ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【5】
ーねずみやー
唯「って、悠さんはなにを手伝ってくれるつもりなの」
悠「要は雑用さ。料理を作るのはダメでも、お茶を入れたりケーキを切り分けたり、洗いものくらいならできるだろ?あ、でも最初だけは結花さんが指示してくださいね。紅茶の入れ方とか覚えないとなんで」
三姉妹「「「……」」」
おれの提案に、三姉妹は顔を見合わせている。声には出さず視線だけのやり取りをしていたが、しばらくすると結花さんがおれの方に向き直った。
結花「じゃあ、おねがいできる? 」
由真「ちょっと結花姉!!」
唯「文句言うのは無しだからね。もともと由真姉がやるっていいだしたんだから。」
由真「でも……」
悠「おれじゃ役に立たないか?」
由真「そういうわけじゃ……」
由真は複雑な表情を浮かべておれを見つめてくる。やがて仕方なさそうに息を吐くと、ぷいっとおれから顔を逸らした。
悠「……」
由真「わかったわよ。アンタに借りを作るのは癪だけど、背に腹は変えられないし……でも、邪魔になるようなら追い出すからね?」
悠「はいはい。せいぜい頑張りますよ」
というわけで、おれはねずみやを手伝うことになったのだった。
唯「いらっしゃいませ~♪」
由真「そうなの。今日はドリンクとケーキだけ。ええ。ごめんなさいね」
ようやく開いた店に押しかけてきた客たちに、愛想良く対応している由真と唯ちゃん。その様子を店の奥から窺いながら、おれは結花さんから指導を受けていた。
結花「そうそう。そうやって最後の一滴までしっかり注いでね?」
悠「ういっす」
結花さんの指示に従い、何度か紅茶を入れてるうちに、だんだん感覚がつかめるようになってた気がする。
唯「悠さん。三番のお客さん、アイスティーふたつね」
悠「あいよ。あ、由真。五番のレモンティーできたぞ」
由真「了解」
由真はそっけなく返事すると、あらかじめ用意しておいたシフォンケーキと一緒にカップを運んで行く。
やれやれ。お客を相手するミたいにとは言わないが、もう少し愛想よくしてくれてもいいだろうに。まあ、期待するだけ無駄なんだろうが……。そんな自分の考えに苦笑いしつつ、新しく注文してきたアイスティーに取り掛かる。
悠「あ、結花さん、そろそろ休んだ方がいいんじゃないですか?」
結花「え?でも、やっぱり心配だし……」
悠「それじゃ、おれが手伝ってる意味が無いじゃないですか」
唯「そうそう。ここは悠さんを信じて上がらせてもらいなよ」
結花「でも……」
由真「だから大丈夫だって何度もいってんでしょ」
別の卓から食器を下げてきた由真が、それをおれに押し付けながら、なぜか睨むようなまなざしを向けてくる。
悠「なんだ?」
由真「まあ、コイツもいちおう使えるみたいだし、心配いらないってば」
結花「由真」
唯「へぇ~」
由真「……なによ?」
結花さんと唯ちゃんに見つめられ、由真がひるんだみたいに後ずさった。だが、チラリとまたおれの方を見ると、むっとして唇をとがらせる。
悠「……」
由真「結花姉の風が悪化して寝込むような事になったら大変だからいってるだけなんだからね」
唯「はいはい。そういうことにしといてあげる。」
由真「だから!」
結花「わかったわ。私はもう休むから、あなたたちも仕事に戻りなさい。お客さんが呼んでるわよ」
由真「…………」
苦笑いする結花さんになだめられ、由真は文句をいいかけた口を閉ざす。客席の方に戻る間際、わずかにおれを横目に見て……
悠「?」
由真「ふんっ」
目が合うと不機嫌そうに鼻を鳴らし、そして客席へと戻っていった。
唯「って、悠さんはなにを手伝ってくれるつもりなの」
悠「要は雑用さ。料理を作るのはダメでも、お茶を入れたりケーキを切り分けたり、洗いものくらいならできるだろ?あ、でも最初だけは結花さんが指示してくださいね。紅茶の入れ方とか覚えないとなんで」
三姉妹「「「……」」」
おれの提案に、三姉妹は顔を見合わせている。声には出さず視線だけのやり取りをしていたが、しばらくすると結花さんがおれの方に向き直った。
結花「じゃあ、おねがいできる? 」
由真「ちょっと結花姉!!」
唯「文句言うのは無しだからね。もともと由真姉がやるっていいだしたんだから。」
由真「でも……」
悠「おれじゃ役に立たないか?」
由真「そういうわけじゃ……」
由真は複雑な表情を浮かべておれを見つめてくる。やがて仕方なさそうに息を吐くと、ぷいっとおれから顔を逸らした。
悠「……」
由真「わかったわよ。アンタに借りを作るのは癪だけど、背に腹は変えられないし……でも、邪魔になるようなら追い出すからね?」
悠「はいはい。せいぜい頑張りますよ」
というわけで、おれはねずみやを手伝うことになったのだった。
唯「いらっしゃいませ~♪」
由真「そうなの。今日はドリンクとケーキだけ。ええ。ごめんなさいね」
ようやく開いた店に押しかけてきた客たちに、愛想良く対応している由真と唯ちゃん。その様子を店の奥から窺いながら、おれは結花さんから指導を受けていた。
結花「そうそう。そうやって最後の一滴までしっかり注いでね?」
悠「ういっす」
結花さんの指示に従い、何度か紅茶を入れてるうちに、だんだん感覚がつかめるようになってた気がする。
唯「悠さん。三番のお客さん、アイスティーふたつね」
悠「あいよ。あ、由真。五番のレモンティーできたぞ」
由真「了解」
由真はそっけなく返事すると、あらかじめ用意しておいたシフォンケーキと一緒にカップを運んで行く。
やれやれ。お客を相手するミたいにとは言わないが、もう少し愛想よくしてくれてもいいだろうに。まあ、期待するだけ無駄なんだろうが……。そんな自分の考えに苦笑いしつつ、新しく注文してきたアイスティーに取り掛かる。
悠「あ、結花さん、そろそろ休んだ方がいいんじゃないですか?」
結花「え?でも、やっぱり心配だし……」
悠「それじゃ、おれが手伝ってる意味が無いじゃないですか」
唯「そうそう。ここは悠さんを信じて上がらせてもらいなよ」
結花「でも……」
由真「だから大丈夫だって何度もいってんでしょ」
別の卓から食器を下げてきた由真が、それをおれに押し付けながら、なぜか睨むようなまなざしを向けてくる。
悠「なんだ?」
由真「まあ、コイツもいちおう使えるみたいだし、心配いらないってば」
結花「由真」
唯「へぇ~」
由真「……なによ?」
結花さんと唯ちゃんに見つめられ、由真がひるんだみたいに後ずさった。だが、チラリとまたおれの方を見ると、むっとして唇をとがらせる。
悠「……」
由真「結花姉の風が悪化して寝込むような事になったら大変だからいってるだけなんだからね」
唯「はいはい。そういうことにしといてあげる。」
由真「だから!」
結花「わかったわ。私はもう休むから、あなたたちも仕事に戻りなさい。お客さんが呼んでるわよ」
由真「…………」
苦笑いする結花さんになだめられ、由真は文句をいいかけた口を閉ざす。客席の方に戻る間際、わずかにおれを横目に見て……
悠「?」
由真「ふんっ」
目が合うと不機嫌そうに鼻を鳴らし、そして客席へと戻っていった。