ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【4】

ー武家屋敷ー

輝「お、ここだここだあ」

いつの間にか、おれたちは捕り物の現場にまで来てしまっていた。

吉音「と、とめられなかった……」

こうなったら、第三の作戦にかけるしかない。

南町与力A「ホシを発見!」

南町同心A「比良賀輝だな!お縄はいいからおとなしくしろい!」

対、輝用の人員の確保。これが第三の作戦だ。

悠「はぁ……おれたちの仕事もここまでかな」

輝「権力の横暴でい!そこまでして隠したいもんがあるのかい?」

吉音「ないってば、そんなの……」

悠「大掛かりだけどただの詐欺師だって話だぞ」

輝「それでも自分の目で見るしか信用できないね!」

町方与力「比良賀輝、神妙にしろ!」

じわじわと狭められる包囲網。だが、輝は不敵な笑みを浮かべると、その場にしゃがみ込む。

輝「輝さんの発明品!ハイパージャンプシューズ!」

南町同心A「な、なんだぁ!?」

びょーんという音と共に輝の身体が宙に舞う。

南町同心B「とんだっ!?」

南町同心A「お、俺を踏み台にしたっ!?」

軽く人の身長まで跳ね上がった輝は、町方ひとりを足場にして塀へと飛び乗った。

吉音「うそ、あんなジャンプ見たこと無いよ」

輝「へっへー、どうでいこの発明品!って、もう壊れちゃったか。まあいいや」

ぽぽいっと投げ捨てられたのは、なんかでっかいバネだった。

悠「これは、ドクターなんとかのジャンピングシューズ……ってかパクリじゃないか!」

輝「びみょーに違うからいいんでい!それじゃ、おさらば!」

輝は器用に木を伝うと、屋根へと飛び乗る。

南町与力「に、逃がしたかっ」

吉音「こら、輝っ!待ちなさい!」

それを追って吉音も塀へとジャンプ。

悠「おい!新!」

吉音「悠は想ちゃんに伝えて!」

悠「わかった!」

作戦は全て失敗。こうなったらあとは成り行きで何とかするしかないようだ。

想「なんですって?仕方がありませんね、比良賀君を確保してからのつもりだったのですが……突入です!」

悠「おれも行きます、新を探さないと」

想「……わかりました。無理だけはしないでください」

悠「把握!」

おれは覚悟を決めて、逢岡さんの後に続いた。



ー武家屋敷:内部ー

南町与力「おとなしくしろ!」

手下B「うるせえ!どけえ!」

屋敷の中はガチンガチンと火花の散る大乱戦だ。

南町同心A「逢岡さまのおなりだ!」

想「南町奉行所です。抵抗すれば罪は重くなるだけですよ。神妙にしてください」

手下C「大人しくしたら無罪放免じゃねえんだろ!?」

想「当たり前です。大人しく裁きを受けていただきましょう」

手下C「だったら、ここでおめぇら黙らせた方がはええだろ!」

手下D「いけえ!一斉にかかれぇ!」

口々に勝手なことを言いながら斬りかかってくる用心棒たち。
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