ｰ新宿:茶屋小鳥遊堂ｰ

逢岡「つまり……目安箱に、小鳥遊君を試したいという依頼が届いていたんですか……。」

悠「ええ。悪戯(いたずら)かと思って無視していたんスけど。実際襲われちゃったりしたんですよね……。」

逢岡「なるほど、出来たら早めに連絡していただきたかったですね。」

寅「コイツの場合、本当に松永に襲われてるのか、別で狙われてる可能性もあるぜ。」

悠「ンな訳、ねぇだろ」

寅「どーだか。」

逢岡「どうしましょうか……。こちらのほうで何かしらの手はずを……」

悠「出来るんですか?今聞いた限り……結構、重役的な立場というか」

逢岡「はい。もちろんいきなり大事には致しません。私のほうで松永さんに直接、話しを聞きにいってみます。」

吉音「あったしも行くよ!!」

悠「喧嘩しに行く訳じゃないし。ぜっったい話しがもつれるからダメ」

吉音「ぶーっ。」

はな「ちなみに松永さんてどんなかたです?」

逢岡「甲級課程二年の松永久秀(まつながひさひで)さんと乙級課程二年松永心(まつながこころ)さん。どちらも有名な姉妹です。」

悠「……可愛い?」

はな「悠さん」

逢岡「そうですね。ツインテールのよく似合うどちらも可愛らしい方だと思います。ただ……」

寅「ただ?」

逢岡「姉妹自体の仲は不仲という噂と、久秀さんは教養人と知識人の一面の他に欲望のためならどんな手段も選ばない危険人物……という、噂も有ります。」

悠「それ、マジ?」

逢岡「私もちゃんと面識があるわけではないのですが、酉居さんと仲がよろしいので……。」

吉音「うえぇ～」

悠「……妹のほうは?」

逢岡「心さんはその……なんといいますか……自由な方といいますか……」

寅「わがままっていいたいのか」

逢岡さんは困ったような顔で笑った。
なるほど、姉は蒐集癖のある危険人物、妹はわがままな自由人。どっちも気まぐれで事を起こす場合もある。

悠「仮にどっちかだとして……なんで、おれを試そうとするんだ。おれはどっちにも面識ないぞ」

はな「ほんとーですか?」

悠「なんだよ。」

寅「なんにしてもだ……。次襲われたらひとりを拉致って吐かせたらいいだろ。」

逢岡「そのまえにお話をききにいきましょう。危ない事をするのはいかがなものかと」

寅「悠、どっちだ?」

逢岡「私を信じて少し待っていただけませんか?」

悠「え……おれが決めるの?」

はな「当事者の悠さん以外だれが決めるです」

悠「ふーむ……王道でいくなら逢岡さんの好感度をさげないために、逢岡さんを選ぶべきなんだろうな。」

逢岡「好感度?」

はな「病気ですから気にしないでくださいです。」

寅「……」

悠「睨むなよ。」