだよ、辰也兄さん」
辰也「一也……すまん」
美波「ごめんね……カッちゃん」
一也「言っただろ?僕に遠慮しないでくれってさ」
辰也「お前は強いな……ホント、おれみたいなダメ兄貴にゃ、もったいないくらい良い弟だよ」
一也「勘違いするなよ、兄さん。僕は美波を諦めたわけじゃない。もしも兄さんが浮気なんかしたら、遠慮なく美波を奪ってくからね?」
辰也「ばかやろっ、俺はお前みたいにモテねーよ。浮気なんかしたくても出来るすってーの!」
美波「へぇ~、浮気したいんだ?タッちゃん」
辰也「馬鹿っ違うって!これは言葉のあやでな……」
一也「美波、今からでも僕に乗り換えた方がよくない?」
美波「う~~ん、どうしょっかなぁ~っ♪」
辰也「俺が悪かった!何でもするから許してくれっ!」
美波「それなら、私のこと愛してるっていってみて」
辰也「そっ、そんな恥ずかしいこと言えるか馬鹿っ!」
一也「何でもするんだろ?兄さん」
辰也「くっ!一也、お前ぇ~っ」
美波「言えないってことは、私のことが好きっていうのはウソだったんだ……」
辰也「分かった!言う!言うからっ!」
一也「それじゃ、どーぞ」
辰也「なっ……中杉辰也は、浅丘美波を愛していますっ!」
美波「タッちゃん……ありがとう」
一也「あははっ、やっぱり兄さんには敵わないや」
想「ふふっ、これにて一件落着といったところですか」
悠「見事な裁きでしたね。これが「逢岡裁き」ってヤツですか」
仲睦まじい三人の様子に目を細めて微笑む逢岡さんに、おれは心底から感嘆の声を上げてしまった。規則や理に縛られるのではなく、あくまでその人の立場に立った温情にあふれた判断。奉行という施政を司る中核のひとりでありながら、逢岡さんが、広く庶民に慕われている理由が良く分かった。
吉音「う~~ん、でもさぁ、ふたりとも好きなんだったら、両方と付き合っちゃえばいいんじゃなーい?」
悠「ほむ…いや、ふむ」
こいつはまたフリーダムなことを……。
想「それじゃあ吉音さんは、小鳥遊君が私とあなた、ふたりともが好きだから、両方と付き合うっていってもいいの?」
悠「おぅっ?!」
逢岡さん、よりによってなんて例をだすんですか!
吉音「むぅぅ~~っ……それはちょっと、嫌かも……」
うんうんと唸っていた吉音が、口をへの字にすねと困ったようにゴニョゴニョと呟く。
悠「……」
吉音「レンアイって、なんか難しいねぇ」
想「そうですね、ふふふっ」
悠「まぁ、逆だったらおれは全然良いんだけどな。吉音と逢岡さんがおれを好きだから二人いっぺんにつきあうってのなら」
想「なにかいいました?」
おれは笑顔で首を左右に振った。大円満で終わっておくほうが良いしな。
美波「タッちゃん」
辰也「美波……?」
呼びかける浅丘さんの声に、並々ならぬ気迫を感じたのか、辰也さんは近づく浅丘さんを怪訝に見つめる。
美波「私は……私はずっと前からっ!タッちゃんがっ!タッちゃんのことが好きだった!」
辰也「なっ!?」
長い間押えていた想いを解き放つような激しい告白に、辰也さんは息を飲んで固まってしまう。
一也「ほら、返事してあげなよ、兄さん」
辰也「あ……ああっ!美波……」
美波「タッちゃん……」
躊躇いがちに口を開く辰也さんを、美波さんはどこまでもまっすぐな瞳で見つめる。
辰也「美波、俺も……俺もお前が好きだっ!ずっとずっとお前のことがすきだったんだ!」
美波「タッちゃん……嬉しい……」
半ば叫ぶような勢いの辰也さんの告白に、浅丘さんは感極まったように瞳を潤ませ、そっと口元を押える。
吉音「はぁ~っ、良かったねぇ~♪」
悠「ああ、そうだな」
息をつめて成り行きを見守っていたおれ達も、喜ばしい結果にホッと表情を緩ませた。
一也「……それでいいんだよ、辰也兄さん」
辰也「一也……すまん」
美波「ごめんね……カッちゃん」
一也「言っただろ?僕に遠慮しないでくれってさ」
辰也「お前は強いな……ホント、おれみたいなダメ兄貴にゃ、もったいないくらい良い弟だよ」
一也「勘違いするなよ、兄さん。僕は美波を諦めたわけじゃない。もしも兄さんが浮気なんかしたら、遠慮なく美波を奪ってくからね?」
辰也「ばかやろっ、俺はお前みたいにモテねーよ。浮気なんかしたくても出来るすってーの!」
美波「へぇ~、浮気したいんだ?タッちゃん」
辰也「馬鹿っ違うって!これは言葉のあやでな……」
一也「美波、今からでも僕に乗り換えた方がよくない?」
美波「う~~ん、どうしょっかなぁ~っ♪」
辰也「俺が悪かった!何でもするから許してくれっ!」
美波「それなら、私のこと愛してるっていってみて」
辰也「そっ、そんな恥ずかしいこと言えるか馬鹿っ!」
一也「何でもするんだろ?兄さん」
辰也「くっ!一也、お前ぇ~っ」
美波「言えないってことは、私のことが好きっていうのはウソだったんだ……」
辰也「分かった!言う!言うからっ!」
一也「それじゃ、どーぞ」
辰也「なっ……中杉辰也は、浅丘美波を愛していますっ!」
美波「タッちゃん……ありがとう」
一也「あははっ、やっぱり兄さんには敵わないや」
想「ふふっ、これにて一件落着といったところですか」
悠「見事な裁きでしたね。これが「逢岡裁き」ってヤツですか」
仲睦まじい三人の様子に目を細めて微笑む逢岡さんに、おれは心底から感嘆の声を上げてしまった。規則や理に縛られるのではなく、あくまでその人の立場に立った温情にあふれた判断。奉行という施政を司る中核のひとりでありながら、逢岡さんが、広く庶民に慕われている理由が良く分かった。
吉音「う~~ん、でもさぁ、ふたりとも好きなんだったら、両方と付き合っちゃえばいいんじゃなーい?」
悠「ほむ…いや、ふむ」
こいつはまたフリーダムなことを……。
想「それじゃあ吉音さんは、小鳥遊君が私とあなた、ふたりともが好きだから、両方と付き合うっていってもいいの?」
悠「おぅっ?!」
逢岡さん、よりによってなんて例をだすんですか!
吉音「むぅぅ~~っ……それはちょっと、嫌かも……」
うんうんと唸っていた吉音が、口をへの字にすねと困ったようにゴニョゴニョと呟く。
悠「……」
吉音「レンアイって、なんか難しいねぇ」
想「そうですね、ふふふっ」
悠「まぁ、逆だったらおれは全然良いんだけどな。吉音と逢岡さんがおれを好きだから二人いっぺんにつきあうってのなら」
想「なにかいいました?」
おれは笑顔で首を左右に振った。大円満で終わっておくほうが良いしな。