ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【3】
ー大江戸学園:日本橋ー
吉音「んーーーー!授業が終わるとのびのびするねぇ!!」
悠「おれに同意を求めるなよ、まぁわからなくもないけどな……」
放課後、一日の授業を終えて、おれたちは小鳥遊堂への帰り道。
吉音「だって窮屈なんだもん」
のんびり歩くおれの周りを、吉音はまるで子犬のようにあっちへ行ったりこっちへ行ったり。
確かに吉音にとっては、ずっと椅子に座ってなきゃいけない学園の授業は退屈なんだろうな。
悠「っても……吉音は寝っぱなしじゃん」
吉音「ねえ、今日のおやつはなぁに?」
悠「無視かよ。……昨日売れ残った小倉あんで、小倉トースト」
吉音「やた!」
悠「あんまり食べ過ぎるなよ、また夕飯が食べられなくなる。……ていうか、太るだろ」
吉音「うぐっ。……い、いいもん。その分運動するから。悠で」
悠「え、それってどういう意味で?」
吉音「ふっふっふっ。かーいがってあげるわよぉ。」
吉音は両手を前に突きだして、見えない剣をぶんぶんと振って見せた。
悠「あー……なんだ、そういう意味か」
吉音「道場でたっぷり…………ん、そういう意味ってどういう意味?」
悠「なんでもない。なんでもないですよー。」
そうだよなぁ、吉音がそんな色っぽいこと考える訳無いか……などと思っているところへ。
吉音「きゃあ!」
「きゃん!」
いきなり横合いからなにかにぶつかられて、吉音はその場に尻もちをついた。
吉音「なぁにすんのよっ!いったいなあっ!」
女の子「ご、ごめんなさいっ。……痛っ」
愛らしい声で謝ったのは、女の子だった。見たところおれたちより歳下、乙級の生徒だろうか。
悠「(いや、かなうさんの例もあることだしな)」
吉音「もう、気をつけなきゃあぶないでしょ。……あれ?怪我してる?」
女の子「ん……。転んだとき、すりむいたみたい……」
女の子は膝を触ろうとするが、傷が痛むのかその手を途中で引っ込めた。
吉音「あー、血が出てるじゃない。養成所に行こう」
女の子「え、でも……」
吉音「ちゃんと手当てしないと、あとでよくないことになるかもしれないから」
悠「ああ、そうだな。ほらおぶさって」
背中を差し出すと、女の子は素直におれにおぶさってきた。
吉音「あ、いいなー」
~養成所へ移動中~
悠「そっか、君はたまきちゃんていうのか」
たまき「うん」
話しを聞いてみると、やっぱり乙級の生徒だった。かなうさんみたいな人がそうそういるわけもないか。おれと歩調を合わせて歩きながら、吉音がたまきちゃんと楽しそうに話している。
吉音「元気なのはいいけど、よそ見してたら危ないからね。」
悠「…………」
吉音も歳下の女の子にはちゃんとお姉さんらしいことがいえるんだなあ。
たまき「鬼から逃げてたから、つい……ごめんなさい」
吉音「鬼ごっこかあ。あたしもやったなあ」
たまき「新お姉ちゃんも?」
吉音「そうよ。あたしを探してる使用人……じゃなかった鬼からいっつも逃げてたから。逃げるのうまいのよ。」
悠「………………」
今でもすばしっこいのに幼少期など今の三倍はちょこまかと動きまくっていただろう。こいつのお守りを仰せつかった皆さんに同情せざるを得ない。
吉音「んーーーー!授業が終わるとのびのびするねぇ!!」
悠「おれに同意を求めるなよ、まぁわからなくもないけどな……」
放課後、一日の授業を終えて、おれたちは小鳥遊堂への帰り道。
吉音「だって窮屈なんだもん」
のんびり歩くおれの周りを、吉音はまるで子犬のようにあっちへ行ったりこっちへ行ったり。
確かに吉音にとっては、ずっと椅子に座ってなきゃいけない学園の授業は退屈なんだろうな。
悠「っても……吉音は寝っぱなしじゃん」
吉音「ねえ、今日のおやつはなぁに?」
悠「無視かよ。……昨日売れ残った小倉あんで、小倉トースト」
吉音「やた!」
悠「あんまり食べ過ぎるなよ、また夕飯が食べられなくなる。……ていうか、太るだろ」
吉音「うぐっ。……い、いいもん。その分運動するから。悠で」
悠「え、それってどういう意味で?」
吉音「ふっふっふっ。かーいがってあげるわよぉ。」
吉音は両手を前に突きだして、見えない剣をぶんぶんと振って見せた。
悠「あー……なんだ、そういう意味か」
吉音「道場でたっぷり…………ん、そういう意味ってどういう意味?」
悠「なんでもない。なんでもないですよー。」
そうだよなぁ、吉音がそんな色っぽいこと考える訳無いか……などと思っているところへ。
吉音「きゃあ!」
「きゃん!」
いきなり横合いからなにかにぶつかられて、吉音はその場に尻もちをついた。
吉音「なぁにすんのよっ!いったいなあっ!」
女の子「ご、ごめんなさいっ。……痛っ」
愛らしい声で謝ったのは、女の子だった。見たところおれたちより歳下、乙級の生徒だろうか。
悠「(いや、かなうさんの例もあることだしな)」
吉音「もう、気をつけなきゃあぶないでしょ。……あれ?怪我してる?」
女の子「ん……。転んだとき、すりむいたみたい……」
女の子は膝を触ろうとするが、傷が痛むのかその手を途中で引っ込めた。
吉音「あー、血が出てるじゃない。養成所に行こう」
女の子「え、でも……」
吉音「ちゃんと手当てしないと、あとでよくないことになるかもしれないから」
悠「ああ、そうだな。ほらおぶさって」
背中を差し出すと、女の子は素直におれにおぶさってきた。
吉音「あ、いいなー」
~養成所へ移動中~
悠「そっか、君はたまきちゃんていうのか」
たまき「うん」
話しを聞いてみると、やっぱり乙級の生徒だった。かなうさんみたいな人がそうそういるわけもないか。おれと歩調を合わせて歩きながら、吉音がたまきちゃんと楽しそうに話している。
吉音「元気なのはいいけど、よそ見してたら危ないからね。」
悠「…………」
吉音も歳下の女の子にはちゃんとお姉さんらしいことがいえるんだなあ。
たまき「鬼から逃げてたから、つい……ごめんなさい」
吉音「鬼ごっこかあ。あたしもやったなあ」
たまき「新お姉ちゃんも?」
吉音「そうよ。あたしを探してる使用人……じゃなかった鬼からいっつも逃げてたから。逃げるのうまいのよ。」
悠「………………」
今でもすばしっこいのに幼少期など今の三倍はちょこまかと動きまくっていただろう。こいつのお守りを仰せつかった皆さんに同情せざるを得ない。