ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【4】

ー大江戸学園海岸付近ー

悠「ちょっと待て」

左近「はい?」

悠「ここは……もう海岸だぞ」

左近「そうですねぇ」

悠「ですねぇ……じゃねーよ。何処に向かってんだよ」

左近「だから、松永御嬢さんのところでしょう」

悠「……」

左近「小鳥遊さん、大江戸学園で「火薬」を扱ってる場所が何処だか知ってますかぃ?」

悠「いいや。」

左近「大きく分けて三つ。一つは街中これは普通に販売してる物ですね。もともとここが温暖な島なのはご存じだと思いますが、その甲斐あって花火も年中扱われてるって訳です。それはさておいて、管理所……まぁ、火薬なんてのは当然危険物ですからねぇ。祭りごと様な大規模な火薬は一部の役人が厳重に保管しています。っで、最後が……」

悠「松永の火薬工場」

左近「そう。まぁ、花火師だけだったら街中にも点々とはありますが松永との関係があるはずです多分」

悠「なんでそこでアバウトになった」

左近「越後屋さんの息のかかった人間をあげてけっていって全部調べられますかぃ?」

悠「そういう規模での力あるんだ」

左近「花火師も火薬も数少ない技術者ですからねぇ。建築業なみにレアですよ」

悠「話を前に進めろ」

左近「松永御嬢さんは万が一事故が起こったことを想定して海岸近くに本元の工場を造ったんですよ。ほら、見えてきた。」

悠「え、どれ?」

左近「そこの長屋からあっちまでですよ」

悠「は?」

左近「路面電車はここまで通ってますがいちいち学校終わってここまで来て中央まで戻ってたら不便だからって工場近くに長屋たてさせたんですよ。職人専用のね」

悠「よっぽど優遇されてんだな」

左近「優遇もされてるし、手もとの職人にしっかりと首輪をつけているんでしょうね。」

悠「なるほど……。」

左近「まぁ、それでもここらが名所にまでなったのは松永お嬢さんの力あってですよ。なので、管轄区の私みたいなのは頭が上がらない」

悠「だからって、奉行の人間がひと襲うってのし道理が通らんからな」

左近「私も辛いんですからねぇ……さて、着きましたよ」

悠「おいおい、結構立派な屋敷じゃないかよ」

左近「そりゃそうでしょう。じゃ、帰りましょうか」

悠「松永の所まで連れていけ。斬馬刀へし折るぞ」

左近「えー……」

「そこの御二方」

悠「あー?」

左近「おや……」

鷹丸「失礼。私、鷹丸というものですが……小鳥遊悠殿に御伽ヶ島左近殿でいらっしゃいますね。主よりお二人のご案内を仰せつかっております。どうぞ、ご入場ください」

悠「……左近?」

左近「携帯まで取り上げられてたんだから私がなにか連絡してる訳無いじゃないですか……もちろん、私がやられたことなんて筒抜けになっているでしょうけどねぇ。鷹丸さん?」

鷹丸「当然のことかと」

左近「あっはは、聞きました?当然分かってて助けてくれないのって酷いですよねぇ」

悠「……どうかしたのか?」

左近「いえいえ、別に」

鷹丸「では、どうぞ、こちらからお入りください」

悠「……左近、返しといてやる」

左近「おっと、これはどうも。んー、やっぱりしっくりきますね。それじゃ私はここら辺で……」

悠「それ、もういいから。とっとと行くぞ」
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