ｰ武家屋敷内ｰ

吉音「えー、でもほっとけないよ」

もちろん、吉音には反省はない。

輝「そーだそーだ!新ちゃん達がいなかったから逃がしてたんじゃないかい?」

こっちも反省の色なしだな。

真留「まったく……小鳥遊さんがついていながら」

悠「かさねがさね、申し訳ない……」

真留「とにかく!もう三人はそこからうごかないでください!いいですね!」

吉音「はーい」

輝「まぁ、今回の件はこれだけ取れればもういいかなー?これ以上は爆発も炎上も刃傷もなさそうだし」

その言葉通り、屋敷の中もおおかた片付いたみたいだ。

朱金「よぉし!引きあげるぞ!」

朱金の号令一下、授受つなぎにつながれた悪党どもが引っ立てられていく。

真留「いいですか、次こういうことがあったらしょっぴいてしまいますからね」

輝「おお!無実の生徒をしょっぴくのが奉行所の方針かい?」

真留「無実じゃなくて公務執行妨害で!いいですか!わかりましたね!?徳田さんも、あまり首を突っ込まないでくださいねっ」

ぷんすかと怒りながら、真留は朱金について悪党連中の護送にまわっていった。

悠「真留もああいってるし、もうちょっと抑えろよな。な?」

輝「だってさー。新ちゃんにも困ったもんだねぇ」

吉音「え、えええ!?あたしなの?」

悠「ちがう。輝。お前にいってるんだ」

輝「なんだいなんだい、悠ちゃんまでお説教かい?」

悠「説教じゃなく、忠告だ」

吉音「みんなも困ってるみたいだよ?てるのこと」

輝「それはおかしい話しだねえ。読者のみんなは満足してくれてるみたいだよ?」

悠「お前の新聞のか?」

輝「おかげさまで部数も上がり続けてるし、評判だっていいんだから」

まあ、確かに話題にはなっている。内容もセンセーショナルだ。正直文のレベルならおれのコラムの数倍は良い。

悠「何も、やめろっていってるんじゃないんだ。もうちょっとこう、手心というか……自粛みたいな感じで」

輝「強制されたらそれは自粛じゃないんじゃないかい?」

悠「っか、無茶し過ぎなんだよ。真留のいうとおり、一歩間違えば危なかったんだぞ?」

輝「そこはそれ、じゃあなりすとの宿命って奴で」

悠「輝……」

輝「みなさんが望んでる情報を届けるのが、じゃあなりすとの使命!みなが望む限り、止める気はさらさら」

男子生徒A「火事だー!」

吉音「え?ど、どこどこ?」

声のする方向を見ると……確かに白煙が上がっている。

悠「いいか、輝……っていねぇし!?」

振り向いたときには、輝は既に火事の現場へとかけ出していた。

輝「事件だ事件だーい!」

悠「あいつ、言った端から!おれたちも行くぞ!」

吉音「う、うん!」

おれたちは慌てて輝の後を追う。