ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【4】
ー長屋通りー
吉音「あっ、天国ちゃんだーっ!」
悠「おい……。」
道を歩いてると突然吉音が走りだした。昨日唸ってた奴とは思えないほど今日はもうぴんぴんしている。
奴が向かった先には、天国こと玖慈信乃の姿があった。吉音はああいう可愛らしい子が大好きだからなぁ。
吉音「天国ちゃん、こんにちはーっ」
信乃「あ……えと、こんにちはだぜ……です」
悠「うん、こんにちは」
……と、挨拶を返しながらも、実はさっきからすごく気になっていることがある。
吉音「ねえねえ、手に持っているその針がね、なあに?」
悠「あ、それ、おれも気になってたんだ。それってたしか、ダウジングだよな?」
信乃「ええ、そうです。ダウジングロッドで……だぜっ」
勝手にしどろもどろしている信乃が両手に握っているのは、L字に曲げられた針金だ。鉱脈や水脈の近くに来ると針金が反応するというもの。他にもペンデュラム・ダウジング(振り子)、ロッド・ダウジングのY字形の棒なんかがある
悠「埋蔵金でも探してるのか?前の将軍が姿を消すときに金を持ち逃げしたとか言う噂があるけど」
だけど信乃は、おれの言葉にきょとんとした顔をした。
信乃「埋蔵金、ですか……?」
悠「あれ、違うのか?」
予想と異なる反応に戸惑ったところで、通りの向こうから呼びかけてくる声がした。
平和「おーい、天国ぅ。見つかったぁ?」
信乃「あ、姫様」
平和「あれ?悠さんに新さんも一緒だったんだ」
信乃「ええ。いまここで会って、、ちょっとお話を――」
平和「あっ!悠さんも狙ってるんでござるねーっ!」
信乃の言葉を途中で遮って、平和はおれと吉音に大声をぶつけてきた。
悠「え……いや別にそういうわけでは」
埋蔵金でないにせよ、なにかお宝が見つかるのならうらやましいとは思うけど。
平和「油断していたでござるよ……悠さんたちがそんな温泉好きだったなんて……!」
悠「……温泉?」
平和「だけど、学園初の温泉を掘り当てる名誉は拙者達のものでござるよ。譲らないでござるよーっ!」
つばめ「わたくしたちが探しているのは、埋蔵金などではありませんわ」
悠「うわっ、いつの間に!?」
横からにゅっと現れて会議に混ざってきたつばめに、おれは軽く仰け反って驚いてしまう。だけど、平和や信乃はまったく驚いていない。
平和「お~、つばめ。そっちは見つかった?」
つばめ「いいえ~。どこの地面に聴診器を当てても、足音しかしませんでした」
平和「そっかぁ。私もマミヤに頑張ってもらったんだけど、成果なしだったよ」
信乃「私のほうもさっぱりです。手作りのダウジングロッドじゃ無理なんでしょうか……」
吉音「ねぇ、みんな温泉を探していたの?」
つばめ「はい。わたしたちの家のお風呂ですと、どこも三人一緒に入るには少々狭いんですよ」
吉音「ああ~、だから温泉をさがしていたんだね」
悠「その納得の仕方はおかしいだろ」
平和「というか、そんな理由じゃないでござるよ!拙者たちは、何かと荒みがちな学園生活にヒーリングポイントを作ろうとしてるのでござるよ。けっして、広いお風呂でみんな一緒に泳いだりしたいからじゃないのでござる!」
そこまであからさまに言われると、かえって突っ込めない。どうせいつものことだ。飽きるまで放っておこう。
吉音「あっ、天国ちゃんだーっ!」
悠「おい……。」
道を歩いてると突然吉音が走りだした。昨日唸ってた奴とは思えないほど今日はもうぴんぴんしている。
奴が向かった先には、天国こと玖慈信乃の姿があった。吉音はああいう可愛らしい子が大好きだからなぁ。
吉音「天国ちゃん、こんにちはーっ」
信乃「あ……えと、こんにちはだぜ……です」
悠「うん、こんにちは」
……と、挨拶を返しながらも、実はさっきからすごく気になっていることがある。
吉音「ねえねえ、手に持っているその針がね、なあに?」
悠「あ、それ、おれも気になってたんだ。それってたしか、ダウジングだよな?」
信乃「ええ、そうです。ダウジングロッドで……だぜっ」
勝手にしどろもどろしている信乃が両手に握っているのは、L字に曲げられた針金だ。鉱脈や水脈の近くに来ると針金が反応するというもの。他にもペンデュラム・ダウジング(振り子)、ロッド・ダウジングのY字形の棒なんかがある
悠「埋蔵金でも探してるのか?前の将軍が姿を消すときに金を持ち逃げしたとか言う噂があるけど」
だけど信乃は、おれの言葉にきょとんとした顔をした。
信乃「埋蔵金、ですか……?」
悠「あれ、違うのか?」
予想と異なる反応に戸惑ったところで、通りの向こうから呼びかけてくる声がした。
平和「おーい、天国ぅ。見つかったぁ?」
信乃「あ、姫様」
平和「あれ?悠さんに新さんも一緒だったんだ」
信乃「ええ。いまここで会って、、ちょっとお話を――」
平和「あっ!悠さんも狙ってるんでござるねーっ!」
信乃の言葉を途中で遮って、平和はおれと吉音に大声をぶつけてきた。
悠「え……いや別にそういうわけでは」
埋蔵金でないにせよ、なにかお宝が見つかるのならうらやましいとは思うけど。
平和「油断していたでござるよ……悠さんたちがそんな温泉好きだったなんて……!」
悠「……温泉?」
平和「だけど、学園初の温泉を掘り当てる名誉は拙者達のものでござるよ。譲らないでござるよーっ!」
つばめ「わたくしたちが探しているのは、埋蔵金などではありませんわ」
悠「うわっ、いつの間に!?」
横からにゅっと現れて会議に混ざってきたつばめに、おれは軽く仰け反って驚いてしまう。だけど、平和や信乃はまったく驚いていない。
平和「お~、つばめ。そっちは見つかった?」
つばめ「いいえ~。どこの地面に聴診器を当てても、足音しかしませんでした」
平和「そっかぁ。私もマミヤに頑張ってもらったんだけど、成果なしだったよ」
信乃「私のほうもさっぱりです。手作りのダウジングロッドじゃ無理なんでしょうか……」
吉音「ねぇ、みんな温泉を探していたの?」
つばめ「はい。わたしたちの家のお風呂ですと、どこも三人一緒に入るには少々狭いんですよ」
吉音「ああ~、だから温泉をさがしていたんだね」
悠「その納得の仕方はおかしいだろ」
平和「というか、そんな理由じゃないでござるよ!拙者たちは、何かと荒みがちな学園生活にヒーリングポイントを作ろうとしてるのでござるよ。けっして、広いお風呂でみんな一緒に泳いだりしたいからじゃないのでござる!」
そこまであからさまに言われると、かえって突っ込めない。どうせいつものことだ。飽きるまで放っておこう。