ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【4】

ー瓦版処:輝の屋敷ー

輝「……なーるほどね。そいで姫様ちゃんは、おいらならもっとよく知ってるんじゃないかと思ったわけかい」

平和「うん、そうなんでござるよ。比良賀さんなら、化け猫の噂について詳しく知ってると思ったのでござる」

輝「さすが探偵さんだ。その推理は間違っちゃいないよ」

平和「では、やはり知っているんでござるかっ!?」

輝「知ってるもなにも、いま密かに注目してるネタだからね」

平和「ぇ……じゃあまさか、本当に化け猫がいたり……」

輝「それならそれでニュースだけど、化け猫の正体がただの野良猫だったとしても、十分特ダネだよ」

平和「そうなので……ござるか?」

輝「そりゃそうさ。姫様ちゃんは知らないのかい?この学園島に野良猫ってもんはそんざいしちゃならないんだよ」

平和「えっ……?」

輝「ここは一個の学園として見れば巨大でも、世界地図で見たら小さな島だろ?」

平和「うん」

輝「そんなちっぽけな島で野良猫が勝手に繁殖をはじめたら、これはもう一大事なのさ」

平和「う……よく分からないけど、たぶん分かったでござる」

輝「まっ、そういうわけでだ、猫に限らずペットはすべて許可制なんだな」

平和「ふぇー……知らなかったです……」

輝「生き物を飼ってるってだけで、その筋じゃあちょいとした有名人になれるぜ」

平和「あっ、じゃあ、鼎先生も?」

輝「教頭先生は、その筋じゃない人にも有名だけどね。……っと、話しがずれたね。まあ要するに、もし本当に野良猫がいるなら、それは結構な大問題だってことさ。お上の管理体制が問われかねないし、ひょっとしたらお奉行クラスの首が飛ぶかもしれないぜー」

平和「ええっ!?それって大事件なんじゃ……」

輝「だからいったでしょ、特ダネだって。まっ、そんなわけだから、姫様ちゃんのほうでも何か見つけたら教えてちょうだいな」

平和「うん……あっ、そうだ。聞き忘れてたんだけど」

輝「何さ?」

平和「その化け猫って、どこに出るのでござるか?」

輝「姫様ちゃん……それも知らなかったのかい……」

平和「いやぁ、えっへっへっへ……」







ー武家屋敷寮ー

女生徒「というわけで、私たち、ずっと化け猫のことで困っているんです。」

信乃「それは大変だったんだな……心中お察ししますぜ。ええと……」

菜直「鍋嶋菜直です、お役人様」

信乃「いや、私は奉行所の者ではないんだが……」

菜直「え?逢岡様の遣いの方だったのでは?」

信乃「いえ……さっきから言おう言おうと思っていたのだが、どうもひと違いされているご様子で……」

菜直「じゃあ、私ったら全然関係ない人にこんなお話を?すっ……すいません!」

信乃「いえっ、私こそいいそびれてしまって、すまん。でも、話を聞いたからには、鍋嶋さんのお悩み、私が必ず解決して見せるぜ。」

菜直「解決って……あなたが?」

信乃「任せてくれ。こう見えても、私、探偵なんだぜ」

菜直「……分かりました。探偵さんにお任せします。どうか一刻も早く捕まえてください。あの化け猫を」

信乃「おう、任せておけっ!」
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