ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【3】

ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー

悠「ぐっぁぅ…うぐぁっ……」

崇「喚くな。本郷、水と適当な布だ」

本郷「ふっ…」

悠「はぁぐっ…」

夢「ねぇ!大丈夫なの!ねぇ!」

崇「ちょっと、頬肉が無くなっただけだ。狼狽えるな。」

京「崇、悠は、悠お兄ちゃんは本当に平気なんだな?」

崇「コイツは頭が吹き飛んでなかったら死にはしない。夢と向こうにいってろ今からコイツが悲鳴をあげるからな。」

夢「ちょ、なによ、それ!」

京「わかった。夢、向こうに居るぞ」

夢「あ、コラっ!引っ張るな!」

崇「……さて、話せるか?」

悠「お前の声は痛みも凍らせてくれますよ」

崇「減らず口が叩けるなら、余裕だな手を退けろ。消毒してやる」

悠「嫌だ。自分で治療する」

崇「本郷」

本郷「ふっ…。」

ガシッ!グググッ!
悠「痛っ、おま、バカ!なに無理やり手を開いてる」

崇「ざっくり抉られてるな…。滲みるぞせいぜい我慢してみろよ。男の子」

ビタッ!
悠「がああぁぁあぁあぁ!!」

崇「タオルが血まみれだ。さ、次は消毒液だ。耐えろよ。」

ビタッ!
悠「うぎやああぁあぁあぁ!?」

崇「本郷、絶対に離すなよ。暴れられたら困る」

本郷「ふっ。」

悠「痛だだ?!バカ、腕が折れる!!」

崇「ガーゼの類いはないか……しかたない代用にタオルでいくぞ」

ビリリ…ビリリ…びっ!

悠「はぁはぁ…」

崇「左半分がいい男になったじゃないか」

悠「どこがだよ!?ミイラじゃないか!」

崇「顔が有るだけマシだろ」

悠「くそっ……厄日過ぎる!痛っ」

崇「叫ぶな。口が裂けるぞ。」

悠「それより、なんであんないいタイミングで現れた?」

崇「夢が占いでお前が死神に好かれてるといってな。あまりにうるさいからここに連れて来た。臥劉はオマケだが十二分に役立ったな。」

悠「よーわからん。」

崇「俺もだ。」

本郷「ふっ」

悠「いや、なにいってるかわからん。とりあえず、もう手を離してくれ。」

崇「もういいぞ」

本郷「ふっ。」

ガタガタ…ガララ!

京「悠お兄ちゃん!」

夢「ねぇ!平気なの!」

悠「あー…お陰さまでな。崇いわくいい顔になったそうだ。」

夢「そんなわけ無いでしょ!」

悠「怒鳴るなよ傷に響く……。」

夢「ぐす……うえぇん」

悠「泣くなよ…。」

京「ごめん、悠お兄ちゃん……己、護れなかった。」

悠「謝るなよ……。」

崇「さて、まだ表は騒がしいな。裏から出るぞ」

本郷「ふっ。」

夢「は?なんで!?」

崇「コイツの治療だ。こんな応急手当てでいいわけないからな。どこに送る?」

悠「家で駒狸さんが居るけど荷が重いだろうし……柳だな。コイツら二人は送ってやってくれ」

崇「わかった。」
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