ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【2】
ー新宿・茶屋小鳥遊堂ー
吉音「え~!あれだけ懲らしめてやったのに、あいつらまだ悪さしてるんだ」
悠「天狗党って全員捕まえたんじゃなかったんですか?」
光姫「事件収束の混乱に乗じて逃げ出した者たちがおってな。」
悠「……」
そういわれてみれば寅もそうだった。しかも、殊更にいえば手引きしたのはおれ。
光姫「そやつらが再起の機会をうかがっておるのじゃ。連中は、本気で体制の転覆を狙っているものばかりなのでタチが悪い。単に群れているだけなら放っておくが…。昨日から謹慎者棟の近くの屋敷を不法占拠し、何かゴソゴソしておる目障りだからの。どうせだから奴らも謹慎者棟にぶち込んでやろうと思ってな。南町奉行所の逢岡には連絡を入れておく、お主らは先立って屋敷に突入、できる限り戦力を削いでくれ」
悠「それはまた、恐ろしく分かりやすい依頼内容ですね」
光姫さんの話と手渡された書簡とで大体の事情を把握すると、店の奥からアイツが出てきた。
寅「残党狩りか……。」
悠「寅…。」
寅「もうやむやでこうしてるが……元は向こう側だった。けど、奴らの理念なんかは知らん。もう再起不能なはずな天狗の亡霊に騒がれたら鬱陶しいもんだな。」
左右に首を軽く振り、おれの肩に肘を置いて書簡を覗き込む。
悠「それで?」
広げてある書簡のうえに小さな紙が落ちてくる。
寅「依頼だ」
悠「天狗狩りに連れて行けか……。どうせ来るなっていったら勝手にいって暴れる気だろ?」
寅「まぁな」
悠「わかったよ。一緒に来い。ただ、頼むから寝返りはやめてくれよ?」
寅「安心しろ。天狗より、お前の方が面白い」
猛獣は牙を研ぐように指にテーピングを巻きはじめた。吉音と寅が相手とは天狗党が哀れに思えてきた。
悠「んじゃ、現場に向かうか。」
吉音「……」
悠「……新?」
そういえば、光姫さんの話の途中から吉音の声をまったく聞いてないような……。
吉音「ふふっ、ふふふ、あはははは!」
悠「うわ、びっくりした!なんだよいきなり!」
吉音「だってだって!こういうのを待ってたんだよあたしは!なんてあたし向けの依頼!よ~し悠!とらくん!いっくよ~!」
おれの手を力強く握りしめた吉音が、全速力で走り出した。
悠「こらっ!引っ張るな新!あー!はなちゃん!店あとよろしく!」
寅「よし、いくか。」
由佳里「皆さん気をつけてくださいね~」
光姫「聞こえとらんなアレは。まぁあのメンツなら心配もいらんじゃろう」
はな「むしろ、お店の経営が心配です。」
吉音「え~!あれだけ懲らしめてやったのに、あいつらまだ悪さしてるんだ」
悠「天狗党って全員捕まえたんじゃなかったんですか?」
光姫「事件収束の混乱に乗じて逃げ出した者たちがおってな。」
悠「……」
そういわれてみれば寅もそうだった。しかも、殊更にいえば手引きしたのはおれ。
光姫「そやつらが再起の機会をうかがっておるのじゃ。連中は、本気で体制の転覆を狙っているものばかりなのでタチが悪い。単に群れているだけなら放っておくが…。昨日から謹慎者棟の近くの屋敷を不法占拠し、何かゴソゴソしておる目障りだからの。どうせだから奴らも謹慎者棟にぶち込んでやろうと思ってな。南町奉行所の逢岡には連絡を入れておく、お主らは先立って屋敷に突入、できる限り戦力を削いでくれ」
悠「それはまた、恐ろしく分かりやすい依頼内容ですね」
光姫さんの話と手渡された書簡とで大体の事情を把握すると、店の奥からアイツが出てきた。
寅「残党狩りか……。」
悠「寅…。」
寅「もうやむやでこうしてるが……元は向こう側だった。けど、奴らの理念なんかは知らん。もう再起不能なはずな天狗の亡霊に騒がれたら鬱陶しいもんだな。」
左右に首を軽く振り、おれの肩に肘を置いて書簡を覗き込む。
悠「それで?」
広げてある書簡のうえに小さな紙が落ちてくる。
寅「依頼だ」
悠「天狗狩りに連れて行けか……。どうせ来るなっていったら勝手にいって暴れる気だろ?」
寅「まぁな」
悠「わかったよ。一緒に来い。ただ、頼むから寝返りはやめてくれよ?」
寅「安心しろ。天狗より、お前の方が面白い」
猛獣は牙を研ぐように指にテーピングを巻きはじめた。吉音と寅が相手とは天狗党が哀れに思えてきた。
悠「んじゃ、現場に向かうか。」
吉音「……」
悠「……新?」
そういえば、光姫さんの話の途中から吉音の声をまったく聞いてないような……。
吉音「ふふっ、ふふふ、あはははは!」
悠「うわ、びっくりした!なんだよいきなり!」
吉音「だってだって!こういうのを待ってたんだよあたしは!なんてあたし向けの依頼!よ~し悠!とらくん!いっくよ~!」
おれの手を力強く握りしめた吉音が、全速力で走り出した。
悠「こらっ!引っ張るな新!あー!はなちゃん!店あとよろしく!」
寅「よし、いくか。」
由佳里「皆さん気をつけてくださいね~」
光姫「聞こえとらんなアレは。まぁあのメンツなら心配もいらんじゃろう」
はな「むしろ、お店の経営が心配です。」