ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【4】

ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー

「……」

朱金「ぷはーっ!」

真留「遠山様、お酒じゃないんだから」

悠「豪快な飲みっぷりは見てて気持ちいいな」

朱金「アレもか?」

吉音「もぐもぐもぐもぐ……!」

悠「アレは豪快とかじゃなく胸やけだ。あとおれの頭が痛くなる原因」

真留「何本目ですか?」

悠「60本までは数えたがそれ以上は怖くて数えてない」

真留「心中お察ししますよ…。」

悠「ふっ……ふふ……ふふふ」

朱金「あー、なんだ、今日はツケじゃなくちゃんと金払ってくよ。」

真留「当たり前です!」

朱金「真留が」

真留「えぇぇ?!」

「……すいません。団子追加いいですか」

悠「あ、はいはい。何本ほど?」

「あん9本、きなこ9本、みたらし9本」

悠「はい、少々お待ちください」

吉音「わらひもほひゃわりっ!」

悠「喰いすぎだ!」

ちなみに今のは「あたしもおかわり」といった。

朱金「随分と喰う客がいるんだな」

悠「御新規さんだよ。」

「……びくっ」

朱金「へぇー、まぁ味はいいもんな、味は」

悠「他のは悪いって言い方に聞こえるんだが?」

朱金「そりゃーもっと色っぽいサービスでも有れば完璧なんだがよぉ。でへへへ」

悠「ねぇよ。」

はな「はーい、お団子各種お待ちどう様です」

「どうも……あの、すいません」

はな「はい?」

「ここの店主ってあの人ですか?」

はな「はい、あの前髪お化けが店主の小鳥遊悠ですよ」

「そうですか……。ごちそうさん。金置いとくよ」

はな「え、早っ……あ、ありがとうございますです」

悠「毎度ありです」

「……」

悠「ん?なにか?」

男は急におれの頬をズルリと撫でた。

男「へぇ、想像してたより普通の顔だ。それに似てない」

悠「痛っ?!」

男の手が離れると同時にチクリとした痛みが走った。ぬるりとした液体が頬を染める。

朱金「悠っ、血出てんぞ!」

悠「はっ?!」

頬に手を当てると確かに流血している。ヤツに何かされたらしいが前を向いたと姿は無かった。

はな「タオルです!」

悠「あ、あぁ、どうなってる?」

朱金「頬に傷ができてるぜ。カミソリでも仕込んでやがったのかさっきの野郎」

悠「えぇ……白昼どうどうと通り魔かよ。いや、通ってないから……喰い裂き魔かよっ!」

はな「冗談言ってる場合ですか!」

悠「いやいや、本当に痛くないし……あれ、吉音は?」

真留「追いかけていったんじゃないでしょうか?」

悠「マジか……ちょ、おれも追ってくる」

朱金「お前は治療してろ。オレがいってきてやるぜ!」
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