ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【2】

ー新宿・茶屋小鳥遊堂ー

三度、小鳥遊堂へと帰ってきた。

悠「あー……なんっーか、さすがは学生の街ってところだな」

吉音「どういうこと?」

悠「いや、最初はヤミ金関係とか薬とかどんな相談が来るかと心配もあったが、いざ蓋をあけてみたら、日常での相談事ばっかりだったからな」

普段から殺伐とした依頼ばっかりこなしていたので若干感覚が麻痺しているのかも知れない。

吉音「でもこういうのも楽しいよね。さぁ次の依頼はなっにかな~」

最初はこぢんまりとした相談事に少しテンションの低かった吉音だが、今ではすっかり乗り気だ。おれは若干満腹ぎみなんだけどな。
光姫「そういうのをひとつずつ潰していくのも、統治者の役割じゃよ」

吉音「ミッキーにゆかりんだ!」

悠「二人とも、いらっしゃい。今ご案内します」

光姫「ああ、よいよい。今日は小鳥遊堂の客と来たわけではないかな」

悠「そうなんですかい?」

光姫「お主らにちと用があってな。由佳里アレを」

由佳里「かしこまりました~。悠さん、新さん受け取ってください。」

手渡された書簡を吉音と二人まじまじと見詰める。

悠「ミッキー……もとい、光姫さん、これは?」

光姫「……」

とがめるような光姫さんの視線。店に来た光姫さんと由佳里ちゃん。

だが、小鳥遊堂のお客ではないという。出会ったときの光姫さんの台詞。そして、おれたち二人に手渡された書簡。

悠「……もしかして目安箱への依頼ですか?」

光姫「そういうことじゃ」

吉音「ミッキーからの依頼……いいよいいよ!何でも引き受けちゃうもん!」

悠「おい新。内容も聞かないうちからそんな安請け合いしていいのかよ?」

吉音「いいの!友達が困ってんだもん、絶対に手伝ってあげなくちゃね!」

予想通りの反応。そりゃ吉音だったらそういうよな。むしろ逆にそういわない吉音なんて想像できない。

悠「……」

吉音「悠は反対なの」

悠「正直、内容も確認せずに請けるのはいい風潮じゃないな。それにツレが困ってても簡単に手を貸せばいいって訳じゃない。」

吉音「……」

悠「ま、そういう事も頭においといてくれな。それで光姫さん、。おれたち、というよりも新に話を持ってきたってことは……ちょっとばかりドンパチが必要な相談事ってことですか?」

光姫「うむ。二人には少し手間を掛けることになるが頼まれてくれんか?」

吉音「もっちろん!」

悠「おれに出来ることでしたら」

大立ち回りの気配を感じてか、吉音のテンションが目に見えて上がっている。

光姫「すまんな二人とも」

悠「それでご依頼は?」

光姫「ああ、実は二人には天狗党の残党を取っ捕まえて欲しいんじゃ」
80/100ページ
スキ