ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【2】
ー大江戸学園内:民家ー
佐那子「でも、だからといって、無理やり許嫁にされた相手に好意を持てっていうのは無理だと思いません!?」
悠「は、はぁ…」
佐那子「このケーキだって、俺って明日誕生日なんだよ、とかうるさいから、仕方なしに焼いてるんです。今回のことだけじゃなく、何かっていうと私にお菓子を作らせたり、強引に呼び出したりするんです!それはたしかに、許嫁ですよ。でも恋人じゃないし、それ以前に全然タイプじゃないんですっ!」
悠「あー……いや、おれたちは佐那子ちゃんとも初対面だし、許嫁の人とも面識ないんだけどね」
佐那子「あっ、ごめんなさい。私ったら、いきなりこんなこと話しちゃって」
シオン「許せないな、それは!」
佐那子「きゃっ!」
いきなり机を叩いたシオンの行動に、佐那子ちゃんは小さく驚く。
シオン「私のバニラをそんなことに使わせるとは、許せん!」
悠「って、許せないのはそこかよ」
思わず突っ込んだけれど、シオンは聞いていない。
シオン「バニラは、シナモンやナツメグ、ハチミツなどと混ぜ合わせて、意中の相手を絡めとりために使うものだ。気のない男のために使うなど、論外だ!」
語気をどんどん荒げながら、シオンは身を乗り出して佐那子ちゃんへと詰め寄っていく。
佐那子「ぁ……眠利、さま……?」
シオン「私がきみの許嫁だったなら、けして奉仕を強要したりしないのに」
佐那子「あぅ…」
シオンに両手を握りしめられ、正面から見つめられている佐那子ちゃんの顔が、みるみる赤くなっていく。
シオン「きみの傍らに傅けるのなら、昼夜を分かたず奉仕させてくれと懇願しているところなのに」
佐那子「そんなっ……私なんかに奉仕なんて、そんな……」
シオン「もちろん、しとめの中でも、きみが啜り泣くまで隅々まで奉仕させてもらうよ」
佐那子「ぁ……ぅ……そんな、そんなこと……」
にじり寄るシオンから顔を背けつつも、佐那子ちゃんの声も仕草も全然嫌そうじゃない。というか、むしろ喜んでいる?
悠「……」
おれは一体、ここへ何をしに来たんだろうか……。あ、急にものすごくバカらしくなってきたぞ。もうどうでも良くなってきたので部屋を出ようとしたその時だった。玄関の戸が開く音。
「佐那、いるんだろ」
それにつづいて、男子生徒らしき相手の声。
佐那子「菊次郎さん……」
佐那子ちゃんが驚いたように呟いた。友人というには横柄な足音で近づいてくるこの男が、菊次郎という名前の許嫁なのだろう。
菊次郎「ん、この匂いは……そうかそうか。僕のためにケーキを焼いていたんだな。僕は甘いものが苦手だってあれほどいってあったのに、佐那は仕方のないやつだなぁ」
佐那子「……そういうとこが、ほんとムカつくわ。」
うわっ、いま物凄い顔で吐き捨てだぞ。許嫁が嫌いというのは、照れ隠しでは無かったようだ。
佐那子「でも、だからといって、無理やり許嫁にされた相手に好意を持てっていうのは無理だと思いません!?」
悠「は、はぁ…」
佐那子「このケーキだって、俺って明日誕生日なんだよ、とかうるさいから、仕方なしに焼いてるんです。今回のことだけじゃなく、何かっていうと私にお菓子を作らせたり、強引に呼び出したりするんです!それはたしかに、許嫁ですよ。でも恋人じゃないし、それ以前に全然タイプじゃないんですっ!」
悠「あー……いや、おれたちは佐那子ちゃんとも初対面だし、許嫁の人とも面識ないんだけどね」
佐那子「あっ、ごめんなさい。私ったら、いきなりこんなこと話しちゃって」
シオン「許せないな、それは!」
佐那子「きゃっ!」
いきなり机を叩いたシオンの行動に、佐那子ちゃんは小さく驚く。
シオン「私のバニラをそんなことに使わせるとは、許せん!」
悠「って、許せないのはそこかよ」
思わず突っ込んだけれど、シオンは聞いていない。
シオン「バニラは、シナモンやナツメグ、ハチミツなどと混ぜ合わせて、意中の相手を絡めとりために使うものだ。気のない男のために使うなど、論外だ!」
語気をどんどん荒げながら、シオンは身を乗り出して佐那子ちゃんへと詰め寄っていく。
佐那子「ぁ……眠利、さま……?」
シオン「私がきみの許嫁だったなら、けして奉仕を強要したりしないのに」
佐那子「あぅ…」
シオンに両手を握りしめられ、正面から見つめられている佐那子ちゃんの顔が、みるみる赤くなっていく。
シオン「きみの傍らに傅けるのなら、昼夜を分かたず奉仕させてくれと懇願しているところなのに」
佐那子「そんなっ……私なんかに奉仕なんて、そんな……」
シオン「もちろん、しとめの中でも、きみが啜り泣くまで隅々まで奉仕させてもらうよ」
佐那子「ぁ……ぅ……そんな、そんなこと……」
にじり寄るシオンから顔を背けつつも、佐那子ちゃんの声も仕草も全然嫌そうじゃない。というか、むしろ喜んでいる?
悠「……」
おれは一体、ここへ何をしに来たんだろうか……。あ、急にものすごくバカらしくなってきたぞ。もうどうでも良くなってきたので部屋を出ようとしたその時だった。玄関の戸が開く音。
「佐那、いるんだろ」
それにつづいて、男子生徒らしき相手の声。
佐那子「菊次郎さん……」
佐那子ちゃんが驚いたように呟いた。友人というには横柄な足音で近づいてくるこの男が、菊次郎という名前の許嫁なのだろう。
菊次郎「ん、この匂いは……そうかそうか。僕のためにケーキを焼いていたんだな。僕は甘いものが苦手だってあれほどいってあったのに、佐那は仕方のないやつだなぁ」
佐那子「……そういうとこが、ほんとムカつくわ。」
うわっ、いま物凄い顔で吐き捨てだぞ。許嫁が嫌いというのは、照れ隠しでは無かったようだ。