ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【4】
ー新宿:小鳥遊堂ー
越後屋「ええ、それはもちろん構わへんよ」
悠「……という感じなんだが、これで大丈夫か?新」
吉音「ん~そだね、おっけいじゃないかな」
悠「相変わらず、緩いなぁ……」
吉音「悪いお役人以外で、困る人いないんでしょ?なら大丈夫かなって」
軽いようで、案外要点はしっかり押えてるので侮れない。
越後屋「ほな、契約ご成立ということで」
悠「……その前に、最後にあと一つだけ、いいか?」
越後屋「あらあら、意外と欲張りなんやね」
悠「越後屋の企みに、おれも同行させてくれ」
越後屋「なるほど……監視しておきたいと、そういうことですか」
悠「お手伝いが出来ればと思っただけだよ。全部お任せでは、気が引けるからな」
無論本音は、見透かされてる通りだ。そして、バレてて全然問題ない。店に目安箱を置いてる以上、おれにだって責任はある。それを果たす程度の義務感は持ち合わせていた。
越後屋「けど、お店の方はよろしいの?」
悠「正直、よろしくないんだが……まぁ、現状こんな感じだしな……この一件が片付いてから、盛り返すとするさ」
ふり返るまでもなく、風通しのいい店内は開店休業状態と言えた。客足が悪いのは悩みだったが、同時に、これ以上落ちてもさほど変わらないという気楽さもあった。いやはや、いいんだか悪いんだか……。
越後屋「ほほほ、分かりました。ウチとしては何の問題もあらしまへん。では早速行動とまいりまひょ」
鷹屋「お二人とも、よろしくお願いします!」
悠「ということで、新。店はしばらく休みだ。お前も好きにしていいぞ。」
吉音「ちょ……悠!!」
悠「今回はチャンバラはないぞ。ず~っと座っての話ばっかりだ。我慢できるのか?」
吉音「それは……わかんないけど」
悠「いや、お前は出来ない。絶対に無理。赤き真実で我慢できないと宣言できる。だから、お留守番だ。」
吉音「んも~!じゃどおして聞いたのよっ!」
悠「ひゃひゃひゃ~っ。」
などと喚く吉音を残し、早速おれと越後屋は住宅与力の元へ向かった。鷹屋さんと一緒にいるところを見られるわけにはいかないので、当然別れる。さてここからが、越後屋流の正念場だな……。
ー住宅与力の屋敷ー
住宅与力「ほう、そちが越後屋か。評判などはわしの耳にも入ってきとるぞ」
越後屋「ウチのような者の名前を知ってくださっていたなんて、嬉しいおす。どうぞ、よしなに」
おれは付き人という設定で、越後屋の斜め後ろで控えていた。職人たちを締めつけている住宅与力は、典型的な『お役人』らしく、おれには一瞥も送らない。使用人は人じゃないとでも思ってるんだろう。まったく胸くその悪い話しだ。
いや、傲慢なのはおれに対してだけじゃない。
住宅与力「(こやつがあの越後屋か……さんざん儲けてるらしいな。金を唸るほど抱えているとか、それだけ稼いでいるということは、さぞかし後ろ暗いところもあろうて。黒い噂も絶えぬようだし……うまく扱えば、わしの懐が更に潤うことになろうな……ふっふっふっ……)」
何を考えてるのかまでは分からないが、品の無い値踏みをしているのは間違いない。打算的な表情は商人のそれとも似ているが、根底にあるのは商才ではなく高慢。誰かと取引をするという発想ではなく、虐げ奪い取るという、圧力に酔いしれてる者の目だった。
越後屋「ええ、それはもちろん構わへんよ」
悠「……という感じなんだが、これで大丈夫か?新」
吉音「ん~そだね、おっけいじゃないかな」
悠「相変わらず、緩いなぁ……」
吉音「悪いお役人以外で、困る人いないんでしょ?なら大丈夫かなって」
軽いようで、案外要点はしっかり押えてるので侮れない。
越後屋「ほな、契約ご成立ということで」
悠「……その前に、最後にあと一つだけ、いいか?」
越後屋「あらあら、意外と欲張りなんやね」
悠「越後屋の企みに、おれも同行させてくれ」
越後屋「なるほど……監視しておきたいと、そういうことですか」
悠「お手伝いが出来ればと思っただけだよ。全部お任せでは、気が引けるからな」
無論本音は、見透かされてる通りだ。そして、バレてて全然問題ない。店に目安箱を置いてる以上、おれにだって責任はある。それを果たす程度の義務感は持ち合わせていた。
越後屋「けど、お店の方はよろしいの?」
悠「正直、よろしくないんだが……まぁ、現状こんな感じだしな……この一件が片付いてから、盛り返すとするさ」
ふり返るまでもなく、風通しのいい店内は開店休業状態と言えた。客足が悪いのは悩みだったが、同時に、これ以上落ちてもさほど変わらないという気楽さもあった。いやはや、いいんだか悪いんだか……。
越後屋「ほほほ、分かりました。ウチとしては何の問題もあらしまへん。では早速行動とまいりまひょ」
鷹屋「お二人とも、よろしくお願いします!」
悠「ということで、新。店はしばらく休みだ。お前も好きにしていいぞ。」
吉音「ちょ……悠!!」
悠「今回はチャンバラはないぞ。ず~っと座っての話ばっかりだ。我慢できるのか?」
吉音「それは……わかんないけど」
悠「いや、お前は出来ない。絶対に無理。赤き真実で我慢できないと宣言できる。だから、お留守番だ。」
吉音「んも~!じゃどおして聞いたのよっ!」
悠「ひゃひゃひゃ~っ。」
などと喚く吉音を残し、早速おれと越後屋は住宅与力の元へ向かった。鷹屋さんと一緒にいるところを見られるわけにはいかないので、当然別れる。さてここからが、越後屋流の正念場だな……。
ー住宅与力の屋敷ー
住宅与力「ほう、そちが越後屋か。評判などはわしの耳にも入ってきとるぞ」
越後屋「ウチのような者の名前を知ってくださっていたなんて、嬉しいおす。どうぞ、よしなに」
おれは付き人という設定で、越後屋の斜め後ろで控えていた。職人たちを締めつけている住宅与力は、典型的な『お役人』らしく、おれには一瞥も送らない。使用人は人じゃないとでも思ってるんだろう。まったく胸くその悪い話しだ。
いや、傲慢なのはおれに対してだけじゃない。
住宅与力「(こやつがあの越後屋か……さんざん儲けてるらしいな。金を唸るほど抱えているとか、それだけ稼いでいるということは、さぞかし後ろ暗いところもあろうて。黒い噂も絶えぬようだし……うまく扱えば、わしの懐が更に潤うことになろうな……ふっふっふっ……)」
何を考えてるのかまでは分からないが、品の無い値踏みをしているのは間違いない。打算的な表情は商人のそれとも似ているが、根底にあるのは商才ではなく高慢。誰かと取引をするという発想ではなく、虐げ奪い取るという、圧力に酔いしれてる者の目だった。