ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【3】
ー大江戸学園:日本橋ー
悠「あー……こんなもんかなっと」
抱えた荷物を改めて確認する買おうと思ってた物は、これで全部のはずだ。店の買い出しに来たつもりなんだが、どちらかというと、折おれ自身が使う日用品の方が多いよな、これ。
まあ、客が少ないわけだから消耗品の減りだって少ないのも当然なわけで……。自然とため息が出てしまう。
「ため息なんか吐いちゃってど~したのっ?」
いきなり腕に重みがかかり、よろけてしまった。何事かとそちらをみると、おれの肘の辺りにぶら下がるように腕を絡めた女の子と目が合う。
悠「おっと……?何だ唯ちゃんか」
唯「えへっ♪」
由真「私もいるんだけど」
悠「え?あー……」
由真「なにその態度の違いは?」
悠「いや、別にふたりも買いだしか?」
他意は無いといっても信じてくれないだろうし、とぼけておくことにした。しかし、こんなところで由真と唯ちゃんに会うとはな。
由真「は?もしかしてアンタ、店の買い出しでこんなトコぶらついてたわけ?」
悠「あー、そんな感じ。由真たちは違うのか?」
由真「違うに決まってるじゃない。夕飯の買い物をする主婦じゃあるまいし、店の買い出しをわざわざ学校帰りなんかにする訳ないでしょ」
悠「……そういうもんかね?」
唯「まぁ、卸してくれるところの都合とか品物にもよるけど、わざわざこの時間にっていうのはあんまないかな」
由真「第一さぁ、そんなことしてたらお店開くの遅くなっちゃうし、メニュー考えるのとかも大変でしょうが」
悠「なるほど。けど、うちはほぼ固定メニューだし店開けるのもほぼランダムだからなぁ。っか、ならどうして今日はこんなところにいるんだ?」
由真「それは……」
唯「今日は結花姉が用事あって帰りが遅いから」
悠「結花さんの帰りが遅いのと、こんなところにいるのに、どんな関係が?」
唯「ん~、なんていうか……お茶だけだったら、いちおうボクと由真姉も淹れられるけど、やっぱり結花姉ほどの腕前じゃないし……料理に限って言えば、ボクも由真姉もからっきしダメだから」
悠「ようするに、結花さんが居ないと店が開けられないってことか?」
唯「そ~いうこと。だから結花姉が帰って来る時間まで、ちょっと買い物でもしてよかな~って」
悠「ふーん」
由真「なによ。悪い?」
悠「あー?何もいってないのに、どうして突っかかってくるんだよ、お前は」
由真「アンタがなにか言いたそうにこっち見るからよ」
ただの言いがかりじゃないか……と口に出せば、さらなる言い合いになることは目に見えている。ここはおれが大人になって、こらえておく事にしよう。そんなおれの内心を察してか、隣で唯ちゃんがおかしそうにクスクス笑っていた。
唯「っで、その様子だと、もう買い出しは終わったの?」
悠「ああ」
唯「じゃあ、いっしょに帰ろっ?ボクたちも用があるって訳じゃないからっ」
悠「おれは構わないけど……」
由真「ふん」
横目に様子を窺(うかが)うと、由真はおれの返事を待たずに身を翻した。
唯「ほら、由真姉も一緒に帰りたいみたいだし」
悠「どこをどう見たら、あの状態がそんな風にみえるんだ?」
唯「いいからいいから」
唯ちゃんは楽しげに笑いながら、おれの腕を引っ張って歩きだすのだった。
悠「あー……こんなもんかなっと」
抱えた荷物を改めて確認する買おうと思ってた物は、これで全部のはずだ。店の買い出しに来たつもりなんだが、どちらかというと、折おれ自身が使う日用品の方が多いよな、これ。
まあ、客が少ないわけだから消耗品の減りだって少ないのも当然なわけで……。自然とため息が出てしまう。
「ため息なんか吐いちゃってど~したのっ?」
いきなり腕に重みがかかり、よろけてしまった。何事かとそちらをみると、おれの肘の辺りにぶら下がるように腕を絡めた女の子と目が合う。
悠「おっと……?何だ唯ちゃんか」
唯「えへっ♪」
由真「私もいるんだけど」
悠「え?あー……」
由真「なにその態度の違いは?」
悠「いや、別にふたりも買いだしか?」
他意は無いといっても信じてくれないだろうし、とぼけておくことにした。しかし、こんなところで由真と唯ちゃんに会うとはな。
由真「は?もしかしてアンタ、店の買い出しでこんなトコぶらついてたわけ?」
悠「あー、そんな感じ。由真たちは違うのか?」
由真「違うに決まってるじゃない。夕飯の買い物をする主婦じゃあるまいし、店の買い出しをわざわざ学校帰りなんかにする訳ないでしょ」
悠「……そういうもんかね?」
唯「まぁ、卸してくれるところの都合とか品物にもよるけど、わざわざこの時間にっていうのはあんまないかな」
由真「第一さぁ、そんなことしてたらお店開くの遅くなっちゃうし、メニュー考えるのとかも大変でしょうが」
悠「なるほど。けど、うちはほぼ固定メニューだし店開けるのもほぼランダムだからなぁ。っか、ならどうして今日はこんなところにいるんだ?」
由真「それは……」
唯「今日は結花姉が用事あって帰りが遅いから」
悠「結花さんの帰りが遅いのと、こんなところにいるのに、どんな関係が?」
唯「ん~、なんていうか……お茶だけだったら、いちおうボクと由真姉も淹れられるけど、やっぱり結花姉ほどの腕前じゃないし……料理に限って言えば、ボクも由真姉もからっきしダメだから」
悠「ようするに、結花さんが居ないと店が開けられないってことか?」
唯「そ~いうこと。だから結花姉が帰って来る時間まで、ちょっと買い物でもしてよかな~って」
悠「ふーん」
由真「なによ。悪い?」
悠「あー?何もいってないのに、どうして突っかかってくるんだよ、お前は」
由真「アンタがなにか言いたそうにこっち見るからよ」
ただの言いがかりじゃないか……と口に出せば、さらなる言い合いになることは目に見えている。ここはおれが大人になって、こらえておく事にしよう。そんなおれの内心を察してか、隣で唯ちゃんがおかしそうにクスクス笑っていた。
唯「っで、その様子だと、もう買い出しは終わったの?」
悠「ああ」
唯「じゃあ、いっしょに帰ろっ?ボクたちも用があるって訳じゃないからっ」
悠「おれは構わないけど……」
由真「ふん」
横目に様子を窺(うかが)うと、由真はおれの返事を待たずに身を翻した。
唯「ほら、由真姉も一緒に帰りたいみたいだし」
悠「どこをどう見たら、あの状態がそんな風にみえるんだ?」
唯「いいからいいから」
唯ちゃんは楽しげに笑いながら、おれの腕を引っ張って歩きだすのだった。