ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました
ー田ノ上の屋敷ー
「うむ。この物件、最初からおれの手元に回ってきておればこんな面倒もなかったのだが」
「あんないい立地に地味な茶店なんかひらかれてもねぇ。こっちゃきれいどころを集めた店でがっぽり儲けるつもりだったのに」
「そしておれは便宜を図る謝礼としてその儲けの一部を頂くという手筈」
商人と役人がぐるで地上げをしているとは、なんて悪どいやつらだ。
「あなたには悲運ですがね。この大江戸学園じゃあ、この程度のことは悪事に数えないんですよ。貞三、とっとと拇印をとっちまいな」
縛られたおれはろくな抵抗も出来ずに、ひっくり返されて、手首を掴まれる。
「ひっひひ、じゃ店はいただくぜ」
まずい。このままだと本当に店をとられてしまう。
別にかまわないといえば構わないが、拳二と崇にバカにされるのは悔しいかもしれない。
それにしても、用心棒とかいいながら、いつもピンチには居ないな。
「なんだ、なにぶつぶついってやがる」
「拳二のボケナス、新のタダ飯食らいの役立たずめって思った…」
そのとき、はでな音を立てふすまが左右に開いた。
高速で白い鋭利な何かが飛んでいき、但馬屋の手から証文を奪っていった。
「白い…鷹?って、ことは、もしかして」
ピューイと甲高い鳴き声とともに純白の翼が鋭い弧を描き、主の元へと戻る。
その爪にはあの証文をしっかりと握りしめていた。
おれはいった。
「新っ!」
「あたし、ただ飯食らいでも、役立たずでもないもん!」
開いたふすまのその向こう、庭には頬を膨らませ、唇を尖らせ、むくれ顔の用心棒が立っていた。
なんてタイミングのいいやつだ。おれは笑いながらいった。
「わかった、わかった。じゃあ役立たずじゃないところを見せてくれ」
そうだそもそも、「タダ飯食らい」と「大飯食らい」の間には相当な違いがあるしな
「はーい♪」
ぽかんとしていた田ノ上はハッとなり叫んだ。
「何者だ、貴様!他人の屋敷の庭に勝手に入り込むなど失礼千万!」
「ひとんちの子を勝手に連れていくような悪者に失礼だなんていわれたくないよーだ」
ひとんちの子って、おれはなんだか情けなくなってきた。
「但馬屋、このたびの拐かし、公にされるとちと面倒だぞ」
「はい、かくなる上は二人揃えて口を封じるしかありません。」
新を見やり、耳打ちしあう悪役二人。
「貞三!小鳥遊悠とこの娘、双方ともここより帰すな!」
「へいっ、おい、野郎どま!出あえ、出あえ!」
貞三がの号令の下、部屋にたむろしていたごろつきが一気に新のいる庭にかけた。
ごろつきは皆獲物を握っており、新の周りをぐるりと取り巻いて構えをとる。
新を囲む10人近いチンピラのうち、新の背後に立っていた一人が死角から勢いよく斬りかかった。
新はまだ刀も抜いていない。
「へへん、ちゃあんと解ってるよ。」
おれに向かって、にっと歯を見せると、新はまるで背中に目があるように最小限の動きで剣を避わす。
そしてバランスを崩してまえのめりになった足をすぱんと刈る。
前一回転して背中から庭の地面に叩きつけられるチンピラ。
大したもんだ。
おれは新の揺れる桃尻を眺めながらゆっくりと手首の関節を外して縄を抜けの準備を始めた。
「うむ。この物件、最初からおれの手元に回ってきておればこんな面倒もなかったのだが」
「あんないい立地に地味な茶店なんかひらかれてもねぇ。こっちゃきれいどころを集めた店でがっぽり儲けるつもりだったのに」
「そしておれは便宜を図る謝礼としてその儲けの一部を頂くという手筈」
商人と役人がぐるで地上げをしているとは、なんて悪どいやつらだ。
「あなたには悲運ですがね。この大江戸学園じゃあ、この程度のことは悪事に数えないんですよ。貞三、とっとと拇印をとっちまいな」
縛られたおれはろくな抵抗も出来ずに、ひっくり返されて、手首を掴まれる。
「ひっひひ、じゃ店はいただくぜ」
まずい。このままだと本当に店をとられてしまう。
別にかまわないといえば構わないが、拳二と崇にバカにされるのは悔しいかもしれない。
それにしても、用心棒とかいいながら、いつもピンチには居ないな。
「なんだ、なにぶつぶついってやがる」
「拳二のボケナス、新のタダ飯食らいの役立たずめって思った…」
そのとき、はでな音を立てふすまが左右に開いた。
高速で白い鋭利な何かが飛んでいき、但馬屋の手から証文を奪っていった。
「白い…鷹?って、ことは、もしかして」
ピューイと甲高い鳴き声とともに純白の翼が鋭い弧を描き、主の元へと戻る。
その爪にはあの証文をしっかりと握りしめていた。
おれはいった。
「新っ!」
「あたし、ただ飯食らいでも、役立たずでもないもん!」
開いたふすまのその向こう、庭には頬を膨らませ、唇を尖らせ、むくれ顔の用心棒が立っていた。
なんてタイミングのいいやつだ。おれは笑いながらいった。
「わかった、わかった。じゃあ役立たずじゃないところを見せてくれ」
そうだそもそも、「タダ飯食らい」と「大飯食らい」の間には相当な違いがあるしな
「はーい♪」
ぽかんとしていた田ノ上はハッとなり叫んだ。
「何者だ、貴様!他人の屋敷の庭に勝手に入り込むなど失礼千万!」
「ひとんちの子を勝手に連れていくような悪者に失礼だなんていわれたくないよーだ」
ひとんちの子って、おれはなんだか情けなくなってきた。
「但馬屋、このたびの拐かし、公にされるとちと面倒だぞ」
「はい、かくなる上は二人揃えて口を封じるしかありません。」
新を見やり、耳打ちしあう悪役二人。
「貞三!小鳥遊悠とこの娘、双方ともここより帰すな!」
「へいっ、おい、野郎どま!出あえ、出あえ!」
貞三がの号令の下、部屋にたむろしていたごろつきが一気に新のいる庭にかけた。
ごろつきは皆獲物を握っており、新の周りをぐるりと取り巻いて構えをとる。
新を囲む10人近いチンピラのうち、新の背後に立っていた一人が死角から勢いよく斬りかかった。
新はまだ刀も抜いていない。
「へへん、ちゃあんと解ってるよ。」
おれに向かって、にっと歯を見せると、新はまるで背中に目があるように最小限の動きで剣を避わす。
そしてバランスを崩してまえのめりになった足をすぱんと刈る。
前一回転して背中から庭の地面に叩きつけられるチンピラ。
大したもんだ。
おれは新の揺れる桃尻を眺めながらゆっくりと手首の関節を外して縄を抜けの準備を始めた。