ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【4】

ー武家屋敷寮近くー

女子生徒A「あのお屋敷は女子寮みたいなもんでね、誰が家主ってわけでもなく数人で集まって共同生活してたのよ。けどね、化け猫が出るって噂が立つようになってから、みんな気味悪がって出ていっちゃってねぇ」

悠「あー?じゃあ今は誰も居ないのか?」

女子生徒A「ああ、みんなっていっても、まだ一人か二人は残ってたかしらねぇ」

つばめ「まぁ!急にひとが居なくなったのでは、お掃除なんか大変なんでしょうね~」

女子生徒A「それは自業自得なんじゃないかしら」

つばめ「と、仰いますと?」

つばめが小首を傾げると、女生徒は辺りをうかがうようにしてから、わざとらしく声を潜めた。

女子生徒A「ここだけの話し、元から家事の分担なんてしてなかったらしいのよ。掃除も料理も洗濯も全部、気の弱い子一人に押し付けていたって話しなのよ。だからね、その子が出てっていって家事をする人が居なくなって困ってるとしても、自業自得だと思わない?」

つばめ「はぁ……そうですわねぇ」

女子生徒A「んまぁ、化け猫が出なくても遅かれ早かれ、その子が出ていって共同生活終了になっていたと思うわ」

女生徒の話しがいったん途切れる。この辺りが斬り上げ時だろうなと思って、おれは会話に割り込んだ。

悠「なるほど。それで、そのお屋敷にはどういったら……」

女子生徒A「それだったら、この道をまっすぐ歩けば、すぐに門が見えてくるわ」

悠「うん、わかった。ありがと」

女子生徒A「どういたしまして……だけど、どうしてあのお屋敷を探しているのよ?」

吉音「えっとね、猫を撫でにいくの!」

女子生徒A「は?……あっはは、そりゃいいね。上手く化け猫を捕まえられたら、あたしにも撫でさせておくれね」

悠「あはは……それじゃあ、おれたちはこれで」

つばめ「失礼いたしました~」




平和「比良賀さん情報だと、噂の出所はこの辺りだけど……それにしても、化け猫かぁ。……化け猫なんて本当にいるのかなぁ。マミヤはどう思う?」

マミヤ『ミィ』

平和「うんうん、そうだよね。お化けなんて、信じられないよね。怖いし。だけど、野良猫が居るとも思えないんだよね」

マミヤ『ムー』

平和「だって、しっかり管理されているって、比良賀さんも言ってたでしょ。私もそうだと思うの」

マミヤ『フミ?』

平和「そうなんだよね……お化けでも野良ネコでもなかったら、じやあ、なんなんだろうね?」

マミヤ『ミィ~っ!』

平和「どうしたの、マミヤ。向こうに何かあるの……あっ」

つばめ「……あらぁ」

平和「つばめ!それに、悠さんと新さんも?」

吉音「あっ、姫様ちゃんだっ」

悠「こんなところで会うなんてきぐうだな……ってわけでもないのかな、もしかして」

平和「……もしかして、悠さんたちも化け猫の噂を調べに来たんですか……でござるか?」

つばめ「あらぁ、やっぱり奇遇じゃなかったみたいね~」

平和「そうみたいでござるね」

吉音「じゃあ、一緒に猫をもふもふしにいこーっ」
41/100ページ
スキ