ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました

ー大江戸学園:食堂ー

「「新さんスペシャル」二丁、お待たせ~」

悠「早っ!……?!」

新「どうしたの、食べないの?」

悠「えと…たしかに、ゲテモノではないな。美味そうだよ。メインがあって副菜があってサラダに汁物がついてるな。だけどな……この量はいったいなんだ?」

新「へ?」

悠「これは軽く三人前はあるだろ。飯はどんぶりに昔ばなし盛りになってるし、メインの鯖の味噌煮は大皿に三切れも乗ってるし」

新「おいしいよ?」

悠「どんなにうまくてもこんな量が食えるか!」

新「あれ?」

悠「ていうか、いつものってことは、お前これを毎日食ってるわけ?」

新「うん、そうだけど?」

悠「その細身に食った分はどこに消えてるんだ……。(あ、乳か)」

新「残したらもったいないよ。」

悠「うーむ、昨日の酒が残ってなけりゃ余裕なんだが……もしかして、おれの分も食えたりする?」

新「にへ♪」

悠「……どうぞ」

新「わーい、ありがとう♪」

悠「幸せそうな顔しやがって…。っか、普段からこんな豪傑みたいな飯の食いかたしてんのか?」

新「もぎゅもぎゅ」

悠「飲み込んでから喋りなさい」

新「もぐもぐ、ゴクン。ふだんは一人前しか食べてないよ。だから腹八分目、う~ん六分目かな?」

悠「このスペシャル、普通の何人前かあるけどな」

新「ホントはおかわりしたいんだけど、ほら……持ち合わせていうのがあるでしょ?」

悠「確かにな…この「新さんスペシャル」、値段もスペシャルだし」

新「だからね、悠に用心棒で雇ってもらって本当によかった~」

悠「はは…ははは……(そういや、いつだったか逢岡さんが微妙な表情の意図がわかるぜ。)」

新「ん~今日もお米がおいしいよ~♪」

悠「やれやれ…。じゃ、おれは先帰るな。午後からの授業頑張れよ。」

新「うん、ばっちり英気を養ってお店にいくね」



~数時間後~



悠「はぁ、案の定看板娘の新は補習だよ。それにしても…相変わらず向かいの店はえらく流行ってるなぁ。前の店主が逃げたのは向かいの店のせいじゃないのか?愚痴っててもしゃーないし店を開けるか」

「ちょっと!」

悠「うわっ!?あれ?子住さん?」

由真「これってどういうこと?」

悠「えーと、どういうことって?」

由真「この店のことよ!ここって茶店でしょ?」

悠「まぁ、一応はそのつもりだけど…あ、もしかしてお客さんか。」

由真「ちがーう!」

悠「あー?」

由真「これ!」

子住さんは身につけたらエプロンの胸元を指で引っ張って見せつける。

悠「あ、なんか印象が違うと思ったらエプロンか。かわいいな、似合ってる」

由真「バカ!ほらここのマークを見て!それから店の暖簾を見て!」

悠「ええっと…ねずみや?あっ…」

由真「いったでしょ、カフェやってるって」

悠「はぁ…向かいの店かぁ」
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