ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【4】
ー新宿:小鳥遊堂ー
「痛ってて……あー、これ、折れちゃってませんか?いや、ちょっとホント怪我とか痛いのは嫌なんですよ。痛っっ……。」
「だからよォ……ひとのドアタマかち割ろうとした人間のセリフぢゃねーっーの!オタクさぁ聞こえてる?」
「私はもともと机でペン走らせてるような人間ですよ?こんな風に自分で動くのは向かないんですよ。色白だし……ちょっと、黒子さん達、ちゃんとお金払ってるんだから、私が危なくなったら小鳥遊さん目掛けて攻撃して足止めでもなんでもしてくださいよ」
黒装束たちは一斉に首を左右に振ったどうやら取り囲んではいるが、二人の闘いに横やりを入れるつもりはないらしい。たぶんヘタに手を出したら巻きこまれると理解(わ)かったので専守防衛に徹するのだろう。
おれは左肩を撫でつついった。
「オイコラ老け顔!」
「誰が老け顔ですか」
「自覚あるんじゃねーか。っか、シキサイをこっちに仕向けんな!」
その場で右足を踏みつけた。衝撃にで砂が吹いてすぐ側まで近付いていたシキサイのシルエットが揺らぐ。左近は驚いた顔をする。
「おや……いったい、どうして分かったんで?」
「おれはナルガクルガ希少種の動きすら先読みできるんだよ。リアルで存在してるトカゲの気配すら読めなくてどーする」
「どんな理屈かは不明ですけど無茶苦茶言ってくれますね……。さっきは言いはしませんでしたけど透明化中は消音で気配なんか探知できない仕様なんですよこの子……。」
「じゃあ、その程度ってことだろ。」
「その程度……ですかい。まったく、お嬢さんもとんでもないお人を気にいってくれますよ。こうなると……卑怯な手を使うしかありませんねぇ。」
「いや、お前はさっきから卑怯な手しか使ってないだろっ!」
左近はおれの言葉を無視していつの間にか手元に戻したシキサイのステルスモードを解除して身体に戻している。ただ、今度はどこか部分的に隙間があるようにではなくおおよその部位を守るよう広面積にだ。っか、なんかでかくなってね?あのトカゲ。
「透明化せずに体積を増やしたんですよ。これは能力じゃないのであしからず。」
「心を読むな、っか、それ見た目トカゲに食われてるみたいだぞ」
「私ってゲームとかで見た目より性能重視する方なんで気にしません」
「あっそ……。っか、いっていいか?」
「なんです?」
「その様子だと面積広げたら透明化できないんだろうけど……目見えて守られてる場所がわかるんなら、普通に顔面狙うけどいいのか?守られてないし。」
そう、確かに防御面積は上がって隙は無くなっているっぽいが実体があって顔面にかぶされば自分も見えなくなるので顔はノーたガード状態だ。
「……やだな、ちょっとした冗談ですよ。」
シキサイは縮みながら透明化する。コイツ何がしたかったんだろうか……。何がしたい……そうだ、本当に何がしたいのか聞いてみることにした。
「あのさ、いったいおれがどうなれば消えてくれるの?」
「えーと……明確なことは聞いてないんですが」
そこは聞いとけよ。一番大事なことだろこの老け顔。
「まあ、動けなくなる程度に傷ついてくれたらいいと思います。」
「ふざけろ。じゃあ、それ以外でおれはどうやったらお前から解放される」
「嫌ですねぇ。そんなの決まってるじゃないですか、アナタが今までしてきたことと同じですよ。「力づくで倒す」……です。」
良く分からない絡まれ方とはこういうことをいうのだろう。だが、それでもシンプルな答えをいただけたし、おれもシンプルにコイツのことが嫌いになったのでぶん殴ることにした。
震脚を応用した踏み込みと同時に落とした腰を振り抜く。つま先から腰へと放たれた力の筋は腹筋を貫き肩へと走る。前へ前へ、身体の持つ骨は、筋の肉は自然とあるべき体勢へと動いていく。何かを殴る。それは人類が持つ最古の攻撃手段であり、最高の攻撃方法だ。シキサイが居るも居ないも関係ない。ソレもろともぶっ飛ばしてやればいい。
「そういえば……お姫様はお元気ですか?」
「っ……。」
奴の面、皮一枚の寸前でおれは拳を止めた。
「徳田新……正確には徳河吉音。バレたら……困ったりしますか?」
「お前……そーいう手段つかうんだ。」
「ライオンは兎を狩るにも全力を出す。兎でも全力を出すのに相手が化け物となれば……もう手段は選びません。っというか……選べません。」
「痛ってて……あー、これ、折れちゃってませんか?いや、ちょっとホント怪我とか痛いのは嫌なんですよ。痛っっ……。」
「だからよォ……ひとのドアタマかち割ろうとした人間のセリフぢゃねーっーの!オタクさぁ聞こえてる?」
「私はもともと机でペン走らせてるような人間ですよ?こんな風に自分で動くのは向かないんですよ。色白だし……ちょっと、黒子さん達、ちゃんとお金払ってるんだから、私が危なくなったら小鳥遊さん目掛けて攻撃して足止めでもなんでもしてくださいよ」
黒装束たちは一斉に首を左右に振ったどうやら取り囲んではいるが、二人の闘いに横やりを入れるつもりはないらしい。たぶんヘタに手を出したら巻きこまれると理解(わ)かったので専守防衛に徹するのだろう。
おれは左肩を撫でつついった。
「オイコラ老け顔!」
「誰が老け顔ですか」
「自覚あるんじゃねーか。っか、シキサイをこっちに仕向けんな!」
その場で右足を踏みつけた。衝撃にで砂が吹いてすぐ側まで近付いていたシキサイのシルエットが揺らぐ。左近は驚いた顔をする。
「おや……いったい、どうして分かったんで?」
「おれはナルガクルガ希少種の動きすら先読みできるんだよ。リアルで存在してるトカゲの気配すら読めなくてどーする」
「どんな理屈かは不明ですけど無茶苦茶言ってくれますね……。さっきは言いはしませんでしたけど透明化中は消音で気配なんか探知できない仕様なんですよこの子……。」
「じゃあ、その程度ってことだろ。」
「その程度……ですかい。まったく、お嬢さんもとんでもないお人を気にいってくれますよ。こうなると……卑怯な手を使うしかありませんねぇ。」
「いや、お前はさっきから卑怯な手しか使ってないだろっ!」
左近はおれの言葉を無視していつの間にか手元に戻したシキサイのステルスモードを解除して身体に戻している。ただ、今度はどこか部分的に隙間があるようにではなくおおよその部位を守るよう広面積にだ。っか、なんかでかくなってね?あのトカゲ。
「透明化せずに体積を増やしたんですよ。これは能力じゃないのであしからず。」
「心を読むな、っか、それ見た目トカゲに食われてるみたいだぞ」
「私ってゲームとかで見た目より性能重視する方なんで気にしません」
「あっそ……。っか、いっていいか?」
「なんです?」
「その様子だと面積広げたら透明化できないんだろうけど……目見えて守られてる場所がわかるんなら、普通に顔面狙うけどいいのか?守られてないし。」
そう、確かに防御面積は上がって隙は無くなっているっぽいが実体があって顔面にかぶされば自分も見えなくなるので顔はノーたガード状態だ。
「……やだな、ちょっとした冗談ですよ。」
シキサイは縮みながら透明化する。コイツ何がしたかったんだろうか……。何がしたい……そうだ、本当に何がしたいのか聞いてみることにした。
「あのさ、いったいおれがどうなれば消えてくれるの?」
「えーと……明確なことは聞いてないんですが」
そこは聞いとけよ。一番大事なことだろこの老け顔。
「まあ、動けなくなる程度に傷ついてくれたらいいと思います。」
「ふざけろ。じゃあ、それ以外でおれはどうやったらお前から解放される」
「嫌ですねぇ。そんなの決まってるじゃないですか、アナタが今までしてきたことと同じですよ。「力づくで倒す」……です。」
良く分からない絡まれ方とはこういうことをいうのだろう。だが、それでもシンプルな答えをいただけたし、おれもシンプルにコイツのことが嫌いになったのでぶん殴ることにした。
震脚を応用した踏み込みと同時に落とした腰を振り抜く。つま先から腰へと放たれた力の筋は腹筋を貫き肩へと走る。前へ前へ、身体の持つ骨は、筋の肉は自然とあるべき体勢へと動いていく。何かを殴る。それは人類が持つ最古の攻撃手段であり、最高の攻撃方法だ。シキサイが居るも居ないも関係ない。ソレもろともぶっ飛ばしてやればいい。
「そういえば……お姫様はお元気ですか?」
「っ……。」
奴の面、皮一枚の寸前でおれは拳を止めた。
「徳田新……正確には徳河吉音。バレたら……困ったりしますか?」
「お前……そーいう手段つかうんだ。」
「ライオンは兎を狩るにも全力を出す。兎でも全力を出すのに相手が化け物となれば……もう手段は選びません。っというか……選べません。」