ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【5】
ーねずみや前ー
由真「いらっしゃいま……なによ、なにしにきたの?」
悠「いきなり御挨拶だな……」
由真「見て分かるでしょ?ウチはアンタのところと違って忙しいの。客でもないなら帰って」
悠「一応今日は客として来たんだけどな……」
由真「はぁ?この時間はアンタのところも営業中でしょ?はっはーん、わかった。経営不振でついに音をあげて店をたたむ気になったのね」
悠「いや、ちが……」
由真「そういうことなら仕方ないわねぇ。アンタがどうしてもっていうならやとってあげないこともないわよ?」
悠「経営不振は否定しないけど、まだ店をたたむつもりはねぇよ」
由真「じゃあなによ、冷やかし?だったら帰って」
悠「だから客だってんだろ!」
由真「客?なんで隣で茶屋やってるアンタが、営業時間中にウチに来るのよ、意味分かんない」
悠「いや、その……実はちょっとパフェの出前を頼みたくてさ……」
由真「はぁっ?なんでウチのパフェをアンタのところに出前しなきゃなんないのよ!そんなめんどくさいことせずに、パフェが食べたいならウチの店で食べてけばいいじゃない」
悠「まあ、それはそうなんだけど……」
まいったな、ここで長谷河さんの名前を出してしまったら出前をする意味がないし。なんとか誤魔化さないと。
由真「なに?」
悠「店にいこうにもウチの茶屋も営業中なわけで……ほら、今週から期間限定で始まったパフェがあるだろ?どんなのか気になっちゃって……」
由真「アンタが食べるの?」
悠「おれだってパフェくらい食べたくなるときもあるさ」
由真「……ウチは基本的にテイクアウトはしてないんだけど」
悠「無理は承知の上、頼むよ。この通り!」
由真「そうねぇ……じゃあアンタの店を代金として差し出すっていうなら考えてあげてもいいけど」
悠「そりゃムチャクチャすぎるだろ……」
唯「あーっ!由真姉またサボってる!悠さんとイチャイチャしたいのはわかるけど、お店終わってからにしてよねー」
由真「……なっ!誰がこんなの何かとイチャイチャなんかっ///!」
悠「唯ちゃん、ちょうどよかった!お願いがあるんだけど……」
おれは唯ちゃんにパフェの出前して欲しいと頼むと、あっさりと承諾してくれた。
唯「すぐ持ってくるから、ちょっと待っててね。」
悠「ありがとう。食べ終わったら器を洗って持ってくるから」
由真「言っとくけど、ウチの商品パクったら承知しないからね!」
唯「ほーら、由真姉は店に戻る!お客さんが待ってるんだから!」
唯ちゃんに引きづられながら、由真は店内へ戻っていった。しかし、毎度毎度思うけど、どうして由真はおれをあんな目の敵にしてるんだろうか。
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
平良「おお、これが……」
テーブルに置かれたパフェを見つめながら、長谷河さんがうっとりした声を漏らす。
悠「どうぞ。」
平良「季節のフルーツで彩られ、なんと美しいことか……見ろ悠!バニラアイスの下に砕かれたマンゴーが敷き詰められている!最後まで飽きさせないという作り手の心遣い……流石はねずみやといったところか……これぞまさにパラダイス!パラダイスパフェという名にふさわしいっ!そう思わないか悠!」
悠「目当てのものを前にして興奮する気持ちもわかりますけど、早くしないとアイス溶けちゃいますよ?」
平良「おっと……わたしとしたことが、つい取り乱してしまったようだ……それではいただきます」
悠「はいはい、どうぞ堪能してください」
平良「んっ、んんっ……んー、おいしいっ!」
悠「…………」
平良「あ、んっんんっ!さ、さすがねずみや、絶品だな」
悠「…………」
平良「な、なんだ悠、お前のそのにやけた面は……」
悠「なんでもねーですよ。ゆっくりしていってくださいね」
思わず笑ってしまってたことを誤魔化すように、おれは顔を背け、掃除をする振りをした。長谷河さんも、あんな風に笑ったりするんだ。それもそうだよな。カッコ良く見えても、おれとそんなに変わらない同世代の女の子なんだから。
平良「んっ……イチゴもおいしい……」
長谷河さんの女の子な一面を見られて、ラッキーだ。なんてこと本人に言ったら、やっぱり怒られたりするのかな。
細いスプーンで丁寧に生クリームとアイスを救いとると、ゆっくりと口に運ぶ。
由真「いらっしゃいま……なによ、なにしにきたの?」
悠「いきなり御挨拶だな……」
由真「見て分かるでしょ?ウチはアンタのところと違って忙しいの。客でもないなら帰って」
悠「一応今日は客として来たんだけどな……」
由真「はぁ?この時間はアンタのところも営業中でしょ?はっはーん、わかった。経営不振でついに音をあげて店をたたむ気になったのね」
悠「いや、ちが……」
由真「そういうことなら仕方ないわねぇ。アンタがどうしてもっていうならやとってあげないこともないわよ?」
悠「経営不振は否定しないけど、まだ店をたたむつもりはねぇよ」
由真「じゃあなによ、冷やかし?だったら帰って」
悠「だから客だってんだろ!」
由真「客?なんで隣で茶屋やってるアンタが、営業時間中にウチに来るのよ、意味分かんない」
悠「いや、その……実はちょっとパフェの出前を頼みたくてさ……」
由真「はぁっ?なんでウチのパフェをアンタのところに出前しなきゃなんないのよ!そんなめんどくさいことせずに、パフェが食べたいならウチの店で食べてけばいいじゃない」
悠「まあ、それはそうなんだけど……」
まいったな、ここで長谷河さんの名前を出してしまったら出前をする意味がないし。なんとか誤魔化さないと。
由真「なに?」
悠「店にいこうにもウチの茶屋も営業中なわけで……ほら、今週から期間限定で始まったパフェがあるだろ?どんなのか気になっちゃって……」
由真「アンタが食べるの?」
悠「おれだってパフェくらい食べたくなるときもあるさ」
由真「……ウチは基本的にテイクアウトはしてないんだけど」
悠「無理は承知の上、頼むよ。この通り!」
由真「そうねぇ……じゃあアンタの店を代金として差し出すっていうなら考えてあげてもいいけど」
悠「そりゃムチャクチャすぎるだろ……」
唯「あーっ!由真姉またサボってる!悠さんとイチャイチャしたいのはわかるけど、お店終わってからにしてよねー」
由真「……なっ!誰がこんなの何かとイチャイチャなんかっ///!」
悠「唯ちゃん、ちょうどよかった!お願いがあるんだけど……」
おれは唯ちゃんにパフェの出前して欲しいと頼むと、あっさりと承諾してくれた。
唯「すぐ持ってくるから、ちょっと待っててね。」
悠「ありがとう。食べ終わったら器を洗って持ってくるから」
由真「言っとくけど、ウチの商品パクったら承知しないからね!」
唯「ほーら、由真姉は店に戻る!お客さんが待ってるんだから!」
唯ちゃんに引きづられながら、由真は店内へ戻っていった。しかし、毎度毎度思うけど、どうして由真はおれをあんな目の敵にしてるんだろうか。
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
平良「おお、これが……」
テーブルに置かれたパフェを見つめながら、長谷河さんがうっとりした声を漏らす。
悠「どうぞ。」
平良「季節のフルーツで彩られ、なんと美しいことか……見ろ悠!バニラアイスの下に砕かれたマンゴーが敷き詰められている!最後まで飽きさせないという作り手の心遣い……流石はねずみやといったところか……これぞまさにパラダイス!パラダイスパフェという名にふさわしいっ!そう思わないか悠!」
悠「目当てのものを前にして興奮する気持ちもわかりますけど、早くしないとアイス溶けちゃいますよ?」
平良「おっと……わたしとしたことが、つい取り乱してしまったようだ……それではいただきます」
悠「はいはい、どうぞ堪能してください」
平良「んっ、んんっ……んー、おいしいっ!」
悠「…………」
平良「あ、んっんんっ!さ、さすがねずみや、絶品だな」
悠「…………」
平良「な、なんだ悠、お前のそのにやけた面は……」
悠「なんでもねーですよ。ゆっくりしていってくださいね」
思わず笑ってしまってたことを誤魔化すように、おれは顔を背け、掃除をする振りをした。長谷河さんも、あんな風に笑ったりするんだ。それもそうだよな。カッコ良く見えても、おれとそんなに変わらない同世代の女の子なんだから。
平良「んっ……イチゴもおいしい……」
長谷河さんの女の子な一面を見られて、ラッキーだ。なんてこと本人に言ったら、やっぱり怒られたりするのかな。
細いスプーンで丁寧に生クリームとアイスを救いとると、ゆっくりと口に運ぶ。