ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【3】

ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー

左近「昨晩、もう、日付が変わるくらいでしょうかねぃ。奉行所に路地裏で喧嘩してるって一報が入りましてねぃ。私の管轄区域だったんで、見に行ってみると、無残な姿の寅さんが倒れたって、事なんですよ。あとで話しを聞いてみると二人組の男に襲われたらしいんですが……松永ってのと関係してるとかなんとか。」

悠「……」

左近「それで……聞かせて欲しいんですが。松永っていうのは松永老の事ですよねぃ。いったい、何をされてるんですかい?」

悠「……おれからは何にもしてない。」

左近「ですが、襲われたと?」

悠「そーいうこになる。」

左近「本当にそれだけですかぃ?何か心当たりがあるんじゃないですかぃ?」

悠「ねぇよ。襲われて迷惑してんのはコッもだし。っか、そこまで解ってるなら、松永の姉妹に話してこいよ」

左近「それが、あっちのお嬢さん方はちぃっと厄介でしてね。そうそう簡単に話をすることは……」

はな「それって、内々に片づけようとしてるだけじゃないです?」

左近「いやぁ、そういう訳じゃないですよ。」

吉音「どういうこと?」

悠「怒らないって約束できるなら説明してやる」

吉音「怒らないよ?」

悠「松永って奴がお偉いさんだから何かしらの原因があるとしたら、おれにあるんじゃないかってことにしてしまいたいんだよ。」

吉音「にゃんだってー!!そんなこと!!」

悠「怒るなっただろ。」

吉音「怒らずにいられないよ!悠何にもわるいことしてないじゃん!!」

左近「いやいや、そういう一方的なアレじゃありませんよ。ただ、公平にお話を聞かせて貰いたいだけでしてねぃ。」

吉音「公平に聞いてくれるって」

悠「襲われた側から聞いて原因を見つけようとするのはおかしいだろ。」

吉音「あ、ホントだ!」

はな「新さん、すこしこっちでいましょう」

悠「左近さん。おれは何にもしてないのは確かだ。なにしろ、こっちは松永姉妹の名前は逢岡さんに聞いたし、あったこともない。」

左近「へぇ」

悠「それと……おれに悪いところがあっていうんなら受け入れるが……抵抗はするし認めはしないぞ?こっちは寅が襲撃されたことに頭来てるんだからな」

左近「おや、さっきは興味ないように言ってましたけど?」

悠「普通ならな。襲撃されようが、相手を半殺しにしようが勝手だがな……やられたからやり返すそれだけだ。」

左近「はっはっはっ。むちゃくちゃな人だなぁ。」

悠「ふん。よくいわれるよ。」

寅「けっ、勝手に話し進めてんじゃねぇぞ」

悠「寅!!」

左近「おや、もう動いてるんですかぃ」

寅「大したことねぇよ。」

悠「そうは見えないぞ。唇は切れてるし、青あざできてるじゃん」

寅「いつぞやのお前の面よりましだ。」

悠「ボコボコにはされたのか?」

寅「うるせぇぞコラ!」

悠「なるほど、憎まれ口たたけるなら大丈夫みたいだな。」

寅「ふん。それより左近適当ぬかしてんじゃねぇぞ」

左近「いやいや、そんなつもりはありませんて」
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