ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました

ー新宿ー

拳二「そうだ。崇の要望通りの場所だが、お前にはまだ話してなかったな」

悠「なんの話だ」

拳二「この店の前の持ち主。ここを出ていったヤツの事だ」

悠「そういや、どうして出ていったんだ。わりといい物件な気もするし。店一式残して出ていくってのはちょっと不自然だし。」

拳二「まぁなぁ…」

悠「幽霊が出るとかじゃねぇよな」

拳二「あー?」

悠「いわく付きの物件とかいうんじゃないなか?」

拳二「かっ、お化けなんかでるわけねぇだろ。お化けはな…」

悠「お前…お化けっていうんだな。」

拳二「ほっとけ!」

悠「んで、なんだよ。」

拳二「実はこの店は以前不良グループの溜まり場になっていたらしくてなぁ。前の店主が出ていったのもそれが原因だ」

悠「……それは営業再開したら不良たちが戻ってくるかもしれないってことじゃないのか?」

崇「くくっ、その可能性は高いだろうな。」

拳二「店から追い出すこと自体が目的のような節もあったようだしな」

悠「それはお化けより性質が悪いじゃん…」

崇「そのためのお前だろ」

悠「んな無茶な…」

崇「まぁ、新宿の奴らも警備はしてるらしいからそれなりには問題は起こらないだろ。起こったらお前がどうにかするのが目的だしな」

悠「だぁからぁ…」

「あのすいませーん!」

悠「女の声……崇か?」

崇「俺は知らん。拳二」

拳二「いや、俺も知らん。まさか、いきなり客?」

崇「看板も出てないのにあり得るか」

悠「出てみるかはいはい?」

「あ、ここの人ですか?」

悠「まぁ、ここの人だけど…そちら方は?」

新「私は徳田新(とくだあらた)!そっちは?」

悠「え、あぁ、小鳥遊悠。」

新「かたなし悠。悠だね!」

悠「間違ってる上に初対面で呼び捨てかよ!」

新「あれ?なにか間違ってた?」

「かたなしじゃなく。小鳥遊ですよ。徳田さん。」

新「たたなし?」

悠「た・か・な・し!」

新「悠でいいよね。私も新でいいから」

悠「好きにしてくれ…で、そっちの人は?」

想「初めまして。私、逢岡想(おおおかおもい)と申します。」

悠「それで、新と逢岡さんは何用で?」

想「はい、いきなりなんですが此方では以前に店が開かれて居たのをご存じですか?」

悠「あー、不良のたまり場になって追い出されたって話し?」

想「はい…実はその不良は大江戸学園(うち)の生徒らしくて。店から追い出すことが目的のような節もありましたから」

悠「大江戸学園の生徒ってのは初めて聞いたが、後半は知ってる。それがどうかしたのか?」

想「はい。奉行所としてできる限り私たちも警備はさせて頂くつもりで、こちらに参りました」

悠「奉行所?警備?」




拳二「(崇、なんか面白いことになってきたぞ)」

崇「(やはり、悠は適任だな)」
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