ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【4】

ー久秀の屋敷:敷地内ー

悠「ふー……」

啄朴「あ…ぁっ……うっ……」

悠「なんだ、案外簡単に落ちたな……。」

「やべーぞ!」

「警報をならせ!!」

「どこだ!火の手はどこだっ!!」

悠「え?えっ?」

左近「悠さん、ボーっとしてないでいきますよ!今がチャンスです」

悠「お、おぅっ!!」

左近「しっかし、無茶しますねぇ!」

悠「無茶って、ムチャクチャしてんのはお前ら側の人間だろ!!砂鉄の杭なんか打ち込まれたら洒落にならないぞ!」

左近「いやいや、そーでなくで」

悠「なんだよ!」

左近「いや、アンタあそこが何処だったか忘れてませんかぃ?」

悠「あー?」

左近「いくら外とはいえ火薬工場のど真ん中で大掛かりな発火させるなんて……一歩間違えば大惨事でしたぜぇ?」

悠「……」

左近「……」

悠「やっべえぇぇぇぇぇ!!めちゃくちゃめべえぇぇぇことしてたぁぁぁぁ!!」

左近「この人、馬鹿なのか賢いのか分かりゃしませんねぇ……」

悠「なるほど、だから黒装束が一気にバタバタし出したのか」

左近「そりゃいきなり火薬工場で火柱なんか上がったら大騒ぎもするでしょうよ……。っていうか、ついでだから聞いといていいですかぃ?」

悠「こんな時になんだよ。」

左近「磁力も効かない、火も風も操れる、アンタはなにが効くんですかぃ?」

悠「効かないわけじゃないし操れるわけでもない。単純に火を燃やしてるのは酸素だ。酸素が濃い方、濃い方へと火は向かうんだから押し上げたら上空にあがっていくのは当然の結果だし、ある程度上がりきったら酸素は当然薄くなって燃やす物がなくなり霧散する。」

左近「いや、理屈は分かりますけどやってることは理屈じゃ済まないでしょ」

悠「成功した時点で結果オーライなんだよ」

左近「火薬工場ということは忘れてても?」

悠「……引火しなかったからいいんだよ」

左近「アンタ側に着いたのは失敗だったんじゃないかと後悔してきましたよ……。」

悠「痛っ……」

左近「どーかしましたか?」

悠「お前らっておれの左肩に恨みでもあんのか?」

左近「はい?」

悠「啄朴のやつ左肩を思いっきりブッ叩きやがった。昨日お前にやられたのを含めてそろそろ本気で左腕が壊れそうだ。」

左近「あー……そいつはお気の毒で」

悠「他人事じゃねーぞおい」

左近「いやぁ、たぶんそれは鷹丸が報告したんでしょうね。私と闘っとき肩にダメージを負ったと」

悠「ほんと、ロクでもない奴ばっかりだな!!」

左近「でーすーから、私に怒ったって筋違いですてのっ。」

悠「どーだかなぁ」

左近「もー、無事に逃げだせたんだから後にしましょうよ。いったんどっかで休まないと悠さんも辛いでしょう」

悠「正直……肩は痛い」

左近「……あの肩だけですかぃ?」

悠「あー?」

左近「いや、さっきからポタポタと落ちてますよ……血」

悠「ああ、太もも刺されたからな。大して深い傷じゃないしもう少ししたら血は止まる。」

左近「どういう身体の構造してるんだか……」

悠「人よりちょっと止血が早いだけだ」
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