ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【3】
ー大江戸学園:日本橋ー
悠「タマネギが苦手?」
由真「ちょっと唯、なに余計なこといってんのよ!」
唯「い~じゃん別に~」
唯ちゃんはおれの背中に隠れて顔だけ出して、にやにやした笑みを由真に向けている。
悠「アレルギーとかなのか?」
由真「別にそういうことじゃなくて……苦手なだけよ」
悠「どんなところが?」
由真「どんなって……一番ダメなのは臭いかしら。あと、生のときの食感とか、あの辛さとか……火を通したら通したで、野菜の癖に変な甘みが出てくるし……って、なんでこんなことアンタに教えなきゃいけないのよ!」
悠「えー……」
苛立たしげに声をあげた由真が、睨むような眼差しをおれに向けてくる。
由真「アンタもなんか教えなさいよ」
悠「え?」
由真「私だけなんて不公平でしょ。アンタも苦手なもの教えなさいよ」
悠「苦手なものとかいわれても……」
由真「あるでしょなんか」
悠「口の中に石を詰められて思いっきり殴られることとか?」
由真「誰でも嫌でしょうが!!」
悠「お前が聞いたから答えてやったんだろ!!」
唯「まぁまぁ、そんなことで喧嘩しないでよ」
由真「なにがまあまあなのよ!そもそもアンタが変なこといいだすからいけないんでしょ!」
唯「だって、いつもボクたちばっか悠さんのこと聞いてるじゃん。だから悠さんにもなにか教えてあげようかな~って」
悠「あー?おれ……そんなに自分のこと話したりしてるっけ?」
唯「ううん。悠さんからは聞いてないけど、由真姉がよく家で……」
由真「わあああああああっ!!」
いきなり大声をあげた由真が、目にも留まらぬ速さでおれたちの背後に回り、唯ちゃんの口を手でふさいだ。
唯「むぐっ!」
由真「アンタ、ホントに怒るわよ!」
唯「もう怒ってるじゃん!」
悠「えーと……」
この状況どうしたものか。話しの流れから察することもできなくはないが……。
由真「なによ?」
悠「……いや、別に」
追及してやらない方がいいんだろうな、たぶん。
由真「…………」
悠「……」
由真はしばらくおれを睨みつけていたが、やがて目を逸らし、唯ちゃんを解放して距離をとった。
由真「そういえば最近、アンタの店ってどう?」
悠「何だよ。藪から棒に、いいえ壁から釘です」
由真「はぁ?」
悠「何でも無い。それでなんだ?」
由真「なにって……ほら、最近、増税とかそういうので面倒なことになってるじゃん?ウチの店もお客さんが減ってるし……だからアンタんトコはどうなのかなって」
悠「そういうことか。まぁ、うちはもともと決まった客以外はほとんど来ないから、あんまりそういう実感はないかな。ただ、目安箱の方には、その手の相談が増えてきた感じがする」
唯「例えばどんな?」
悠「そうだな……度を超えた借金の取り立てをどうにかして欲しいとか、かな。借りたものを返すのは当然だが、目に余る取り立てをしている所も多いみたいだな。そういう所には、おれと新で話しをつけに行ったりしてるんだ」
悠「へぇ~、ちょっとした正義の味方って感じだね」
悠「どうだろうな……。」
確かに交渉はおれの役目だが、実際には吉音の腕っ節に頼ることが多いから、あまり自慢はできないのだが。
悠「タマネギが苦手?」
由真「ちょっと唯、なに余計なこといってんのよ!」
唯「い~じゃん別に~」
唯ちゃんはおれの背中に隠れて顔だけ出して、にやにやした笑みを由真に向けている。
悠「アレルギーとかなのか?」
由真「別にそういうことじゃなくて……苦手なだけよ」
悠「どんなところが?」
由真「どんなって……一番ダメなのは臭いかしら。あと、生のときの食感とか、あの辛さとか……火を通したら通したで、野菜の癖に変な甘みが出てくるし……って、なんでこんなことアンタに教えなきゃいけないのよ!」
悠「えー……」
苛立たしげに声をあげた由真が、睨むような眼差しをおれに向けてくる。
由真「アンタもなんか教えなさいよ」
悠「え?」
由真「私だけなんて不公平でしょ。アンタも苦手なもの教えなさいよ」
悠「苦手なものとかいわれても……」
由真「あるでしょなんか」
悠「口の中に石を詰められて思いっきり殴られることとか?」
由真「誰でも嫌でしょうが!!」
悠「お前が聞いたから答えてやったんだろ!!」
唯「まぁまぁ、そんなことで喧嘩しないでよ」
由真「なにがまあまあなのよ!そもそもアンタが変なこといいだすからいけないんでしょ!」
唯「だって、いつもボクたちばっか悠さんのこと聞いてるじゃん。だから悠さんにもなにか教えてあげようかな~って」
悠「あー?おれ……そんなに自分のこと話したりしてるっけ?」
唯「ううん。悠さんからは聞いてないけど、由真姉がよく家で……」
由真「わあああああああっ!!」
いきなり大声をあげた由真が、目にも留まらぬ速さでおれたちの背後に回り、唯ちゃんの口を手でふさいだ。
唯「むぐっ!」
由真「アンタ、ホントに怒るわよ!」
唯「もう怒ってるじゃん!」
悠「えーと……」
この状況どうしたものか。話しの流れから察することもできなくはないが……。
由真「なによ?」
悠「……いや、別に」
追及してやらない方がいいんだろうな、たぶん。
由真「…………」
悠「……」
由真はしばらくおれを睨みつけていたが、やがて目を逸らし、唯ちゃんを解放して距離をとった。
由真「そういえば最近、アンタの店ってどう?」
悠「何だよ。藪から棒に、いいえ壁から釘です」
由真「はぁ?」
悠「何でも無い。それでなんだ?」
由真「なにって……ほら、最近、増税とかそういうので面倒なことになってるじゃん?ウチの店もお客さんが減ってるし……だからアンタんトコはどうなのかなって」
悠「そういうことか。まぁ、うちはもともと決まった客以外はほとんど来ないから、あんまりそういう実感はないかな。ただ、目安箱の方には、その手の相談が増えてきた感じがする」
唯「例えばどんな?」
悠「そうだな……度を超えた借金の取り立てをどうにかして欲しいとか、かな。借りたものを返すのは当然だが、目に余る取り立てをしている所も多いみたいだな。そういう所には、おれと新で話しをつけに行ったりしてるんだ」
悠「へぇ~、ちょっとした正義の味方って感じだね」
悠「どうだろうな……。」
確かに交渉はおれの役目だが、実際には吉音の腕っ節に頼ることが多いから、あまり自慢はできないのだが。