ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【5】
越後屋と巨大賭博騒動が解決してから、いくらかの時が流れて……
ー大江戸学園:教室ー
悠「御前試合?」
輝「学園の中でもトップクラスに盛り上がる一大イベントさ!学園の外からでも見に来る人がいるんだよ」
由真「そりゃもうお祭り騒ぎよ。屋台はいつも以上にたくさん並ぶし、即席賭博場もそこら中に出来るしね」
悠「へぇ~……まぁ十万人がひとつのことに集中すれば、それだけでも相当なものだろうしな」
学園は、近々開催されるという御前試合の話題で持ちきりだった。生徒が刀を佩いて歩いていることからも分かる通り、大江戸学園は侍魂の復興もその理念のひとつにある。故に剣術の腕前というのは、大いに特別な意味を持つ。全校規模で競い合うこの剣術大会は、参加者の名誉と誇りをかけた真剣勝負の場である。らしい。
輝「その御前試合にゃふたつの形式があるんだ。まず乱取り。これはエントリーしたら基本的に誰でも出られる。でもルールがちょっと変わってて、いわゆるサバイバル戦になってるんだよ」
悠「鯖威張る……もとい、サバイバル?勝ち抜き戦って事か?」
輝「ここをどこだと思ってるんだい、そんな簡単なもんじゃないさ。まず戦場はこの学園島全体。そこにエントリーした剣士が全員同時に放りだされる。参加者はそれぞれ自由に動いて、ライバルと遭遇したらそこで試合開始。更にすごいのは、他人と対戦中の剣士に背後から襲いかかるもよし、徒党を組んで生き残るもよし、もちろん必死で逃げ回り、身を隠してやりすごすのだってアリだ。つまり完全無法地帯の、実戦場さながらのバトルが繰り広げられるってワケさ!わかるかい?」
悠「なるほど、大江戸学園らしいやり方だな」
それはバトルロワイヤルだろと突っ込みたくなるが、あながちサバイバルでも違っていないのか。
輝「優勝が決まればそこで終わるけれど、何人も残っちゃった場合ゃ、三日目まで続けられる。それでも決着がつかない場合は、斬った人数が多い法の勝ちとか、まぁいろいろハードなのさ」
悠「ふぅん」
この島がほぼ生徒自治に委ねられていて、外の社会の縮図のようなところになっているのに通じる。剣術大会といえど、実戦で役に立たない技術など価値はない、というところか。
輝「それともうひとつが、一騎打ち戦だね」
悠「なんだ、そういうのもあるのか」
輝「いやいや、これに参加できるのは学園のお偉方に選ばれた、ごく一握りの人だけなんだよ。本土からやってくる筆頭理事なんかの目のまえでする、まぁいわばデモンストレーションみたいなものでね。大抵は徳河の関係者とかばっかり出場する。おいらたちのような平民にゃ、あーんまり縁のない代物さ」
悠「なんだ……出ようと思っただけじゃ出られないのか」
由真「そもそも私は参加する気なんてないけど。でもこの時期はみんなの財布の紐が緩みやすくなるし、商売するには良いイベントよね」
なるほど、その実はどうあれ、大きなイベントで学園は活気づくなら良いことだな。
吉音「学園の一番偉い人はね、詠美ちゃんのお父さんなんだよ。今頃きっと張り切ってるよね」
悠「新は出場しないのか?乱取りなんて、お前が好きそうなスタイルじゃないか」
いつも大勢を、楽しそうにひとりでなぎ倒しているし。
吉音「ん~あたしは……えっと……えへへへ」
悠「なんだよその笑い方は」
吉音「その日はあたし、ちょっと用事があるんだー。だからみんなの応援かなっ」
悠「用事って、御前試合は全校規模なん…………あ」
そういえば吉音は徳河家のお嬢つまだったな。用事っていうのはもしかして、その一騎打ちの方の……?
由真「ん?どうしたのよ」
悠「いや……なんでも」
由真「怪しいわね……まぁ私はあんたたちが何を企んでようと、関係ないけど」
輝「面白いことなら、是非ともおいらを呼んでおくれよ!」
悪いが、それだけはないだろあなぁ……。
ー大江戸学園:教室ー
悠「御前試合?」
輝「学園の中でもトップクラスに盛り上がる一大イベントさ!学園の外からでも見に来る人がいるんだよ」
由真「そりゃもうお祭り騒ぎよ。屋台はいつも以上にたくさん並ぶし、即席賭博場もそこら中に出来るしね」
悠「へぇ~……まぁ十万人がひとつのことに集中すれば、それだけでも相当なものだろうしな」
学園は、近々開催されるという御前試合の話題で持ちきりだった。生徒が刀を佩いて歩いていることからも分かる通り、大江戸学園は侍魂の復興もその理念のひとつにある。故に剣術の腕前というのは、大いに特別な意味を持つ。全校規模で競い合うこの剣術大会は、参加者の名誉と誇りをかけた真剣勝負の場である。らしい。
輝「その御前試合にゃふたつの形式があるんだ。まず乱取り。これはエントリーしたら基本的に誰でも出られる。でもルールがちょっと変わってて、いわゆるサバイバル戦になってるんだよ」
悠「鯖威張る……もとい、サバイバル?勝ち抜き戦って事か?」
輝「ここをどこだと思ってるんだい、そんな簡単なもんじゃないさ。まず戦場はこの学園島全体。そこにエントリーした剣士が全員同時に放りだされる。参加者はそれぞれ自由に動いて、ライバルと遭遇したらそこで試合開始。更にすごいのは、他人と対戦中の剣士に背後から襲いかかるもよし、徒党を組んで生き残るもよし、もちろん必死で逃げ回り、身を隠してやりすごすのだってアリだ。つまり完全無法地帯の、実戦場さながらのバトルが繰り広げられるってワケさ!わかるかい?」
悠「なるほど、大江戸学園らしいやり方だな」
それはバトルロワイヤルだろと突っ込みたくなるが、あながちサバイバルでも違っていないのか。
輝「優勝が決まればそこで終わるけれど、何人も残っちゃった場合ゃ、三日目まで続けられる。それでも決着がつかない場合は、斬った人数が多い法の勝ちとか、まぁいろいろハードなのさ」
悠「ふぅん」
この島がほぼ生徒自治に委ねられていて、外の社会の縮図のようなところになっているのに通じる。剣術大会といえど、実戦で役に立たない技術など価値はない、というところか。
輝「それともうひとつが、一騎打ち戦だね」
悠「なんだ、そういうのもあるのか」
輝「いやいや、これに参加できるのは学園のお偉方に選ばれた、ごく一握りの人だけなんだよ。本土からやってくる筆頭理事なんかの目のまえでする、まぁいわばデモンストレーションみたいなものでね。大抵は徳河の関係者とかばっかり出場する。おいらたちのような平民にゃ、あーんまり縁のない代物さ」
悠「なんだ……出ようと思っただけじゃ出られないのか」
由真「そもそも私は参加する気なんてないけど。でもこの時期はみんなの財布の紐が緩みやすくなるし、商売するには良いイベントよね」
なるほど、その実はどうあれ、大きなイベントで学園は活気づくなら良いことだな。
吉音「学園の一番偉い人はね、詠美ちゃんのお父さんなんだよ。今頃きっと張り切ってるよね」
悠「新は出場しないのか?乱取りなんて、お前が好きそうなスタイルじゃないか」
いつも大勢を、楽しそうにひとりでなぎ倒しているし。
吉音「ん~あたしは……えっと……えへへへ」
悠「なんだよその笑い方は」
吉音「その日はあたし、ちょっと用事があるんだー。だからみんなの応援かなっ」
悠「用事って、御前試合は全校規模なん…………あ」
そういえば吉音は徳河家のお嬢つまだったな。用事っていうのはもしかして、その一騎打ちの方の……?
由真「ん?どうしたのよ」
悠「いや……なんでも」
由真「怪しいわね……まぁ私はあんたたちが何を企んでようと、関係ないけど」
輝「面白いことなら、是非ともおいらを呼んでおくれよ!」
悪いが、それだけはないだろあなぁ……。