ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【3】

ー大江戸学園:町はずれ小屋ー

雷太郎「テメェ……。どうしてここにっ。」

悠「んー、怪我してると思って探してたんだよ」

柳「ほっほほ。ご自分も怪我人ですがな」

雷太郎「やる気か……。」
ジャリっ…

悠「待てよ。もう、おれの事はボコったんだ。十分だろ。それより、相棒は平気か?」

雷太郎「どの口がいってやがる…。この化け物めっ!」

悠「いやいや……。」

風太郎「くっ…。雷。」

雷太郎「風、無理するな」

柳「ふむ……。貧血に熱、内臓の損傷といったところですかのぅ。それに心の拍が高い……。」

雷太郎「おい、このジイさんは……」

悠「医者だよ。」

柳「ほっほほ。」

雷太郎「お前が連れて来た人間なんか信用できるか……」

柳「はいはい。暴れるならそっちで勝手にしてもらいましょうかのぅ。」

風太郎「やめろ。俺に触るな」

医者風の男「兄さん、この人に見てもらうのはいいと思うぜ。本当に高名な医者だ」

柳「ほっほほ。老い耄れをおだてても何もありませんぞぃ。」

風太郎「医者だろうが何だろうが……あの男の連れて来た奴なんか信用できるか……痛っ。」

雷太郎「風!」

悠「おいおい、いい加減にしろよ。死にたいのか。おれを信用しないのは兎も角、柳は善人じゃないが人を治すことに対しては本物だ。」

雷太郎「……」

風太郎「……」

柳「はいはい、こっちに来なさい。」

風太郎「お、おぃ…。」

柳「そちらの二人は暫く外におれ。暴れてもよいが診察の邪魔はせんようにの。そこのちと小屋を借りるぞ」

医者風の男「あぁ。好きに使ってくれ。というか、治療見せてもらうぞ」

悠「……」

雷太郎「……」

悠「お前は調子いいみたいだな」

雷太郎「俺は直接、咬まれても無いし、膝もいれられてない」

悠「はは…」

雷太郎「この狸め」

悠「狸って……。こっちだってさんざんやられてるのに。頬肉すら抉られたんだぞ。」

雷太郎「あの一瞬!」

悠「……」

雷太郎「あの一瞬、お前は風の掌打鞭の直撃を喰らったフリをした。首を振って打撃の衝撃をにがし、頬から手が振り抜ききる刹那……風の指の肉を咬み切った!しかも、死角から下腹部に膝蹴り。」

悠「……」

雷太郎「最初こそ俺も気がつかなかった……。だが、風太郎の手から垂れるのがお前の血じゃなく、自分の血だってな。風も鬼状態で痛みを感じてなかったし。」

悠「おれも必死だった。殺されるかと思ったし」

雷太郎「そうだ……な。風太郎は殺す気だったろう。俺は寸前で止めるつもりだった。だが、間違いだった。止めるべきは風太郎じゃなく……お前だった。」

悠「……」

雷太郎「風太郎が使った技術その殆どは殺す技術だ。他の奴なら死んでいただろ。だが、お前は生きていた。生きている。避けて受けて反撃した。」

悠「買いかぶり過ぎだって。それにおれの蹴りうんぬんよ、がりゅーの一撃を喰らったのが心配だったから、おれは柳を連れて来ただけだ」
15/100ページ
スキ