ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【2】
ー佐那子の部屋ー
菊次郎「うるさい!この周りは手下に見張らせているんだ。叫んだって無駄なんだからな!」
シオン「私のものに触るなあぁっ!」
菊次郎「ぐあぁっ!」
佐那子「ああっ、眠利さまぁ!」
悠「佐那子ちゃん、だいじょー……ぶ、だったみたい、だね……」
シオンより少し遅れて踏み込んだときは、もう全部、片がついていた。菊次郎はうつ伏せにぶっ倒れていて、佐那子ちゃんはシオンにしっかりと抱きついている。
佐那子「あぁ、眠利さま……きっと来てくださると信じておりました……」
シオン「もう話さないよ、私の佐那子」
佐那子「はい……私も……っ」
二人の世界が完璧に出来上がっている。おれが部屋に入ってきたことにも気づいていないっぽい。
悠「……まあ、良いんですけどね」
別に全然良いんだけれど……おれが来た意味、あったのかなぁ……。
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
あの晩から、もう数日が過ぎている。あれ以来、菊次郎や佐那子ちゃんとは会っていない。
ついでに、シオンとも顔を合わせていない。茶屋なんてやっていると、店に来てくれるひと以外とはなかなか顔を会わせにくいものだ。
吉音「あっ、ねえねえ悠。あれってシオンさんじゃない?」
悠「あー?」
吉音の声に顔を上げると、少し離れたところを女生徒とならんで歩いているシオンの姿が目に入ってきた。
吉音「女の子といっしょだね~」
悠「羨ましい限りだ……っか、あの娘……佐那子ちゃん?」
シオンにべったりと寄り添って歩いている女生徒は、間違いなく佐那子ちゃんだった。……まぁ、あの晩、シオンに抱きついていたのを見たときから、こうなることは予想できていたけれど。
輝「あの女生徒は、シオンさんのハーレムに最近仲間入りしたばかりの千羽佐那子ちゃんだな」
悠「うわっ……輝、いたのか」
輝「そんなことより、悠ちゃん。佐那子ちゃんのこと、よく知ってたねぇ……あ、さては狙ってた?」
悠「違うがな。ちょっと、面識があるってだけだ」
輝「あっ、じゃあ彼女の許嫁のことも知ってたり?」
悠「菊次郎だろ……そういえばあの後、金のこととか大丈夫だったのかな?」
輝「それなら、許嫁の話は白紙撤回になって、お金の援助も打ち切りになったって。」
悠「え?」
輝「で、その代わりにシオンさんがお金の面倒を見ているんだってさ」
悠「えええっ!」
吉音「うわ~~っ、シオンさんってお金持ちなんだねっ」
悠「はあぁ……まったくもって羨ましい限りだ」
シオンって、何から何まで持ってるんだな。崇みたいだ。っか、意中の相手を落とすのに、バニラの媚薬なんて全然、必要ないじゃないか。
輝「これもバニラの結んだ縁さ」
悠「えっ?」
輝「……って、シオンさんにさっきインタビューしたときいってたんだよ。何のことだか、さっぱりだけど」
吉音「よく分かんないけど、シオンさんは詩人なんだね~」
悠「……ついでにエスパーかもな」
おれの感想を見越していたかのようなシオンの言葉に、なんだかもう、まったく勝てる気がしないのだった。
菊次郎「うるさい!この周りは手下に見張らせているんだ。叫んだって無駄なんだからな!」
シオン「私のものに触るなあぁっ!」
菊次郎「ぐあぁっ!」
佐那子「ああっ、眠利さまぁ!」
悠「佐那子ちゃん、だいじょー……ぶ、だったみたい、だね……」
シオンより少し遅れて踏み込んだときは、もう全部、片がついていた。菊次郎はうつ伏せにぶっ倒れていて、佐那子ちゃんはシオンにしっかりと抱きついている。
佐那子「あぁ、眠利さま……きっと来てくださると信じておりました……」
シオン「もう話さないよ、私の佐那子」
佐那子「はい……私も……っ」
二人の世界が完璧に出来上がっている。おれが部屋に入ってきたことにも気づいていないっぽい。
悠「……まあ、良いんですけどね」
別に全然良いんだけれど……おれが来た意味、あったのかなぁ……。
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
あの晩から、もう数日が過ぎている。あれ以来、菊次郎や佐那子ちゃんとは会っていない。
ついでに、シオンとも顔を合わせていない。茶屋なんてやっていると、店に来てくれるひと以外とはなかなか顔を会わせにくいものだ。
吉音「あっ、ねえねえ悠。あれってシオンさんじゃない?」
悠「あー?」
吉音の声に顔を上げると、少し離れたところを女生徒とならんで歩いているシオンの姿が目に入ってきた。
吉音「女の子といっしょだね~」
悠「羨ましい限りだ……っか、あの娘……佐那子ちゃん?」
シオンにべったりと寄り添って歩いている女生徒は、間違いなく佐那子ちゃんだった。……まぁ、あの晩、シオンに抱きついていたのを見たときから、こうなることは予想できていたけれど。
輝「あの女生徒は、シオンさんのハーレムに最近仲間入りしたばかりの千羽佐那子ちゃんだな」
悠「うわっ……輝、いたのか」
輝「そんなことより、悠ちゃん。佐那子ちゃんのこと、よく知ってたねぇ……あ、さては狙ってた?」
悠「違うがな。ちょっと、面識があるってだけだ」
輝「あっ、じゃあ彼女の許嫁のことも知ってたり?」
悠「菊次郎だろ……そういえばあの後、金のこととか大丈夫だったのかな?」
輝「それなら、許嫁の話は白紙撤回になって、お金の援助も打ち切りになったって。」
悠「え?」
輝「で、その代わりにシオンさんがお金の面倒を見ているんだってさ」
悠「えええっ!」
吉音「うわ~~っ、シオンさんってお金持ちなんだねっ」
悠「はあぁ……まったくもって羨ましい限りだ」
シオンって、何から何まで持ってるんだな。崇みたいだ。っか、意中の相手を落とすのに、バニラの媚薬なんて全然、必要ないじゃないか。
輝「これもバニラの結んだ縁さ」
悠「えっ?」
輝「……って、シオンさんにさっきインタビューしたときいってたんだよ。何のことだか、さっぱりだけど」
吉音「よく分かんないけど、シオンさんは詩人なんだね~」
悠「……ついでにエスパーかもな」
おれの感想を見越していたかのようなシオンの言葉に、なんだかもう、まったく勝てる気がしないのだった。