ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【5】
ーねずみやー
唯「ほ~んと由真姉ってば素直じゃないっていうか……」
結花「唯」
唯「は~い。仕事に戻りま~す」
唯ちゃんは楽しそうに笑いながら、おれの淹れたアイスティーを客席へと運んで行く。
結花「じゃあ小鳥遊君、あとはお願いね」
悠「はいよ。任せてくださいな」
結花「ふふっ」
どんっと胸を叩いてみせると、結花さんがにっこりと笑ってくれた。そして母屋へと引きあげていく結花さんを見送り、おれは仕事に集中する。
由真「アイスティーとアイスミルクティー一つづつ」
悠「はーい、了解、了解」
~お仕事中~
ねずみやでの手伝いは、おおむね成功だったと言えるだろう。多少の不手際もあったりしたが、由真や唯ちゃんが助けてくれたおかげで、ちゃんと閉店までやり切った。
もっとも、用意されていたケーキが終わってしまったことで、普段よりもずいぶん早い店じまいだったのだが。結花さんがいれば追加で作ったり、軽食などもあるから、そういうことはめったにないらしい。まあ、おれにできる手伝いは十分にやったつもりだ。
ただひとつ問題があったとすれば……。
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
悠「本当に申し訳ありません!!」
吉音「ふ~んっだ」
小鳥遊堂へと戻って来たおれを待っていたのは、すっかりむくれた吉音だった。
悠「いや、ほんと悪かった。」
吉音「別にねずみやを手伝うならそれでもいいけど、ひと言くらいあってもよかったんじゃなーい?」
悠「いや、その……つい……」
吉音「つい、忘れてたんだ?あたしのこと?」
悠「え、あー…………」
吉音「そりゃあ、来るのが遅れたあたしも悪いけど、だからって忘れる?いつも一緒にやってるのにぃ」
悠「だーから本当に悪かったって。謝ってるだろ」
必死に頭を下げて謝るが、拗ねた吉音はなかなか機嫌を直してくれない。まあ、ずっとひとりで店番をしてくれてたほけだしな。客が来ないとはいえ……いや、客が来ないからこそ、退屈だったのだろう。
吉音「つーん!」
悠「つーんって……」
吉音「つーん!!」
悠「わかった……それじゃ、晩飯おごってやるから、それでどうにかさ」
吉音「えっ!?」
悠「おっ」
吉音「た、食べ物なんかにはつられないんだから」
悠「そこをなんとか。食後に大福もつけてやるから」
吉音「うっ……ううぅぅ~っ……」
食欲に負けて、早くも怒りの表情を保てなくなりつつある吉音の様子に、笑いたくなるのを必死にこらえる。さすがに、ここで笑っちゃダメだろ。今日は確実におれが悪かったわけだし。
悠「んんっ……あ、じゃあ、おかわりもいいぞ。晩飯、おかわりし放題。食後に大福とおはぎもつけてやる。」
吉音「おかわりも?!うううっ~~!!んぬぬぬっ~~!」
だが、怒りと食欲の板挟みになり、苦悶の表情を浮かべる吉音が面白すぎて……おれは結局、思い切り吹きだしてしまうのだった。
唯「ほ~んと由真姉ってば素直じゃないっていうか……」
結花「唯」
唯「は~い。仕事に戻りま~す」
唯ちゃんは楽しそうに笑いながら、おれの淹れたアイスティーを客席へと運んで行く。
結花「じゃあ小鳥遊君、あとはお願いね」
悠「はいよ。任せてくださいな」
結花「ふふっ」
どんっと胸を叩いてみせると、結花さんがにっこりと笑ってくれた。そして母屋へと引きあげていく結花さんを見送り、おれは仕事に集中する。
由真「アイスティーとアイスミルクティー一つづつ」
悠「はーい、了解、了解」
~お仕事中~
ねずみやでの手伝いは、おおむね成功だったと言えるだろう。多少の不手際もあったりしたが、由真や唯ちゃんが助けてくれたおかげで、ちゃんと閉店までやり切った。
もっとも、用意されていたケーキが終わってしまったことで、普段よりもずいぶん早い店じまいだったのだが。結花さんがいれば追加で作ったり、軽食などもあるから、そういうことはめったにないらしい。まあ、おれにできる手伝いは十分にやったつもりだ。
ただひとつ問題があったとすれば……。
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
悠「本当に申し訳ありません!!」
吉音「ふ~んっだ」
小鳥遊堂へと戻って来たおれを待っていたのは、すっかりむくれた吉音だった。
悠「いや、ほんと悪かった。」
吉音「別にねずみやを手伝うならそれでもいいけど、ひと言くらいあってもよかったんじゃなーい?」
悠「いや、その……つい……」
吉音「つい、忘れてたんだ?あたしのこと?」
悠「え、あー…………」
吉音「そりゃあ、来るのが遅れたあたしも悪いけど、だからって忘れる?いつも一緒にやってるのにぃ」
悠「だーから本当に悪かったって。謝ってるだろ」
必死に頭を下げて謝るが、拗ねた吉音はなかなか機嫌を直してくれない。まあ、ずっとひとりで店番をしてくれてたほけだしな。客が来ないとはいえ……いや、客が来ないからこそ、退屈だったのだろう。
吉音「つーん!」
悠「つーんって……」
吉音「つーん!!」
悠「わかった……それじゃ、晩飯おごってやるから、それでどうにかさ」
吉音「えっ!?」
悠「おっ」
吉音「た、食べ物なんかにはつられないんだから」
悠「そこをなんとか。食後に大福もつけてやるから」
吉音「うっ……ううぅぅ~っ……」
食欲に負けて、早くも怒りの表情を保てなくなりつつある吉音の様子に、笑いたくなるのを必死にこらえる。さすがに、ここで笑っちゃダメだろ。今日は確実におれが悪かったわけだし。
悠「んんっ……あ、じゃあ、おかわりもいいぞ。晩飯、おかわりし放題。食後に大福とおはぎもつけてやる。」
吉音「おかわりも?!うううっ~~!!んぬぬぬっ~~!」
だが、怒りと食欲の板挟みになり、苦悶の表情を浮かべる吉音が面白すぎて……おれは結局、思い切り吹きだしてしまうのだった。