ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【3】

ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー

吉音「越後屋の話しはもういいよ。はやく目安箱開けよ!!」

おっと、吉音には退屈な話しだったかな。

悠「そうだな。とりあえず越後屋のことは置いておくか」

吉音「それでは……本日のお便りはこちらです。借金の取り立てが、厳しくて恐ろしくてたまりません。踏み倒すなんていってないのに、聞いてくれなくて。何とかしてもらえませんか?」

悠「借金取りって、そんなのがいるのか。拳二みたいなのが」

はな「それは絶対に居ないです。絶対に」

想「学園は入学時に等級が決められますからね。それによっては貧しい生活を強いられる人もいます。また、品数限定の嗜好品なども存在しますから……どうしても、手持ちのお金だけでは足りないという場面もあるのですよ。」

悠「それで金を借りるって、しかも商売として成り立つなんて。本当にこの学園には何でもあるもんだ。」

想「借金の取り立て自体はごく正当な行為ですが、あまりに乱暴であれば警告しなくてはなりませんね。」

吉音「よ~し!狼藉者を退治しに行くぞー!」

悠「まだ、決まっちゃねーぞ。借りた奴が苦し紛れに書いただけかもしれんしな。」

吉音「ううん。こういうときはきっと悪い人がいるよ」

お前は活躍の場が欲しいだけだろうが。

悠「なにも無い方がいいに決まってるんだけどな」

想「幸い私も仕事には余裕がありますし、ご一緒させていただきましょうか」

はな「気を付けて行ってきてくださいです」






ー近所の長屋ー

チンピラA「オラオラ!もう期限は来てんだよっ!!ミミを揃えて返しやがれっ!」

チンピラB「金がねぇんなら、テメェの身体でもいいんだぜ?卒業までこき使ってやらぁ」

男子生徒A「ちょっと、止めてくださいよ!半分はキッチリ払ってるじゃないですか」

本当に暴れてるのが居たよ……しかも、漫画みたいな。

チンピラA「どうせ次も半分だとか抜かすつもりだろが!全部よこせ全部!!」

悠「あーもしもし」

チンピラA「なんだ、オラうるせぇ!散れ散れ!」

悠「うるさいのはお前らだよ。周囲の人がめーわくしてるでしょーが」

チンピラB「何だテメェ。ポッと出てきて邪魔する気か?」

悠「一方的に平和的解決策を踏みにじってるのソッチだと思うだけどにゃー」

チンピラA「んじゃ、テメーから先に黙らせてやるよ!」

吉音「……」

ズバッ!

チンピラA「やるよ……あっ…えっ?」
ドシャ……

吉音「遅い遅い。そんなんじゃカメにだって負けちゃうよ!」

チンピラB「やりやがったなこのぉ!」

吉音「まだわかんないの?もしかして見えてなかった?」

ズパンッ!
チンピラB「がっ……あ……」

吉音「ふふん!まだまだだねっ!」

ビシッとポーズを決める吉音は、まるでヒーローのようだ。この学園の人たちって、なにかみんなアクションがオーバーなんだよな……。

想「なかなかこういった手合いは数が減りませんね……血の気の多い年頃ですし、無理もないのかもしれませんが」

男子生徒A「え……えぇ!お、逢岡様っ?!」

想「ええ、逢岡です。目安箱に投票してくれたのはあなたですね?」

男子生徒A「は、はい、そうです……」

想「乱暴な取り立てというのは本当の事でしたね。この目で拝見しました。しかし、どうやらその原因は貴方にあるようですね?」

男子生徒A「確かに金を借りたのは俺です。でも、あいつらドンドン利子をあげてきやがって……」

想「ふむ……まぁ、その辺りは追って調査いたしますが」

悠「でもよどうしてそんな返せなくなるような額を借りるようになったんだ?」

男子生徒A「最初は、そんな額じゃなかったんですが……その、別の所の借金を返すために、大目に借りてしまって」

想「そこが最初ですか?」

男子生徒A「いえ……その前にも一か所。最初のそこが一番利子が高くて、その、一気に返さないといつまでも……」

返すために別の所から借りる、雪だるま式の借金地獄だ。簡単にいうと破滅の道。
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