ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【3】

ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー

冗談みたいに吹きだす鮮血。頭蓋骨が割れたかもしれない。だが、それだけのことだ。
鬼状態も龍剄気孔も使わずとも、脳内からあふれ出る脳汁(ドーパミン)と闘争精神に痛みによる停止は無いのだ。

「捕まえたぞぉぉぉ!!」

「なんでたおれないんだよおぉぉぉ!!」

三発目の弾がセットされたが、ゼロ距離では流石に俺の拳の方が速かった。渾身の一撃が風太郎の顔を潰し。完全決着となる。

拳を引き抜き、肩で息をしながらいった。

悠「はぁはぁ……おれは……我慢強いんだよ。それはそうと……弩躬、てめ……なに教えてんだよ」

屋根の上から見物していた弩躬が降りてくる。

弩躬「頼まれたから教えただけだよ。それに一週間で物にした風太郎が凄いのさ。鬼状態でしかも一回に一発づつしか打てなくて、氣の力は使えないから自力だけでやったんだぞ」

悠「知らんがな……はあ、おれはもうへとへとだよ」

弩躬「頭撃たれて生きてるだけでも凄いんじゃない?じゃ、俺は報告あるから帰るな。生きてたらまた会おうぜ」

悠「縁起でも無いこといいやがって……ん?」

雷太郎「よいしょっと……。」

風太郎「……」

悠「そっちも終わったのか。」

雷太郎「あぁ…。お前らの勝ちだおめでとう。」

悠「そっか……寅は?」

雷太郎「先に帰ったんじゃないか」

悠「そうか……。」

雷太郎「ふんっ。俺たちはこうやって支え合ってるのにお前らは個人プレーだな。」

悠「人っていう字は支え合ってるんじゃないんだぞ?自分の足で立ってるんだよ。」

雷太郎「けっ……倒れてもお前は拾ってやらん。」

悠「でーじょーぶだよ。今いった通り、自分の足で歩いて帰るさ……それより、お前らはどうするんだよ?」

雷太郎「元雇い主に敗戦報告さ。もう、俺らからはちょっかい出す気はねぇから安心しろ。」

悠「そっか……なら、今度は普通に遊びに来いよ。茶屋でご馳走してやるから」

雷太郎「このお人好しが」

悠「へへ……じゃあな。」

雷太郎「ふんっ。」

悠「さて……おれも帰ろうかなっ……あれっ…足に力が入らない……そんなに疲れてないのに……やっぱ……(頭に直撃受けたのがまずかっ…のかっ…なっ……ま……い……っか……死には……しない…だっろ…)」





崇「やれやれ、仕方ないな。」

本郷「ふっ」

崇「なんだ?誰だ?」

後楽「おっと、ばれちまったか」

崇「お前は……こんな夜更けに出歩きか?」

後楽「世話になってる家主に死なれたら悪いからな出迎えだよ。なぁ、まーや君」

摩耶「僕は普通に気になってきただけだけどね。でも、崇さんがいるなら、悠君の事お願いします」

崇「俺に任せる気か?」

摩耶「少なくとも僕たちよりは車とか動かせれるし。お医者さんにも連れてけるだろうからね。」

崇「このまま山に捨ててくるかもしれないぞ」

摩耶「大丈夫。そんなことしたら僕が殺すから」

崇「くくく。いいだろう本郷、運んでやれ。」

本郷「ふっ…」
31/100ページ
スキ