ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました

ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー

「あばらの二、三本は折れたんじゃねぇかなぁ」

悠「おーありきたりな当たり屋の台詞だ」

由佳里「そ、そんなぁ…」

「嬢ちゃんはそこの店のもんかい?」

由佳里「いえ、あの……お茶は頂いていましたけど」

「お茶をねぇ。だったら店の関係者だな。」

「関係者、関係者」

由佳里「え?え?」

悠「うーむ、なんだか風向きが変だな」

「そうだなぁ、客の不始末は店につけてもらわねぇとなぁ」

悠「それどういう理屈だよ」

「さっきかゴチャゴチャうっせぇな!理屈とかどうでもいいんだよ。この店で暴れられさえすりゃあな!」

「へへ、そういうこった。」

悠「あー、お前ら前の店でも暴れてたっていうチンピラどもか」

「だったとしたらなんでぇ?」

悠「帰ってくれ。こちはお前らに店を荒らされるいわれはないし。厄介ごと起こされると王と崇が面白がるだけなんだよな…」

「そっちにゃなくてもこっちにはあるんだよ」

由佳里「やめて下さい。もとはと言えばわたしがぶつかっちゃったから…」

「そんなこたぁ、もうどうだっていいんだよ」

由佳里「きゃあ!」

チンピラは由佳里を突き飛ばそうとした。
おれは、仕方なく二人の間に割ってはいった。

悠「おい。うちの客に手荒な真似するなよ」

由佳里「ゆ、悠さん…」

「へっ、格好いいねぇ、兄ちゃん」

乱暴に胸ぐらを捕まれる

悠「……離せよ」

「いいぜ、ほらよ!」

悠「っ……」

右頬を思いきり殴られた。っか、胸ぐらは離してくれてない。

「っ…固ぇ」

悠「殴った方が痛がるなよ…」

由佳里「ぎ、銀二さんを…」

光姫「待て、由佳里。それには及ばん」

由佳里「で、でも悠さんが」

光姫「耳を澄ませ」

由佳里「へ?」

馬の蹄の音が近づいてくる。

新「お待たせー!」

悠「新!」

「な、なんだ、馬!?」

「あ、あぶねぇ!」

新「あれ?なんで胸ぐらを掴まれてるの、悠?」

悠「このチンピラに絶賛絡まれてる最中だ。」

新「ええっ、用心棒のあたしのいない間に!?」

悠「まぁな。そんなわけで、新は機動力を活かして南町奉行所の逢岡さんに連絡してきてくれるか?」

新「え、その間、悠やお店はどうするの?」

悠「とりあえず……我慢できる間は殴られとくから、出来るだけ早めに帰ってきてくれるとうれしい。」

「何をうだうだいってやがる」

「店をたたむって約束すんならすぐに帰ってやるぜ?」

新「……む」

悠「俺個人としては、全然たたんでもいいんだけど、崇がなぁ」

新「ちょっと」

「あ?なんだ姉ちゃん」

「その立派な乳でも揉ませてくれるってのかい?」

新「そんな汚い手になんか揉ませてやるもんか」

「なんだと?せっかく気持ちよくしてやろうってのに、痛い目にあいたいようだな」

挑発を受けたチンピラのひとりが新につかみかかろうとする。

「うぉっ?」

チンピラの身体が空中で綺麗に一回転して、背中から地面に叩きつけられる鈍い音。
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