ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【4】

ー集合長屋ー

確かに、まだまばらな野次馬の前で、家が燃えていた。

悠「誰か通報したのか?」

男子生徒A「だれかしたか?」

男子生徒B「しらねー!」

悠「くそっ!」

野次馬たちはただみてるだけ、しかも好き勝手にわいわいいってるだけだ。

吉音「悠!どうしよう?」

悠「ひとまず、火消しに通報するから!そっちは避難の誘導をしてくれ!」

おれは携帯で非常通報をいれながら

吉音「え、でも、てるは?」

輝「おお、燃えてる燃えてる!いいねいいね!リアリティだよっ!」

興奮した面持ちでひたすらに写真を撮っている。

悠「輝!おい、輝!ちょっと手伝えよ!」

輝「あはは、こっちはこっちの仕事があるんで無理!」

輝はこっちの話に耳も傾けずに、ひたすらに写真を撮っている。

悠「お前!いいかげんに……」

と、そこで緊急連絡が繋がってしまう。

悠「あ、すみません!火事で……えつと、ここどこだ?長屋の、区画はええと……」

桃子「うおお!?なんだこりゃ!」

悠「あっ、鬼島さん!」

騒ぎを聞きつけたのか、鬼島さんがきてくれた。鬼島さんもここではないけれど、長屋住まいの人だ。

桃子「火事かよ。こりゃまた派手だな。ケガ人はいないのか?」

男子生徒C「そういやあ、そこの家のやつ誰だ?」

男子生徒D「あれ、あいつ今日休んでなかったか?」

桃子「まさか、まだ中にいるのか?」

悠「鬼島さん!?」

桃子「早けりゃ早いほどいいだろ!行ってくる!」

悠「無理はしないでくださいよ!」

桃子「まかせろ!」

まだ火の勢いは弱いとはいえ、燃えている家の中へ鬼島さんはためらうことなく突入する。

男子生徒A「おい!誰か入ってったぞ!」

男子生徒B「あぶねーな!死ぬ気かあ?」

悠「いいから、みんな下がれっ!すぐに火消が来るから!はやく!」

おれはどんどん増してくる野次馬を押しとどめるので精いっぱいだ。

輝「おお、いいねえいいねえ!緊迫感でてるよ!」

輝はそんなおれ達の姿を、何故か火事の現場から悠々と写真に収めている。

悠「輝!おい、輝!お前も下がれって!」

輝「まだ、だぁめ!そんなことしたらおいらの背じゃ埋もれてなにも見えなくなっちまうよ……って、アレ?バッテリー切れかい?」

悠「だったらとっとと戻って来いよ!」

輝「へへーん、そのへんのことは想定済みよ!出な、キガイ!」

キガイ『うなー』

にょるん、と出てくる輝の剣魂。

輝「畜電圧モード、低電圧のカメラ用でい!」

ビビビ、とカメラにくっついて放電している。

悠「なっ……」

輝「へへ、どんなもんでい!」

悠「お前、ほんとそういう所だけは用意周到だな……」

男子生徒C「誰かでてきたぞ!」

声に振りかえると、燃えてる家から人を抱えて飛び出してくる鬼島さんの姿があった。
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