ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【4】
ー新宿:小鳥遊堂ー
男子生徒E「どうだ?いうことを聞かなければ、コイツの命は無いぜ?」
信乃「ゆ、悠さん……!私にかまわず、やっつけてくださ……やっ、やっちまいな!!」
悠「良し分かった……って、いえるほどおれは勇気がなくてなぁ。そういう訳にはいかないんだよ」
野次馬たちの中に、平和とつばめがおろおろしているのが、見てとれる。ここは嘘でも、言うことを聞いておくしかない、か……。
男子生徒A「くっくっく……どうやら状況が、呑みこめたようだな」
悠「じゃあ小鳥遊悠!お前ひとりで、ここまで来るんだ!!」
心配そうに見守る吉音に目配せして、おれは店に向かって歩いていった。
悠「言われたとおりに、来たぞ。おれが人質になるから、志乃は解放してくれ」
男子生徒C「けっ、対等に取引が出来る立場か、よーく考えてみな」
男子生徒D「人質を解放するのは、俺達がいう要求を、てめぇが飲んでからだ」
悠「なんだよ、その要求って……おれの身体目的か貞操は守るぞコラ」
男子生徒B「そんなもんいらねーよ!!」
チンピラの一人が余裕たっぷりという感じで、指を一本立てる。
男子生徒A「……ひとつは、この店を完全に俺たちに明け渡すこと」
悠「あー?」
吉音「なんですってぇ!?そんなこと、できるわけないでしょー!!」
吉音が飛び出しそうになるが、信乃の首筋にさらに深く刃が押し当てられるのを見て、思いとどまった。
男子生徒A「もうひとつは、店は続けていいが、上納金を俺たちに収め続けること。」
男子生徒B「二つに一つだ。どっちの要求も飲めなけりゃ、人質の身は、保証しねぇ」
悠「……ちっ」
いっそ、この距離から龍剄で一掃してみようかと考えたが確実に信乃を巻きこんでしまう。
男子生徒C「黙ってちゃわからないぜ、早く決めろよ!」
男子生徒D「俺たちゃあまり、気の長い方じゃないんでな……この女がどうなってもいいのかよ?」
悠「くそが……」
万事休すか?!
「……ごめんあそばせ」
悠「あ?……あぁっ!」
まるでモーゼの十戒のように、野次馬の群れが分かれ、その中心に大神さんが立っていた。そして彼女は、場違いなほど優雅な物腰で、こちらに向かって歩いてくる。
伊都「今日は何だか、お客が多くて賑やかですわね……このお店にお客が溢れているなんて、分からないこともあるものだわ。ねぇ、ダイちゃん。」
ダイゴロー『チャン!』
そうして、ひっくり返った縁台を立て直すと、眉をひそめながらそこに腰を降ろした。
伊都「何でもいいけど、ほこりっぽいわね……お掃除くらいちゃんとしなさいな」
悠「あー……あのですね、大神さん……」
伊都「まぁ、いいわ。とりあえず私にも、お茶を一杯いただけるかしら?」
こ、このひと、状況を一切把握できてない……ってことを、おれは把握した。
男子生徒E「お……おうおう、姉ちゃん!なんなんだ、てめーは?!」
ここでようやくあっけに取られていたチンピラどもも我に帰ったのか、彼女に向かって詰めよりだした。しかし大神さんのほうは、一向に動じる様子もない。
伊都「ねぇ悠、この人相の悪い連中って、もしかして新しいアルバイト?」
悠「いっ?」
伊勢「だったら、すぐにクビにした方が良いわね、彼らの顔、明らかにお店のイメージダウンだもの」
男子生徒B「あ、あのなぁてめぇ、頭おかしいのか!?」
男子生徒C「この荒れ果てた店と、人質に取られてる女を見て、何かきづかねぇか、ああ?」
大神さんはしばらく、いわれるままに店内を見まわしていた……が。
伊都「……なにか、新しい余興とか?」
男子生徒C「だーーっかーーらーーーっ!!」
伊都「ともかく、そっちの事情はどうでもいいの、私はお茶を飲みに来ただけだから……」
その刹那、大神さんの鼻先を、きらりと光るものが掠めた。
男子生徒E「どうだ?いうことを聞かなければ、コイツの命は無いぜ?」
信乃「ゆ、悠さん……!私にかまわず、やっつけてくださ……やっ、やっちまいな!!」
悠「良し分かった……って、いえるほどおれは勇気がなくてなぁ。そういう訳にはいかないんだよ」
野次馬たちの中に、平和とつばめがおろおろしているのが、見てとれる。ここは嘘でも、言うことを聞いておくしかない、か……。
男子生徒A「くっくっく……どうやら状況が、呑みこめたようだな」
悠「じゃあ小鳥遊悠!お前ひとりで、ここまで来るんだ!!」
心配そうに見守る吉音に目配せして、おれは店に向かって歩いていった。
悠「言われたとおりに、来たぞ。おれが人質になるから、志乃は解放してくれ」
男子生徒C「けっ、対等に取引が出来る立場か、よーく考えてみな」
男子生徒D「人質を解放するのは、俺達がいう要求を、てめぇが飲んでからだ」
悠「なんだよ、その要求って……おれの身体目的か貞操は守るぞコラ」
男子生徒B「そんなもんいらねーよ!!」
チンピラの一人が余裕たっぷりという感じで、指を一本立てる。
男子生徒A「……ひとつは、この店を完全に俺たちに明け渡すこと」
悠「あー?」
吉音「なんですってぇ!?そんなこと、できるわけないでしょー!!」
吉音が飛び出しそうになるが、信乃の首筋にさらに深く刃が押し当てられるのを見て、思いとどまった。
男子生徒A「もうひとつは、店は続けていいが、上納金を俺たちに収め続けること。」
男子生徒B「二つに一つだ。どっちの要求も飲めなけりゃ、人質の身は、保証しねぇ」
悠「……ちっ」
いっそ、この距離から龍剄で一掃してみようかと考えたが確実に信乃を巻きこんでしまう。
男子生徒C「黙ってちゃわからないぜ、早く決めろよ!」
男子生徒D「俺たちゃあまり、気の長い方じゃないんでな……この女がどうなってもいいのかよ?」
悠「くそが……」
万事休すか?!
「……ごめんあそばせ」
悠「あ?……あぁっ!」
まるでモーゼの十戒のように、野次馬の群れが分かれ、その中心に大神さんが立っていた。そして彼女は、場違いなほど優雅な物腰で、こちらに向かって歩いてくる。
伊都「今日は何だか、お客が多くて賑やかですわね……このお店にお客が溢れているなんて、分からないこともあるものだわ。ねぇ、ダイちゃん。」
ダイゴロー『チャン!』
そうして、ひっくり返った縁台を立て直すと、眉をひそめながらそこに腰を降ろした。
伊都「何でもいいけど、ほこりっぽいわね……お掃除くらいちゃんとしなさいな」
悠「あー……あのですね、大神さん……」
伊都「まぁ、いいわ。とりあえず私にも、お茶を一杯いただけるかしら?」
こ、このひと、状況を一切把握できてない……ってことを、おれは把握した。
男子生徒E「お……おうおう、姉ちゃん!なんなんだ、てめーは?!」
ここでようやくあっけに取られていたチンピラどもも我に帰ったのか、彼女に向かって詰めよりだした。しかし大神さんのほうは、一向に動じる様子もない。
伊都「ねぇ悠、この人相の悪い連中って、もしかして新しいアルバイト?」
悠「いっ?」
伊勢「だったら、すぐにクビにした方が良いわね、彼らの顔、明らかにお店のイメージダウンだもの」
男子生徒B「あ、あのなぁてめぇ、頭おかしいのか!?」
男子生徒C「この荒れ果てた店と、人質に取られてる女を見て、何かきづかねぇか、ああ?」
大神さんはしばらく、いわれるままに店内を見まわしていた……が。
伊都「……なにか、新しい余興とか?」
男子生徒C「だーーっかーーらーーーっ!!」
伊都「ともかく、そっちの事情はどうでもいいの、私はお茶を飲みに来ただけだから……」
その刹那、大神さんの鼻先を、きらりと光るものが掠めた。