ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【4】

ー新宿:小鳥遊堂ー

悠「んんっーー……はぁー、よっく寝た。左腕も全然動くし、イケるな。」

左近「ぐぅぅ……」

悠「コイツ何だかんだで、縛られたまま寝てやがる……。おい、おっさん。おっさん、起きろ。」

左近「うーん……今日は休みですよ?ゆっくり寝かせてくださいって」

悠「なに、安眠モードなんだコイツは……起きろッ!」

ゲシッ!
左近「んんっ……あー?今、蹴りましたかぁ?」

悠「いつまで寝ボケてんだ。とっとと起きろ。」

左近「……あぁ、そういえば小鳥遊さんに拉致監禁されてたんでしたねぇ。」

悠「ざっけんな。暴行と器物破損の現行犯だろ」

左近「屋根を壊したのは私が原因じゃなく悠さんでしょう」

悠「お前も屋根と同じ運命にしてやろうか」

左近「ははっー、勘弁してくださいよ。昨日のだけでもう十分痛みは堪能しましたから」

悠「…………縄を解いてやるが逃げんなよ」

左近「今さら逃げませんよ。明丘居士刀(斬馬刀)も返してもらってませんからね」

悠「事が済み次第返してやる。まずは、これだ」

左近「紙と筆?」

悠「一筆書け。」

左近「なにをです?」

悠「決まってるだろ。壊れた物の全額修繕費を払うことの誓約書と即座に建築士を確保采配して修繕にとりかからせるための各種委任状。」

左近「そんな無茶なぁ」

悠「無茶でもないんだろ。そういう才能があるからお前は今の立場に居るんだし、こういうことが本職だろうが」

左近「それは……嫌味ですか?本当に認めてくださっての発言ですかぃ?」

悠「好きな方にとれ。こっちはお前をこうやって力に頼るしか方法がないから一筆書かしてるんだ。」

左近「……反故するかもしれませんよぅ?もしかしたら有ること無いことで店を閉めさせるかも」

悠「そうなったら……お前の面を満足するまで殴って、潔く店をたたんで出ていくさ。おれはもともとこっちのちゃんとした生徒でもないしな」

左近「……あー、もー、わかりましたよ。ぜーんぶやらせてもらいますよ。」

悠「素直だな」

左近「アナタとじゃれあう程度ならともかく本気で敵になんか回したくありませんし、なにより……」

悠「なにより?」

左近「……いえ、いえ、お気になさらず。はい、書けましたよ。」

悠「じゃあ行くぞ。」

左近「随分急ぎ足ですね……まだ、早朝も早朝ですよ?」

悠「新がくる前にこの場を離れときたい。説明したらついてくるだろうしな」

左近「あー、なるほど。しっかし、べた惚れですかぁ?」

悠「べー、女を嫌うことなんてほとんどないっーの」

左近「ま、構いませんけどね。ですが、交通機関がまだ動いて無いんで……歩きになりますよ」

悠「問題ねぇよ。ほら、立て」

左近「あれ、刀は悠さんが持つんですかい?」

悠「ちゃんと案内したら返してやる」

左近「まるでガキの使いだなぁ」

悠「お前はいちいちうるさいな……っか、さっきからなにちょこちょこ名前で呼んでんだよ」

左近「そこはいいじゃないですか。あ、なんだったら私の事は「さっちゃん」って呼んでくれてもいいですよ?」

悠「斬馬刀の一撃がどれだけ痛かったか我が身で感じてみるか?ん?」

左近「いやいやー、それは遠慮ぅしておきます。ささっ、いきましょう。さくっとご案内させていただきますよ。」

悠「はー……調子狂う」
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