ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【3】

ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー

寅「結局、賭場は潰れたか」

朱金「潰れちまったよ。良いところは奪われちまうし。あー、つまんねぇー!!」

悠「……」

寅「っていうか、テメーはさっきからなに黙ったまんまなんだよ」

悠「今、ドラクエセブンのレベル上げ中なんだよ」

寅「働け!!」

悠「働いてるよ。世界を救うって意味で働きまくりだよ」

寅「それ、先に進まなきゃ世界は滅びないからな」

悠「世界は滅びないさ。おれが世界を救う。おれが勇者だ」

寅「病気だな」

悠「そうでもないよ」

寅「あるわ!」

朱金「あーあ、なんか面白いことねぇもんかなぁ」

悠「ウチの猫は真っ白な毛並みで尾も白いぞ」

寅「今すぐ死ね」

悠「生きるっ!」

寅「てゆーか、働けよ。」

悠「なら何か注文しろよ」

寅「茶」

朱金「茶」

悠「冷めきった夫婦か」

寅「いいから黙って持ってこいよ」

悠「へいへい。」

朱金「あと、激辛せんべい」

悠「はいよ。どーぞ」

朱金「おー、これこれ、この熱くてしっぶい茶と辛いせんべいが最高だぜ」

寅「ズズッ」

悠「寅はなんも茶うけいらんのか?」

寅「……金欠だ」

悠「なんで、金には細かいお前が金欠なんて珍しいな」

寅「賭場で負けてな。」

悠「お前もやってた口かよ」

寅「あの時は魔がさした……俺は博打でも殴り合い専門だったのに卓上で勝負になんかのったのが間違いだったんだ」

悠「まー、ストリートファイトで日銭を稼ぐのもどうかだけどな……」

寅「テメーだって似たようなもんだろ」

悠「何処がだよ。おれは立派に茶屋をやってるでしょーが」

寅「立派に……」

朱金「立派になぁ……」

悠「ええ、お客はアンタら以外いませんよ!!貸し切り状態ですよ!!」

寅「逆ギレしてんじゃねーよ!」

悠「新商品の売れ行きも伸びないしヨヨヨ~」

寅「なんだ、また奇妙なモン作ったのか」

悠「売りもんで奇妙なものつくった覚えはねーよ!!」

寅「売れないのは味が不味いんじゃないのか」

悠「あー?」

寅「試食ならしてやる」

悠「食べたいなら食べたいっていえよ…」

寅「別に」

悠「ツンデレか」

朱金「ただならオレも喰ってやるぜ」

悠「どいつもこいつも……まぁいいや、試食に出してやるよ。こちら、「和重ね」です」

寅「羊羹をカステラで挟んでるのか」

朱金「喰いやすいサイズになってるけど甘いな」

悠「そりゃ……和菓子だからな」
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