ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【3】
ー大江戸学園:廊下ー
女子生徒A「ふぅ……。逢岡さんに話を聞いていただいて、少し気が楽になりました。」
想「それはよかった。何事もひとりで抱え込むのは良くないですからね。またなにか困ったことがありましたら、お気軽に声をかけてくださいね。」
下校中、廊下で女子生徒と話しこんでる逢岡さんを見かけた。悩み事の相談でも受けていたのか、女子生徒は晴れやかな笑顔を浮かべ、何度も頭を下げている。
女子生徒A「はい。本当にありがとうございました。」
元気よくお礼の言葉を口にした女子生徒は、軽やかな足取りで去っていった。
悠「お疲れ様です。逢岡さん。」
想「ああ、こんにちは、小鳥遊君。今、お帰りですか?」
悠「ええ、逢岡さんはお仕事中ですか?」
想「いえ、仕事という訳ではないのですが、個人的に校内の見回りをしているんですよ。奉行所に申し立てる程ではないにしろ、悩みを抱えている生徒たちは多いですからね」
悠「それはそれは。ご苦労様です」
想「いえいえ。常日頃から市井の声に耳を傾けておくのも、奉行の役目ですから」
何もない事のように笑う逢岡さんに、さすがだなと今さらながら感服してしまった。
こういう心から生徒たちの為に動けるようなひとが奉行をやっている限り、この学園も安泰だろうな。
悠「あの、邪魔じゃ無かったら、おれもご一緒させてもらっていいすか?」
想「それは構わないですが。しかし、なぜ小鳥遊君が?」
悠「暇つぶし。っていったら失礼かな。アレです色々と見聞を広めておきたいんですよ。更にいうとこれも建前で、今日は新もはなちゃんも用事でいないし、帰ってひとりで店番してても、気が乗らないから。あ、結局暇つぶしだ。」
想「ふふ、小鳥遊君は、さびしんぼさんなんですね?」
悠「あー……まっさか、違いますよ」
くすっと悪戯っぽく笑われ、おれは気恥ずかしさを誤魔化すようにオーバーリアクションで肩
を竦めて見せた。逢岡さんて意外にお茶目なとこあるんだよな。そーいう真面目一辺倒じゃないところが、とっつき易さを生んでるのかもしれないけど。
想「ふふっ。冗談ですよ。では、行きましょうか。」
悠「うっす」
気を取り直したおれは、すっと背中を伸ばして歩き出す逢岡さんの後をついていった。
~移動中~
男子生徒A「ちょっと待て!今の言葉は聞き捨てならん!すぐ謝罪して取り消せ!」
男子生徒B「はんっ!誰がテメェみてぇなボンクラに謝るかよっ、冗談じゃねぇや!」
見回りを開始して早々、おれたちは激しい言い争いを繰り広げている生徒たちに出会う。
男子生徒A「このぉ~!貴様、言わせておけば~!」
男子生徒B「やんのかこの野郎!相手になるぜ!」
想「はいストップ!おふたりとも、そこまでです。」
まさに爆発寸前といった所に、すかさず逢岡さんが割って入って行った。
男子生徒B「なんだアンタ?いきなり横からしゃしゃりでてきて!」
男子生徒A「これは私たちの問題だ。口出し無用!」
想「まぁまぁ落ち着いて。そんな喧嘩腰でいたら、まとまる話しもまとまりませんよ?」
男子生徒A「私は別に、喧嘩するつもりなど無かったんだが、こいつが……」
男子生徒B「俺が悪いってのか?人の話しもロクに聞かず言いがかり付けて来たのはそっちの方だろうが!」
想「では、私が間に立ちますから、もう一度よく話し合ってみましょう。こんなところで騒ぎを起こしたら、周りの人たちにも迷惑ですからね」
そう言われハッと周囲を見渡した二人は、遠巻きに自分たちを眺める見物人の多さに、バツの悪い顔をする。
男子生徒A「はぁ……仕方ない。執行部の連中に目を付けられても厄介だしな」
男子生徒B「分かったよ。俺だって別にもめ事を起こしたい訳じゃねぇ」
想「ご理解いただき幸いです。ふふふふっ」
しぶしぶといった感じに引き下がる彼らを見つめ、逢岡さんは軟らかな笑みを浮かべるのだった。
女子生徒B「逢岡さん、さよーならー♪」
想「はい、さようなら。」
女子生徒D「逢岡さんっ、やりました!今度、私たち吹奏楽部が街でやるイベントに出場が決まったんです!」
想「それは、おめでとうございます。ぜひ見に行かせて頂きますね。」
女子生徒D「はーい!私たちの勇姿、バッチリ目に焼き付けちゃってください♪」
想「ふふっ、それは楽しみです。頑張ってくださいね。」
穏便に喧嘩を収めた後も、逢岡さんは行く先々で、次々に生徒たちから声をかけられていた。そのひとりひとりに温かな言葉をかけている姿に、ついつい見惚れてしまう。これだけ生徒たちから慕われるなんて、さすが「微笑みの名奉行」なんて言われるだけあるな。
吉音「そぉ~えいやっ!!」
どっから現れたのか吉音がいきなり逢岡さんの袴のようなズボンをずり下げた。スタイリッシュなブールショーツが丸見えになる。
想「きゃああぁぁぁ!!」
悠「おー……」
吉音「大・成・功・!」
悠「なにしてんだよ……。」
吉音「えへへ、スカートめくり~」
悠「いやいや、捲ってないし、ずり下げてたし」
吉音「想ちゃんも、スカートにすればいいのに」
悠「それは有りだな。っと、いやいや、そういう問題じゃなくて」
想「あの……小鳥遊君、見ました?」
悠「……スタイリッシュでした。」
想「あうううぅ……///」
やれやれせっかくの良い話しがだいなしだ。
女子生徒A「ふぅ……。逢岡さんに話を聞いていただいて、少し気が楽になりました。」
想「それはよかった。何事もひとりで抱え込むのは良くないですからね。またなにか困ったことがありましたら、お気軽に声をかけてくださいね。」
下校中、廊下で女子生徒と話しこんでる逢岡さんを見かけた。悩み事の相談でも受けていたのか、女子生徒は晴れやかな笑顔を浮かべ、何度も頭を下げている。
女子生徒A「はい。本当にありがとうございました。」
元気よくお礼の言葉を口にした女子生徒は、軽やかな足取りで去っていった。
悠「お疲れ様です。逢岡さん。」
想「ああ、こんにちは、小鳥遊君。今、お帰りですか?」
悠「ええ、逢岡さんはお仕事中ですか?」
想「いえ、仕事という訳ではないのですが、個人的に校内の見回りをしているんですよ。奉行所に申し立てる程ではないにしろ、悩みを抱えている生徒たちは多いですからね」
悠「それはそれは。ご苦労様です」
想「いえいえ。常日頃から市井の声に耳を傾けておくのも、奉行の役目ですから」
何もない事のように笑う逢岡さんに、さすがだなと今さらながら感服してしまった。
こういう心から生徒たちの為に動けるようなひとが奉行をやっている限り、この学園も安泰だろうな。
悠「あの、邪魔じゃ無かったら、おれもご一緒させてもらっていいすか?」
想「それは構わないですが。しかし、なぜ小鳥遊君が?」
悠「暇つぶし。っていったら失礼かな。アレです色々と見聞を広めておきたいんですよ。更にいうとこれも建前で、今日は新もはなちゃんも用事でいないし、帰ってひとりで店番してても、気が乗らないから。あ、結局暇つぶしだ。」
想「ふふ、小鳥遊君は、さびしんぼさんなんですね?」
悠「あー……まっさか、違いますよ」
くすっと悪戯っぽく笑われ、おれは気恥ずかしさを誤魔化すようにオーバーリアクションで肩
を竦めて見せた。逢岡さんて意外にお茶目なとこあるんだよな。そーいう真面目一辺倒じゃないところが、とっつき易さを生んでるのかもしれないけど。
想「ふふっ。冗談ですよ。では、行きましょうか。」
悠「うっす」
気を取り直したおれは、すっと背中を伸ばして歩き出す逢岡さんの後をついていった。
~移動中~
男子生徒A「ちょっと待て!今の言葉は聞き捨てならん!すぐ謝罪して取り消せ!」
男子生徒B「はんっ!誰がテメェみてぇなボンクラに謝るかよっ、冗談じゃねぇや!」
見回りを開始して早々、おれたちは激しい言い争いを繰り広げている生徒たちに出会う。
男子生徒A「このぉ~!貴様、言わせておけば~!」
男子生徒B「やんのかこの野郎!相手になるぜ!」
想「はいストップ!おふたりとも、そこまでです。」
まさに爆発寸前といった所に、すかさず逢岡さんが割って入って行った。
男子生徒B「なんだアンタ?いきなり横からしゃしゃりでてきて!」
男子生徒A「これは私たちの問題だ。口出し無用!」
想「まぁまぁ落ち着いて。そんな喧嘩腰でいたら、まとまる話しもまとまりませんよ?」
男子生徒A「私は別に、喧嘩するつもりなど無かったんだが、こいつが……」
男子生徒B「俺が悪いってのか?人の話しもロクに聞かず言いがかり付けて来たのはそっちの方だろうが!」
想「では、私が間に立ちますから、もう一度よく話し合ってみましょう。こんなところで騒ぎを起こしたら、周りの人たちにも迷惑ですからね」
そう言われハッと周囲を見渡した二人は、遠巻きに自分たちを眺める見物人の多さに、バツの悪い顔をする。
男子生徒A「はぁ……仕方ない。執行部の連中に目を付けられても厄介だしな」
男子生徒B「分かったよ。俺だって別にもめ事を起こしたい訳じゃねぇ」
想「ご理解いただき幸いです。ふふふふっ」
しぶしぶといった感じに引き下がる彼らを見つめ、逢岡さんは軟らかな笑みを浮かべるのだった。
女子生徒B「逢岡さん、さよーならー♪」
想「はい、さようなら。」
女子生徒D「逢岡さんっ、やりました!今度、私たち吹奏楽部が街でやるイベントに出場が決まったんです!」
想「それは、おめでとうございます。ぜひ見に行かせて頂きますね。」
女子生徒D「はーい!私たちの勇姿、バッチリ目に焼き付けちゃってください♪」
想「ふふっ、それは楽しみです。頑張ってくださいね。」
穏便に喧嘩を収めた後も、逢岡さんは行く先々で、次々に生徒たちから声をかけられていた。そのひとりひとりに温かな言葉をかけている姿に、ついつい見惚れてしまう。これだけ生徒たちから慕われるなんて、さすが「微笑みの名奉行」なんて言われるだけあるな。
吉音「そぉ~えいやっ!!」
どっから現れたのか吉音がいきなり逢岡さんの袴のようなズボンをずり下げた。スタイリッシュなブールショーツが丸見えになる。
想「きゃああぁぁぁ!!」
悠「おー……」
吉音「大・成・功・!」
悠「なにしてんだよ……。」
吉音「えへへ、スカートめくり~」
悠「いやいや、捲ってないし、ずり下げてたし」
吉音「想ちゃんも、スカートにすればいいのに」
悠「それは有りだな。っと、いやいや、そういう問題じゃなくて」
想「あの……小鳥遊君、見ました?」
悠「……スタイリッシュでした。」
想「あうううぅ……///」
やれやれせっかくの良い話しがだいなしだ。