ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【4】

ー武家屋敷:近くー

悠「ふぅ……お、思ってたより足速いな……」

吉音「そう?悠が遅いんだよ。それよりもてるは?」

朱金「なんだなんだ?お前らも野次馬か?」

キョロキョロとしてたおれたちに声をかけてきたのは、朱金だった。

悠「そういうわけじゃないんだけど……そういえばこれって何事なんだ?」

屋敷の周囲は、数多くの町方や岡っ引きに囲まれていた。

朱金「なあに、よくある話よ。どこぞのボンボンがならず者連中を雇って、ここらの店を脅しててな」

悠「上納金稼ぎってとこか……」

吉音「なにそれ、ひどい!まったく……そういう事件こそ目安箱に来るべきだよね」

悠「いや、そういうのはやっぱり奉行所の仕事だって」

朱金「どっかの遊び人のおかげでこうして袋の鼠ってわけだが、最後の悪あがきに備えてるって所だな。で、お前らもなんか訳アリか?どあやってココがわかったんだ?これでも情報が流れないよう、直前まで町方連中にも黙ってたんだが」

悠「えっと、おれたちはあいつを追っかけて来ただけだ」

朱金「あいつ?」

吉音「あ!いた!あそこ!!」

真留「ちょ、ちょっと!そこはダメです!ダメですよ!」

輝「いいじゃーん、減るもんじゃなしー?」

真留「関係者以外立ち入り禁止ですから!こら!撮るな!撮らないでー!!」

輝「知る権利知る権利!それを護るのも奉行所の仕事だよー?」

輝はパシャパシャと包囲網から屋敷内部まで撮影しまくっている。

朱金「なんだ、雇われブン屋にでも転向したか?」

悠「逆だ逆。アレの暴走をちょっとでも止められればと思ってたんだが……」

吉音「こらー!邪魔しちゃだめだっては!」

輝「あはは、いーからいーから!はい、突入前のカッコイイ顔してー。あ、情けない顔でもいいよ?」

真留「ど、どうしてですか!私はモデルではありませんっ!そもそもここをどこだと――」

輝「あはは。いい顔いい顔~!いただきます!」

朱金「……お前もいろいろ苦労をしょい込む奴だな」

悠「……なんでだろうなホント」

朱金「っと、もう時間か。悪ぃが、これ以上は中の連中に準備させてやるだけだからな。危ないからさがってな」

悠「え、ええ?」

朱金「いくぜ!野郎どもっ!剣魂解放しとけ!」

「「「「おうっ!!」」」」

悠「あれ、自分はしないのか?」

朱金「あんま使うとバレちまうだろ?だからさ」

悠「ああ……。」

この人は遊び人の金さんでいたいからか。

朱金「それにこの程度に使う価値もねえ!おらあ!突撃ーっ!」

「「「「うおぉぉ!!」」」」

先陣を切って正面から突っ込む朱金とそれに従う与力や岡っ引きたち。

朱金「北町奉行所だ!神妙にお縄につけぇ!」
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