ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【3】

ー大江戸学園女性下着屋ー

悠「おれは使わんからしらん……そういうのは同じ性別の奴に……」

答えづらくて言葉に詰まっていると越後屋は楽しんでいるのか呆れているのか能面のような表情で突っ込んだ。

越後屋「別に着け心地がどうとかそういう感想は求めてへん。男性の視点で感想を話してくれればええんや。小鳥遊さんのようなタイプの男性が、女性にどのような下着を好むのかそれを調査してんねん。それとも小鳥遊さん、女性下着に興味が?ご自分でお求めにならはりますか?」

悠「それは無ぇよ!!」

慌てて全力で否定する。

越後屋「それで、どちらのほうが小鳥遊さんのお好み?」

改めて眼前に下着をずいと突きだされおれは二つの下着を見比べる。傍から見るとさぞかし間抜けな光景だっただろう。

悠「こっちかな」

越後屋「ふむ……」

少し考え込むようにしてから、それをおれの手に乗せる。持ってろということらしい。

悠「……」

そして別の二つをまた手にとっておれにたずねる。

越後屋「これと…これだとどっちがええと思う?」

またも数秒悩んでから片方を指さす。

悠「こっちだな」

越後屋「ふむふむ……」

その後もいくつかの下着を選ばされて、気づくとおれの腕には下着の山ができていた。

越後屋「こんなもんかな。ほな、ちょいと試着してきます。」

そういって試着室に入ってく。……おれの手を掴んで。

悠「待てーーゐ!おれはここで待ってるぞ!!」

越後屋「ウチにそれ全部持たせるつもりなんか?」

越後屋に着いて試着室まで向かう。試着室から出てきた女性に一瞬ギョっとされたが、ジロリとみられただけで叫び声を出されることは無かった。ほんっっっと……居心地悪いはこれは。


悠「おい、越後屋、早くしろよ……」

外から越後屋に向かって催促する。

越後屋「せっかちな男は嫌われますえ~」

中からごそごそと衣擦れ音が聞こえてくる。うん。勘弁してくれ……。

???「うわー、これは面白いものみちゃったかな」

???「下着とか持ってるし。変態だ変態だ~」

明らかに自分に向けられた聞き覚えのある声に顔をあげるとそこには由真と唯ちゃんがいた。

悠「なんでお前たちがここに?!」

唯「それはこっちのセリフだよ」

由真「うんうん。明らかに居場所が変なのは小鳥遊の方だと思う」

確かに彼女たちの意見が正論だ。なにもまちがっていない。

悠「おれはその……市場調査で……ここに……」

由真「お茶屋が女性下着屋で市場調査?なんの?」

唯「ふ~ん、こういう下着が好きなんだ~」

ひょいっと唯ちゃんがおれの腕から下着を取り上げる。

由真「小鳥遊、なにやってんの?そういう趣味があったとか?」

悠「違う!そうじゃないっての!!」

唯「結花姉ぇ~!こっち、こっち~」

げっ、居ないとは思ったけどやっぱり結花さんもいるのか!呼ぶな!呼ぶんじゃない!唯ちゃん!

結花「あら、楽しそうね、三人とも」

悠「あ……ど、どもっす」

唯「結花姉!見て見て!」

結花「あら、可愛い下着、小鳥遊君が選んだのかしら?」

悠「えーと、いや、これは、その……」

唯「由真姉も悠さんに選んでもらったらー?さっきすっごい迷ってたじゃん」

由真「唯!余計なこといわないの!」

唯「ねぇねぇ、悠さん、こっちとこっち、どっちがみたい?」

唯ちゃんが由真の持っていた下着をひょいと取り上げておれに見せる。また下着選びをするのか!今日はなんて日だ!
56/100ページ
スキ