ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【3】

ー大江戸学園:町はずれ小屋ー

雷太郎「……それで、なんだ、ただ医者を連れて来たって訳じゃないだろ」

悠「いや、ただ、連れて来ただけなんだけど」

雷太郎「なにっ?」

悠「どう言いつくろっても、おれは負けた。崇が来なかったらきっと病院送りになってたし。勝負はついた……。」「

雷太郎「そんな適当な敗北宣言になっとくしろってか?」

悠「適当って……どうみても、おれやられてるし。」

雷太郎「うるっさい!こんな勝敗認められるか!!」

悠「強情なやっちゃな……。勝ちを認めないって何なんだよ…。」

雷太郎「それに俺が認めた所で、風太郎が認めるわけが無い。だから、もう一度闘え!それできっちり全力を尽くして負けろ!」

悠「えぇ……。もう二対一はこりごりだよ」

雷太郎「だったら、アイツを連れてこい寅とかいうボクサー。俺はアイツと決着付けるから」

悠「あー……寅ちゃんね。そういや、雷の方はおれの獲物だっていってたっけ」

雷太郎「それでも俺たちのコンビネーションを崩せる訳無いがな」

悠「それはそれとして……できたらひとつ頼みがあるんだけど」

雷太郎「なんだ。風太郎になんかする気なら殺すぞ」

悠「しねぇし、怖ぇよ。」

雷太郎「じゃあ、なんだ。」

悠「アンタらの雇い主のことなんだけど」

雷太郎「そのことか……。悪いが何も知らないぞ」

悠「あー?」

雷太郎「あのクソ女のことなんか知るかっての」

悠「モロ知ってそうじゃん」

雷太郎「雇い主と雇われた側の関係なだけだ。それにこっちから契約は切ったしな」

悠「あー?」

雷太郎「お前、その「あー?」喧嘩売ってるのか?」

悠「違うって……っか、どういうことだよ。」

雷太郎「あの夜、風の事が心配で結果報告には行かなかった。だが、見張りでも着けてたのか、クソ女の方から押し掛けて来た。その際、「あんなやり方で力量が測れる訳無いだろ。役に立たない輩ども」っと吐き捨てて金をほり捨てていった。」

悠「そいつは……なんっーか、酷いな。襲われたおれがいうのもおかしいけど。」

雷太郎「俺は別に何をいわれようがどうでもよかった。だが、風に何のひと言も無いのが気にくわなかった。だから、契約は破棄してやった。」

悠「よく暴れなかったな」

雷太郎「俺はともかく、風に何かあったら困る。それに……正直あの女には借りがある。」

悠「借り?」

雷太郎「金だよ。ここの入学金なんかは全部あの女から融資されてる。」

悠「……そういう奴って多いのな。」

雷太郎「卒業さえできたらここから先はキャリアだしな。入れるなら入りたいさ。お前は……違ったみたいだがな」

悠「あー、なりゆきだ。そのなりゆきでお前らみたいなのに襲われるから溜まったもんじゃない。」

雷太郎「ふんっ。小鳥遊の名を持つお前には大したことないだろ」

悠「何だ?っか、今さらだけどおれの事とかしってんの?」

雷太郎「小鳥遊弥一の孫。それに、小鳥遊悠の名前はたびたび耳にしていた。トラブルシューターの実績、闘路界での実力、他にも色んな噂をな……」

悠「わぁお…」

雷太郎「それに雲水師範からも聞いてたしな」

悠「え?……あー、そっかずっと忘れてたけど鬼状態使えるって事は百目鬼の関係筋だもんな」

雷太郎「百目鬼家と直接関係がある訳じゃない。ただの師弟関係だ。」

悠「なら、おれらは同門生ってことか……。」
16/100ページ
スキ