ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【4】

ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー

悠「ふーむ……。」

はな「そろばん持って電卓叩くって何かの儀式ですか?」

悠「いや、ごくごく一般的な帳簿整理です」

はな「そろばんの意味は?」

悠「雰囲気」

はな「意味ねーです」

悠「はぁー」

はな「どしたんです?普段よりテンションが落ち着いてるですけど」

悠「そうさなぁ。売り上げがイマイチなもんでな」

はな「いつものことです」

悠「今月は特にだ」

はな「悠さんが話してたり出歩いてばかりなのも原因です」

悠「はなちゃん、大の男が泣く姿をみたいのか?」

はな「ノーサンキューです。でも、そんなにピンチなんです?」

悠「店の諸々の雑費、はなちゃんの給料、新の食費……売上と比較して、どう考えても今月はマイマネーから少し出さないと拳二に家賃が払えん」

はな「ギリギリ「セーフ」じゃなく「アウト」でしたか…」

悠「でっひゅひょひゃひょ」

はな「笑い事ですか……いや、笑い?」

悠「笑えんが、こーゆー時は笑うしかないのですよ。」

吉音「悠ー。」

悠「おやつなら団子食っとけ」

吉音「やった!」

はな「こーゆーのがダメなんじゃないです?」

悠「これも必要経費なんですよ」

吉音「むぐむぐ…むぐむぐ…あ、そだそだ。お客さんだよ」

悠「それを先にいわんかいっ!」

寅「客商売としてダメだろコレ」

悠「なんだ、寅か」

寅「蹴り飛ばすぞ」

はな「いらっしゃいませです」

悠「なんにしやがりますか?」

寅「そろそろ本気で訴えるぞ」

悠「冗談だよ。今月ピンチだから飲み喰いして金を落としていってくれ」

寅「正直だな……。だが、俺もそんな金はねぇ。一番安いセットくれ」

はな「はーいです」

悠「寅も金欠か」

寅「お前より金はねぇな」

悠「そっか」

吉音「もぐもぐもぐ……もぐもぐもぐ…」

寅「あぁ……でも、お前みたいに金食い虫は居ない分マシだ」

悠「…………優秀なんだ、これも必要経費だ」

寅「随分と間があったな」

悠「素直に褒めれるときと褒めれないときが多いからな」

寅「けっ……金が必要なら蒼天塔いきゃあ良いじゃないか」

悠「あそこはおれにとって鬼門だ」

寅「俺は来月いくけどな」

悠「ぶっ……マジかよ」

寅「まぁな、最近はここらで稼ぐより、あっちに行く方がいい」

悠「ヘタしたら死ぬぞ」

寅「それぐらいの相手の方がいい」

悠「……呆れるわ」

寅「お前にだけはいわれたくない」

はな「団子セットお待たせしましたです」

悠「ほれ、茶」

寅「話しながら茶を淹れんな」

悠「むしろトークしながらでも茶を淹れれるおれをほめろ」
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