ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【4】
ー大江戸学園内:武道場ー
十兵衛「声も出ないって顔だな」
悠「わっ、師匠……驚かさないでくださいよ。」
十兵衛「私は普通に声をかけただけだ。お前が詠美に見惚れ過ぎなんだ。」
悠「ですよねー。」
十兵衛「否定しないのだな」
悠「自慢じゃないですが、美人に見とれるのは馴れてます。アホ面をさらしてないかが心配ですが」
十兵衛「ははは、面白い。そうだな、詠美ちょっといいか」
師匠に呼ばれた徳河さんが優雅な足取りでやってくる。徳河さんって、普通に歩く姿までどこか優雅なんだよな。
詠美「何かご用ですか十兵衛さん」
十兵衛「ああちょっとな。どうだ小鳥遊、試しに詠美と手合わせしてみないか」
悠「えっ!おれが徳河さんと手合わせですか」
十兵衛「あれだけ見とれていたんだ。なにか感じいるものがあったんだろ」
悠「それは……、でも徳河さんだってせっかく稽古しているのに、おれなんかと手合わせしたって」
詠美「手合わせだって立派な稽古よ。あなたがいいのなら私は別にかまわないわ。どうする悠」
あの美しい動きと手合わせできる……。それは確かに心惹かれるものがある。
悠「じゃあ、よろしくお願いします。」
詠美「ええ、こちらこそ」
徳河さんと距離をとり刀を構える。まずは抜き身で正眼の構え。さぁ、どうするかな。目のまえの徳河さんをじっと見据える。きっと実力の差は歴然だ。考え込んでいたって勝ちは絶対に見込めないだろう。ならば……
悠「おりゃっ!!」
技術で叶わないのわかってる。ならば先手必勝!力で押し切る。
詠美「ふっ!」
手を抜いたつもりなんてないし、まさに渾身の一撃だったはずだ。それを……受け流された。崩れそうになる身体のバランスを慌てて立て直し、連続して徳河さんに打ち込む。
悠「はっ!ふんっ!」
力を込めているはずなのに、全然手応えがない。まさに暖簾に腕押し、糠に釘。なんだか一人相撲をしているみたいだ。いくら斬りかかっても、徳河さんにあたる気がしない。そして……
詠美「せやっ!」
流れるような動作で徳河さんの剣が美しい演武を舞った。
十兵衛「一本。そこまで!」
気がついたときにはおれが負けが決まっていた。徳河さんの剣には威圧感もなく恐怖感もなく、ただそこにあったのは優雅さだけ。それはまるで、空気か柳の葉を相手にしているようだった。
十兵衛「ははは、剣で詠美の相手が出来るようにはまだまだ先が長いな」
悠「そーっすねぇ……徳河さん、ありがとうございました」
詠美「ええ。」
息も切らさず、衣服も髪一本すら乱さず、まるで微動だにしていなかったかの如く涼しい顔をしている。まったく恐れ入る。これは、いつまでたっても叶う気がしないなぁ……。
十兵衛「しかし、小鳥遊、お前は居合が得意じゃなかったか?」
悠「居合は「得意」なんじゃなく「不得意」だから意地で使ってるだけっすよ。おれの本命は示現流です。二の断ち要らず。」
十兵衛「なぜ使わなかった?」
悠「いや、おれの場合打撃と組み合わせた物ですから……手合わせで使うのはちょっと」
十兵衛「つくづく喧嘩殺法だな」
十兵衛「声も出ないって顔だな」
悠「わっ、師匠……驚かさないでくださいよ。」
十兵衛「私は普通に声をかけただけだ。お前が詠美に見惚れ過ぎなんだ。」
悠「ですよねー。」
十兵衛「否定しないのだな」
悠「自慢じゃないですが、美人に見とれるのは馴れてます。アホ面をさらしてないかが心配ですが」
十兵衛「ははは、面白い。そうだな、詠美ちょっといいか」
師匠に呼ばれた徳河さんが優雅な足取りでやってくる。徳河さんって、普通に歩く姿までどこか優雅なんだよな。
詠美「何かご用ですか十兵衛さん」
十兵衛「ああちょっとな。どうだ小鳥遊、試しに詠美と手合わせしてみないか」
悠「えっ!おれが徳河さんと手合わせですか」
十兵衛「あれだけ見とれていたんだ。なにか感じいるものがあったんだろ」
悠「それは……、でも徳河さんだってせっかく稽古しているのに、おれなんかと手合わせしたって」
詠美「手合わせだって立派な稽古よ。あなたがいいのなら私は別にかまわないわ。どうする悠」
あの美しい動きと手合わせできる……。それは確かに心惹かれるものがある。
悠「じゃあ、よろしくお願いします。」
詠美「ええ、こちらこそ」
徳河さんと距離をとり刀を構える。まずは抜き身で正眼の構え。さぁ、どうするかな。目のまえの徳河さんをじっと見据える。きっと実力の差は歴然だ。考え込んでいたって勝ちは絶対に見込めないだろう。ならば……
悠「おりゃっ!!」
技術で叶わないのわかってる。ならば先手必勝!力で押し切る。
詠美「ふっ!」
手を抜いたつもりなんてないし、まさに渾身の一撃だったはずだ。それを……受け流された。崩れそうになる身体のバランスを慌てて立て直し、連続して徳河さんに打ち込む。
悠「はっ!ふんっ!」
力を込めているはずなのに、全然手応えがない。まさに暖簾に腕押し、糠に釘。なんだか一人相撲をしているみたいだ。いくら斬りかかっても、徳河さんにあたる気がしない。そして……
詠美「せやっ!」
流れるような動作で徳河さんの剣が美しい演武を舞った。
十兵衛「一本。そこまで!」
気がついたときにはおれが負けが決まっていた。徳河さんの剣には威圧感もなく恐怖感もなく、ただそこにあったのは優雅さだけ。それはまるで、空気か柳の葉を相手にしているようだった。
十兵衛「ははは、剣で詠美の相手が出来るようにはまだまだ先が長いな」
悠「そーっすねぇ……徳河さん、ありがとうございました」
詠美「ええ。」
息も切らさず、衣服も髪一本すら乱さず、まるで微動だにしていなかったかの如く涼しい顔をしている。まったく恐れ入る。これは、いつまでたっても叶う気がしないなぁ……。
十兵衛「しかし、小鳥遊、お前は居合が得意じゃなかったか?」
悠「居合は「得意」なんじゃなく「不得意」だから意地で使ってるだけっすよ。おれの本命は示現流です。二の断ち要らず。」
十兵衛「なぜ使わなかった?」
悠「いや、おれの場合打撃と組み合わせた物ですから……手合わせで使うのはちょっと」
十兵衛「つくづく喧嘩殺法だな」