ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【4】

ー武家屋敷:室内ー

輝「こ、こら!危ないからやめなって!」

親分「はん!大事な人質手放すわけにいくか!」

悠「(輝の刀は……だめだ、天井に引っかかってる。あれじゃキガイは出せないか。)」

親分「おうおう!お奉行さんよ!わかってんだろうな!」

想「くう……」

親分「なあに、簡単なことさ。この場をちょっと見なかった事にするだけでいい」

悠「あー?どういう事だよ?」

親分「なあに、」そのあといくらでも戻ってくればいいさ。あっしたちが無実だって事がわかってもらえるからな」

想「……証拠を処分しようというのですね」

親分「ははは!さすがお奉行、察しがいい」

想「そのようなこと……」

奉行として許すわけにはいかない。だが

輝「きゃ、きゃあ!やめてよぉ!」

再び輝に向けられる刃。

悠「ちっ……おれ達が輝を止めてさえいれば……」

このままじゃ、万事休す。

親分「へへ、ほら、お奉行さんよ、早く決めてくんな!」

想「ん……?」

悠「あ……」

そう、おれたち。おれ達だ。おれと、もうひとり居たあいつは……吉音は。

吉音「はああっ!!」

用心棒C「な、なにぃ!?ぐええっ!?」

天井から降ってきたのは……

悠「新!」

吉音「悪事を働き他人のお金をかすめ取るだけでなく!か弱い乙女を人質になんて……!」

用心棒D「う、上からもう1人降ってき……ぎゃあっ!!」

想「徳田さん!」

吉音「この徳田の新さんが許しちゃおけねえ!!」

用心棒D「ぐふっ!?」

舞うように華麗に、用心棒たちを打ち倒していく。

親分「ま、待て待てい!!待てっつってるだろうが!」

吉音「なに?」

悠「だが、断るっ!」

親分「聞けよっ!忘れてるんじゃねえだろうな!こっちには人質がいるんだぞ!」

輝「い、痛い痛いって!」

吉音「残ってるのはあんたたち四人だけだけど?」

親分「へへ、数じゃ十分こっちが有利……」

吉音「そう思うの?」

親分「な、に……?」

吉音「本当に、そう思ってるの?」

そういって、カチャリと構えなおす吉音。

悠「おい、吉音……?」

想「黙って、ここは徳田さんに任せましょう……」

悠「けど……」

想「心配しなくても……彼女の剣は」

吉音「フッ!」

親分「くそがっ!舐めやがって!かまわねえ!やっちまえ!」

悪党が動いたのと同時……いや、それよりも数瞬早く。

吉音「いけ、マゴベエ!」

親分「なにぃっ?」

ドスン!と天井を貫いて降ってくる白い翼。

用心棒E「ぐああっ!?」

そのままの勢いで用心棒のひとりの手から刀をはたき落とす。

想「そう、彼女の剣魂は特別」

そういって、吉音に憧れにも似た視線を向ける逢岡さん。

手下E「くそう!不意打ちか!」

手下F「その手はもうくらわねえ!」

吉音「成敗!!」

手下E「ぐあっ!?」

手下F「ぐっ、くぅ……まだ負けるわけには……」

声と同時に2つの子機が用心棒たちの鳩尾に突き刺さっていた。
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