ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました
ー田ノ上の屋敷(庭)ー
「うぉりゃあー!」
「だらあぁー!」
こいつらもさすがにバカなりにも考えたか、前と後ろに別れて斬りかかり、新に死角を作ろうとする。
おれは棒読みに叫んだ。
「新ーうしろー。」
「甘い甘いっ!あたしは君たちの「倍」速いんだから」
言葉通りだった。
チンピラ二人がそれぞれ振り下ろす間に新は前と後ろに一撃ずつあたえた。
あまりの速さにおれがなんとか目で追えた限りでは、前のチンピラのわき腹に横打、後ろのチンピラには振り返りながらの逆胴をだったと思う。
チンピラ二人はばたりと倒れてピクピクと痙攣していた。
峰打ちといっても刀の一撃は大の男を気絶させるのに十分な威力があるらしい。
「さぁ、次は誰がお相手?」
「いいぞ、新。明日の昼飯はおかわり自由にしてやんよぅ」
「マジで!?やったー!!」
おれはにっこりと微笑んでいった。
「ただし、コイツをなんとかしてくれたらな」
「へへへ、どうやら俺らじゃ姉ちゃんには敵わないようだぜ。けどよぉ、こうやって人質をとったらどうだ?」
置物のようにじ~っと寝そべっていたおれの頭に貞三は木刀を突きつけて悪い顔で笑っている。
油断したというか、なんかおれって最近ダメダメダメだな。
それをあざ笑うかのように貞三がいった。
「ほら、剣をそこに置きな?さもないとこいつの頭をスイカみたいに割っちまうぜ」
「むむむ…」
新が困った顔で唸りだした。まだ剣は置いていない。
「置きたくないなら仕方ねぇな。」
おれはそろそろ動こうかと両手のひらを拳に握った。だが、そのとき、頭のうえでぐちゅりと柔らかい果実を潰したような音がした。次の瞬間にはおれの横にドサリッと貞三と思う男がぶっ倒れてきた。
はっきりと貞三と言い切れなかったのは顔が潰れて見えないからだ…。
ヒュヒュッ…と折れた歯の間から空気がもれて鼻か口から出た物かわからなくなっている血が赤い泡を立てていた。どうやら死んではいないらしい。
おれが呆然としていると聞いたこと無い声がした。
「ここに居たんだ。悠たん」
首を傾げて声の主を見上げた。
金髪に色入りのレンズの丸い眼鏡をかけた、コートの男。生でははじめてみる、王狐文……だ。
「王っ…」
「にゃーコート汚れた~おにゅーなのにっ!」
いったいここに来るまでに何人の人間を殴ってきたのかコートには返り血が飛び散り、左手はペンキにでも浸けたように真っ赤に染まっている。
おれは王と目があった瞬間に飛び起きて、後ろの壁にぶつかる勢いで距離を空けた。
「なんで…人身、臓器売買の元締めがいらしてくれてるんだ。」
「うにゅ?そこまで知ってるんだ。いやぁ、たまたま悠たんが拉致られてるところを見てね。おれの目的(戦闘仲裁機関)が動いたのかにゃーっと思ったんだけどどうも違ったみたいだね。けど、悠たんが無事でよかったわん」
王は死にかけている貞三の頭を踏みつけながらおれに近づいてくる。
「うぉりゃあー!」
「だらあぁー!」
こいつらもさすがにバカなりにも考えたか、前と後ろに別れて斬りかかり、新に死角を作ろうとする。
おれは棒読みに叫んだ。
「新ーうしろー。」
「甘い甘いっ!あたしは君たちの「倍」速いんだから」
言葉通りだった。
チンピラ二人がそれぞれ振り下ろす間に新は前と後ろに一撃ずつあたえた。
あまりの速さにおれがなんとか目で追えた限りでは、前のチンピラのわき腹に横打、後ろのチンピラには振り返りながらの逆胴をだったと思う。
チンピラ二人はばたりと倒れてピクピクと痙攣していた。
峰打ちといっても刀の一撃は大の男を気絶させるのに十分な威力があるらしい。
「さぁ、次は誰がお相手?」
「いいぞ、新。明日の昼飯はおかわり自由にしてやんよぅ」
「マジで!?やったー!!」
おれはにっこりと微笑んでいった。
「ただし、コイツをなんとかしてくれたらな」
「へへへ、どうやら俺らじゃ姉ちゃんには敵わないようだぜ。けどよぉ、こうやって人質をとったらどうだ?」
置物のようにじ~っと寝そべっていたおれの頭に貞三は木刀を突きつけて悪い顔で笑っている。
油断したというか、なんかおれって最近ダメダメダメだな。
それをあざ笑うかのように貞三がいった。
「ほら、剣をそこに置きな?さもないとこいつの頭をスイカみたいに割っちまうぜ」
「むむむ…」
新が困った顔で唸りだした。まだ剣は置いていない。
「置きたくないなら仕方ねぇな。」
おれはそろそろ動こうかと両手のひらを拳に握った。だが、そのとき、頭のうえでぐちゅりと柔らかい果実を潰したような音がした。次の瞬間にはおれの横にドサリッと貞三と思う男がぶっ倒れてきた。
はっきりと貞三と言い切れなかったのは顔が潰れて見えないからだ…。
ヒュヒュッ…と折れた歯の間から空気がもれて鼻か口から出た物かわからなくなっている血が赤い泡を立てていた。どうやら死んではいないらしい。
おれが呆然としていると聞いたこと無い声がした。
「ここに居たんだ。悠たん」
首を傾げて声の主を見上げた。
金髪に色入りのレンズの丸い眼鏡をかけた、コートの男。生でははじめてみる、王狐文……だ。
「王っ…」
「にゃーコート汚れた~おにゅーなのにっ!」
いったいここに来るまでに何人の人間を殴ってきたのかコートには返り血が飛び散り、左手はペンキにでも浸けたように真っ赤に染まっている。
おれは王と目があった瞬間に飛び起きて、後ろの壁にぶつかる勢いで距離を空けた。
「なんで…人身、臓器売買の元締めがいらしてくれてるんだ。」
「うにゅ?そこまで知ってるんだ。いやぁ、たまたま悠たんが拉致られてるところを見てね。おれの目的(戦闘仲裁機関)が動いたのかにゃーっと思ったんだけどどうも違ったみたいだね。けど、悠たんが無事でよかったわん」
王は死にかけている貞三の頭を踏みつけながらおれに近づいてくる。