ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【4】

ー武家屋敷:庭ー

想「ふんっ!」

斬りかかるも、あっさりと受け流され、反撃。逢岡さんの剣の腕前も、そこらの用心棒では相手にならないレベルみたいだ。そういえば、何処となく吉音の動きと似ている。同じ流派なのか。

手下B「な、なにぃ!?」

本人たちは腕に覚えがあるようだが、所詮は素人に毛が生えた程度

手下C「くそ、じゃあこっちの野郎からだ!」

獲物を持っていきがっているだけだ。

悠「遅いって」

おれは身をよじってかわすだけで、体勢を崩して町方与力の中へと突っ込んで行ってしまう。

南町与力「ひっ捕らえろ!」

手下C「ぐわああっ!?」

急を付かれた悪党どもはばったばったとお縄についていく。

悠「輝と新……どこにいったんだ?」

どんどん制圧されていく屋敷。見つけたらさすがに声が上がるだろう。

想「残るは、この奥ですか」

悠「だな……おっと、ですね。」






ー武家屋敷:室内ー

想「南町奉行所です。神妙にしてください!あなたが詐欺にて集めたお金、蔵にあること相違いありませんね?おとなしく返還するなら……」

踏み込んだ先は、客間みたいだった。あからさまにそうとわかる悪人顔と、用心棒数人。

親分「く、くそう!先生、お願いします!」

用心棒A「どぉれ、このワシが……」

用心棒B「俺は男の方を……」

用心棒が動いたと同時に、逢岡さんも一歩踏み出す。

想「はあぁっ!」

ザシュッ!
用心棒A「ぐはっ!!」

悠「はっや!」

一瞬の早業で倒される先生とやら。ちなみにおれに近いてきた男は顔面を掴んでやって、なんか動かなくなっていた。

親分「ぬう!もはや、これまでか!」

毎回思うが恐ろしくスピーディーだな。普段おれの事件解決はもっともっと時間かかるのに……。

悠「っか、あれ……?ここにもいない?」

と、その時だった。

「ひゃああっ!?」

天上を破って落ちてきたのは、輝だった。

悠「なっ、輝!?」

輝「いててて……あれ、悠ちゃんとお奉行様?」

緊迫した場面に似合わない、あっけらかんとした声。

悠「おま……なにしてる」

輝「あはは、天井破れちゃったみたいだねえ。ったく、お金集めてるんならもっと頑丈につくればいいのにさ」

親分「そりゃ悪かったな、嬢ちゃん」

想「しまったっ!」

おれたちと悪党どもの間に落ちてきた輝に、突き付けられる刃物。

輝「あ、あれれれ?これってもしかして、人質ってやつかい?」

親分「おう!大人しくしてな!」

輝「きゃぅっ!」

突き付けられた切っ先に、輝は身動きが取れない。
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