ｰ雑穀屋ｰ

シオン「あってしかるべきものが無いとなれば、代わりに首をいただいていくしかないなっ！クク、クククク」

悠「ちょい、待て待って！落ち着いてくれシオン、この人に絡んでも仕方ないだろ？」

シオン「では誰に絡めというのか」

悠「なんで絡むの前提なんだよ。とにかく媚薬かどうかは別にしても、シオンの用途までこの人が知ってるわけないだろう。っか、品切になったのは他のお客もいたからで」

シオン「そいつか」

悠「あー？」

シオン「……兄さん、そのバニラビーンズを持っていった客は誰だい？」

悠「シオン……それを聞いてどうするつもりなんだ？」

店主「ほ、他のお客様の情報は、さすがに……」

シオン「吐け。私とその客と、どちらが恐ろしいか考えろ」

店主「千羽佐那子さんという、甲級一年の女子生徒です」

はや。いやこの店主を責めるのは酷だけど。

シオン「リュウノスケ、すぐに住所を調べろ」

シオンの側にうちのバロン並みにデカイ、白狼の剣魂が現れて唸った。

リュウノスケ『グルルゥ……』

シオン「……よし、いくぞ。」

いくぞって……まさか、とは思うが……

悠「店主さん、ありがとっ！ちょっと、おれも失礼するよ！」

店主「はい……あの、今後ともご贔屓に……」





ｰ大江戸学園内:日本橋ｰ

悠「シオン！待ってくれ！」

シオン「む？悠か。珍しいところで会ったな。」

悠「……」

……シオン流の冗談だと、思いたい。

シオン「私を求めて追ってくるとは、とても愛らしい子だね。しかしすまない、私には急ぎの用がある。今日ばかりは相手をしてやれないんだよ」

悠「わかってるよ。だから心配で追いかけて来たんだ。」

目当てのものが売り切れていたからと、かったお客のところまで押しかける人間は、そうはいない。シオンらしいといえばそうなんだが……。

シオン「心配？私のか？」

悠「いんや、どっちかっーと千羽さんって子のこと」

シオン「つまり、私の邪魔しようということか」

悠「い、いやいやいや。そうじゃないくて、ただ……とにかく、アレだ。おれもいっしょに行くよ。それくらいは良いだろ。」

シオン「……まあいいさ。好きにしな。」

これ以上は、ここで話し込む気は無いというように、シオンはすたすたと歩き始めた。おれも慌てて、その後を折った。





ｰ大江戸学園内:民家ｰ

シオン「おい、居るかい？居るんだろ、早く開けな」

悠「おい、おい、シオン。そんな乱暴に叩くなって」

女生徒「はい、どちらさまでしょう？」