ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【8】
ー大江戸学園:林内ペンションー
和斗「合食禁?」
悠「食べ合わせのことだ、そこのブロガーが……アンタの店にいったとき、タコとアワビの天ぷらをだし、デザートにスイカを使っただろう。」
鮒口「それがどうした。」
悠「タコとアワビ、天ぷらとスイカは代表的な合食禁だ。タコとアワビはどちらも消化に悪い。スイスの水分は天ぷらの消化を妨げる。」
鮒口「そんなもの、大昔の迷信だ。すこしの量なら身体に影響はない。」
悠「例え影響がなくても、合食禁を知っている年配の客なら心配するだろう。そこで気を配るのがプロの料理人だ。」
鮒口「みみっちいこというなっ。ド素人のくせに。」
悠「もっと根本的なことがある。開店前に包丁を研ぐのは板前として失格だ。包丁は閉店後に研いで、翌日に備える。研ぎたての包丁を料理に使うと、食材に金気が移るからな。だから、アンタの身辺を洗って、このペンションがアンタの実家だったのを突き止めた。」
和斗は、葉月と鮒口にいったときのことを思いだした。ペンションに戻ったあと、葉月は飴矢との会話で、鮒口が開店前に包丁を研いでいたと語った。悠はそれを聞いていたのだろう。
鮒口「確かに……俺は板前出身じゃない。でも独学で修行して店を出したんだ。」
悠「使用済みの一千万を元手にか?」
鮒口「えらうにいうな!将軍補佐のくせにヤクザの真似なんかしやがって!」
悠「犯人も金の隠し場所も特定できなかったからだ。もし犯人がこの付近にいるのなら、おれのことを知れば警戒するはずだ。隠した金を横取りされないように、探りを入れてくるかもしれない。おれは、それをまっていた。」
悠がヤクザっぽい言動をしていた意味が、やっと分かった。ヤクザの名刺が部屋にあったのは、自分たちがヤクザの関係者だという噂を広めるためだったのかもしれない。
悠「アンタが店を出したのは、このペンションに近いからだな。アンタはときどきここに来ては、このテーブルに異常がないか確認していた。やがて時効が近づいたころ、いまのオーナーがなくなった父親の後を継いだ。アンタはこのペンションが流行っていないのにつけ込んで、オーナーに気前よく金を貸し、ペンションに抵当権をつけた。」
鮒口「勝手に決めつけるなっ!」
悠「せっかく店は繁盛していたんだ。この金に執着しなければ、犯罪がばれることもなく、平和に暮らせただろう。」
和斗「合食禁?」
悠「食べ合わせのことだ、そこのブロガーが……アンタの店にいったとき、タコとアワビの天ぷらをだし、デザートにスイカを使っただろう。」
鮒口「それがどうした。」
悠「タコとアワビ、天ぷらとスイカは代表的な合食禁だ。タコとアワビはどちらも消化に悪い。スイスの水分は天ぷらの消化を妨げる。」
鮒口「そんなもの、大昔の迷信だ。すこしの量なら身体に影響はない。」
悠「例え影響がなくても、合食禁を知っている年配の客なら心配するだろう。そこで気を配るのがプロの料理人だ。」
鮒口「みみっちいこというなっ。ド素人のくせに。」
悠「もっと根本的なことがある。開店前に包丁を研ぐのは板前として失格だ。包丁は閉店後に研いで、翌日に備える。研ぎたての包丁を料理に使うと、食材に金気が移るからな。だから、アンタの身辺を洗って、このペンションがアンタの実家だったのを突き止めた。」
和斗は、葉月と鮒口にいったときのことを思いだした。ペンションに戻ったあと、葉月は飴矢との会話で、鮒口が開店前に包丁を研いでいたと語った。悠はそれを聞いていたのだろう。
鮒口「確かに……俺は板前出身じゃない。でも独学で修行して店を出したんだ。」
悠「使用済みの一千万を元手にか?」
鮒口「えらうにいうな!将軍補佐のくせにヤクザの真似なんかしやがって!」
悠「犯人も金の隠し場所も特定できなかったからだ。もし犯人がこの付近にいるのなら、おれのことを知れば警戒するはずだ。隠した金を横取りされないように、探りを入れてくるかもしれない。おれは、それをまっていた。」
悠がヤクザっぽい言動をしていた意味が、やっと分かった。ヤクザの名刺が部屋にあったのは、自分たちがヤクザの関係者だという噂を広めるためだったのかもしれない。
悠「アンタが店を出したのは、このペンションに近いからだな。アンタはときどきここに来ては、このテーブルに異常がないか確認していた。やがて時効が近づいたころ、いまのオーナーがなくなった父親の後を継いだ。アンタはこのペンションが流行っていないのにつけ込んで、オーナーに気前よく金を貸し、ペンションに抵当権をつけた。」
鮒口「勝手に決めつけるなっ!」
悠「せっかく店は繁盛していたんだ。この金に執着しなければ、犯罪がばれることもなく、平和に暮らせただろう。」