ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【5】
ー大江戸学園:教室ー
想「こんにちは。南町奉行所の逢岡想いです。あなたが浅丘美波さんですよね?」
美波「はい、そうです。わざわざお越しいただいてすみません」
想「いえいえ、お気になさらず。あ、こちらは私のお手伝いをしていただいている、小鳥遊君と徳田さんです。」
悠「初めまして、小鳥遊です。どうぞよろしく」
吉音「こんにちは~♪あたしは徳田新、クラスは悠と同じ。よろしくね、美波ちゃん」
美波「こちらこそよろしくお願いします」
軽く自己紹介するおれ達に、浅丘さんは丁寧に頭を下げた。綺麗な女の子だったけど、目の下には濃いくまが浮かび、随分と疲れた様子に見えた。
想「顔色が良くないようですが、お身体、大丈夫ですか?」
美波「ええ。最近考え事が多くて……。夜あまりよく眠れていないだけですから」
心配そうに声をかける逢岡さんに、浅丘さんはさびしげな笑みを浮かべる。えらく悩んでるんだろう。実に気の毒だ。
吉音「ねねっ、それで告白されるってどんな気持……むぐぅっ!?」
空気を読まない発言をしようとした吉音の口を、おれがすかさず片手で塞ぐ。
悠「……」
吉音「んぷぅ!あにゅふんのっっ、んふもぉ!」
悠「いいから、ちょっと黙ってような?」
やっぱり、こいつには店で留守番してて貰った方が良かったかも知れなた。おれは額を抑えると、はぁと心の中で溜息をつく。
想「……詳しい話しを聞かせてもらってもいいですか?」
そんなおれたちの様子を、ちょっと困ったように横目で見ながら、逢岡さんが話を切り出した。
美波「あっ……はい。その……投函した文にも書いたとおり、私には幼馴染の双子の兄弟がいるんです。同い年で家も隣だった私たちは、今まで何をするのも一緒でした。それは、三人がそろってこの大江戸学園に入学してからも変わらず、私たちはこの先もずっと仲の良い三人でいられると、そうおもっていたんです。でも……」
いったん言葉を切った浅丘さんは、そっと悲しげに瞳を伏せる。
悠「……」
美波「昨日、カッちゃん……双子の弟の中杉一也君に「恋人として付き合って欲しい」と告白されました」
想「ああ、野球部の時期エースといわれている彼ですか」
美波「ええ。一也君は凄く真面目な頑張り屋さんで、ファンクラブもあるほど女の子にも人気があるんです」
そういえば、おれもクラスの女子が噂してるのを聞いたことがある。同じ学年に、記録的な完封勝利を続けている天才ピッチャーがいるってことを。
吉音「その双子のお兄さんの方には話したの?弟さんに告白されちゃったーって」
美波「タッちゃん……お兄さんの辰也君からは『弟のこと、真剣に考えてやってくれ』って言われて……」
想「つまり、辰也さんはあなた方二人がつきあうことに賛成しているということですか」
美波「そう……なんでしょうか?」
おずおずし顔を上げた浅丘さんは、不安そうにこちらを見つめてくる。
吉音「ん~、あたしは美波ちゃんの好きにしたらいいと思うんだけどなぁ。お兄さんも応援してくれてるんだし、一也って子が好きなら、遠慮せずに付き合っちゃえばいいんだよ」
美波「でも、私はタッちゃんをほ放っておけないんですっ!」
想「浅丘さん?」
激しく頭を振った浅丘さんが、喉の奥から絞り出すような声で叫ぶ。
美波「タッちゃんはカッちゃんと違って、だらしなくて、怠け者で、ぶっきら棒でっいつも弟のかっちゃんと比べられて、ダメ兄貴だって陰口をたたかれてるけどっ。でも違うんです!タッちゃんはホントは優しくて思いやりがある男の子なのに不器用だから、いつもみんなに誤解されて……それに、勉強だって運動だって、やる気を出せばちゃんとできるって私は知っています。だけど、皆から悪く言われるうちにすっかりひねくれてしまって……このままじゃ本当にダメになっちゃう。だから、タッちゃんには、私がついてあげないとダメなんです!」
押えていた感情が溢れだしたようなその様子に、おれ達は揃って言葉を失ってしまっていた。
想「こんにちは。南町奉行所の逢岡想いです。あなたが浅丘美波さんですよね?」
美波「はい、そうです。わざわざお越しいただいてすみません」
想「いえいえ、お気になさらず。あ、こちらは私のお手伝いをしていただいている、小鳥遊君と徳田さんです。」
悠「初めまして、小鳥遊です。どうぞよろしく」
吉音「こんにちは~♪あたしは徳田新、クラスは悠と同じ。よろしくね、美波ちゃん」
美波「こちらこそよろしくお願いします」
軽く自己紹介するおれ達に、浅丘さんは丁寧に頭を下げた。綺麗な女の子だったけど、目の下には濃いくまが浮かび、随分と疲れた様子に見えた。
想「顔色が良くないようですが、お身体、大丈夫ですか?」
美波「ええ。最近考え事が多くて……。夜あまりよく眠れていないだけですから」
心配そうに声をかける逢岡さんに、浅丘さんはさびしげな笑みを浮かべる。えらく悩んでるんだろう。実に気の毒だ。
吉音「ねねっ、それで告白されるってどんな気持……むぐぅっ!?」
空気を読まない発言をしようとした吉音の口を、おれがすかさず片手で塞ぐ。
悠「……」
吉音「んぷぅ!あにゅふんのっっ、んふもぉ!」
悠「いいから、ちょっと黙ってような?」
やっぱり、こいつには店で留守番してて貰った方が良かったかも知れなた。おれは額を抑えると、はぁと心の中で溜息をつく。
想「……詳しい話しを聞かせてもらってもいいですか?」
そんなおれたちの様子を、ちょっと困ったように横目で見ながら、逢岡さんが話を切り出した。
美波「あっ……はい。その……投函した文にも書いたとおり、私には幼馴染の双子の兄弟がいるんです。同い年で家も隣だった私たちは、今まで何をするのも一緒でした。それは、三人がそろってこの大江戸学園に入学してからも変わらず、私たちはこの先もずっと仲の良い三人でいられると、そうおもっていたんです。でも……」
いったん言葉を切った浅丘さんは、そっと悲しげに瞳を伏せる。
悠「……」
美波「昨日、カッちゃん……双子の弟の中杉一也君に「恋人として付き合って欲しい」と告白されました」
想「ああ、野球部の時期エースといわれている彼ですか」
美波「ええ。一也君は凄く真面目な頑張り屋さんで、ファンクラブもあるほど女の子にも人気があるんです」
そういえば、おれもクラスの女子が噂してるのを聞いたことがある。同じ学年に、記録的な完封勝利を続けている天才ピッチャーがいるってことを。
吉音「その双子のお兄さんの方には話したの?弟さんに告白されちゃったーって」
美波「タッちゃん……お兄さんの辰也君からは『弟のこと、真剣に考えてやってくれ』って言われて……」
想「つまり、辰也さんはあなた方二人がつきあうことに賛成しているということですか」
美波「そう……なんでしょうか?」
おずおずし顔を上げた浅丘さんは、不安そうにこちらを見つめてくる。
吉音「ん~、あたしは美波ちゃんの好きにしたらいいと思うんだけどなぁ。お兄さんも応援してくれてるんだし、一也って子が好きなら、遠慮せずに付き合っちゃえばいいんだよ」
美波「でも、私はタッちゃんをほ放っておけないんですっ!」
想「浅丘さん?」
激しく頭を振った浅丘さんが、喉の奥から絞り出すような声で叫ぶ。
美波「タッちゃんはカッちゃんと違って、だらしなくて、怠け者で、ぶっきら棒でっいつも弟のかっちゃんと比べられて、ダメ兄貴だって陰口をたたかれてるけどっ。でも違うんです!タッちゃんはホントは優しくて思いやりがある男の子なのに不器用だから、いつもみんなに誤解されて……それに、勉強だって運動だって、やる気を出せばちゃんとできるって私は知っています。だけど、皆から悪く言われるうちにすっかりひねくれてしまって……このままじゃ本当にダメになっちゃう。だから、タッちゃんには、私がついてあげないとダメなんです!」
押えていた感情が溢れだしたようなその様子に、おれ達は揃って言葉を失ってしまっていた。